• ルビ
  • シェア
  • メール
  • CLOSE

マイ・ヒューマン・レボリューション――小説「新・人間革命」学習のために 第21巻 2020年11月20日

 小説『新・人間革命』の山本伸一の激励・指導などを紹介する「My Human Revolution(マイ・ヒューマン・レボリューション)」。今回は第21巻を掲載する。次回の第22巻は12月4日付2面の予定。挿絵は内田健一郎。

団結は一人一人の勝利の姿

 <1975年(昭和50年)1月26日、世界51カ国・地域のメンバーの代表がグアムに集い、第1回「世界平和会議」が開催され、SGIが結成された。山本伸一は、会議に参加できなかった韓国のメンバーのことを考え、首脳幹部と語り合いながら、団結の大切さに思いを巡らす>
 
 日蓮大聖人は「異体同心にして南無妙法蓮華経と唱え奉る処を生死一大事の血脈とは云うなり」(御書1337ページ)と述べられている。広宣流布のために心を一つに合わせ、信心に励むなかに、仏法という生命の大法の血脈が流れ通うとの御断言である。
 
 われらの団結とは、縦には広宣流布の師匠と弟子との不二の結合である。そして、横には同志との連帯である。いわば、師と同志という縦糸と横糸の異体同心の団結によって、広宣流布は織り成されるのだ。
 
 (中略)
 
 仲良く団結しているということは、それ自体、一人ひとりが自身に打ち勝った勝利の姿であるといえる。わがままで自分中心であれば、団結などできないからだ。
 
 創価学会は、広宣流布を推進する仏意仏勅の団体である。「われらは創価学会仏である」とは、軍部政府の弾圧という法難に遭い、御書を身で読み、獄中で悟達を得た戸田城聖第二代会長の大確信である。いずこの国も地域も、その尊き組織を、私利私欲の徒輩に利用され、攪乱されるようなことがあっては絶対にならない。
 
 御聖訓には「外道・悪人は如来の正法を破りがたし仏弟子等・必ず仏法を破るべし師子身中の虫の師子を食」(御書957ページ)と。
 
 広宣流布とは、この破壊の動き、「魔」の働きとの永遠の戦いなのだ。
 
 (「SGI」の章、98~99ページ)

大切なことは具体的な行動

 <4月、中国を訪問した伸一は、宿舎で中日友好協会の張香山副会長らと懇談した>
 
 永続的な平和友好をどう築くかという観点から、日中間の諸問題、また、中ソの関係、さらに、アジア、世界の諸問題について、活発に意見を交換した。
 
 伸一の主張――。それは「中国は、ソ連とも、また、アメリカとも、平和友好の道を歩むべきである」ということであった。
 
 中国側も率直に、内外の諸情勢に関する見解を述べ、困難はあるが平和の大道をめざす考えであることを語った。
 
 伸一は、さらに踏み込んで話を進めた。
 
 「そこで大事なことは“では、どうすれば、戦争を回避できるのか。目的と手段を混同しないで、いかにすれば平和という目的に近づけるか”ということです。つまり、抽象的な展望ではなく、具体的に中国が何をするかです」
 
 語らいが、単に状況の分析や批評、あるいは抽象的な結論に終わってしまうならば、問題解決への本当の進展はない。大切なことは、今日から何をするか、今から何をするかである――伸一は、常にそれを心がけ、自らの信条としてきた。時は、瞬く間に流れていってしまうのだ。
 
 (中略)伸一は自身の決意と、今後、行うべきテーマを明快に語った。
 
 「私は、一民間人として世界平和への底流をつくる意味から、さらに民衆間の交流を進めていきます。特にこれからは、長く侵略や抑圧に苦しんできた国々も回り、幾重にも平和と友好の橋を架けてまいります。私たち人類は、いつまでも対立と反目、そして戦争を繰り返していては、絶対にならないと思います。それを変えたいんです」
 
 (「人間外交」の章、151~152ページ)

座談会場は生命蘇生の宝処

 <5月、創価大学で、「5・3」記念式典が開催され、席上、座談会場などの会場提供者への表彰が行われた>
 
 山本伸一は、会場提供者の苦労を、よく知っていた。
 
 彼自身、青年時代からアパートの自室を、座談会場などとして提供してきた。何人ものメンバーが訪ねてくるので、“駐輪などで、周囲に迷惑はかからないか。声が外に漏れていないか”と、心を配った。参加者のなかには、注意を呼びかけても、大声で話しながら来る人や、足音を響かせて廊下を歩く人もいた。
 
 伸一は、会合の前後には、隣人たちに、あいさつをして回るように心がけてきた。
 
 また、彼は、自分が座談会など、個人の家を使っての会合に出席した折には、家の方々に必ず丁重に御礼を述べた。そして、その家に受験生や病人などがいることがわかると、会場として使用することは、しばらく控えるようにしてきた。やむなく使わせてもらった場合にも、早めに切り上げ、皆が長居をしないように努めた。
 
 さらに、会場提供者と話し合い、使用した部屋はもとより、トイレ、玄関などの清掃も、皆で手分けして行うようにしてきたのである。
 
 ともあれ幹部は、会場提供者に最大の配慮と感謝を忘れてはならない。
 
 会場があるから広宣流布が進むのである。仏法が説かれ、功徳が語り合われ、発心を誓い合う場となる会場は、さながら現代における霊鷲山会であり、虚空会といってよい。そこは生命蘇生の宝処なのである。
 
 (「共鳴音」の章、232~233ページ)

民衆の心つなぐ文化交流を

 <5月、モスクワ大学から名誉博士号を贈られた伸一は、同大学の文化宮殿で、「東西文化交流の新しい道」と題して記念講演を行った>
 
 伸一は、シルクロードが八世紀ごろから次第にすたれ、ヨーロッパと極東地域を結ぶ海上ルートが確立されていった経過を語った。そして、話を現代に移し、今や交通網、通信網は目覚ましい発達を遂げ、物と物、情報と情報の交換はあるものの、人間と人間、なかんずく心と心の交流の希薄さを、大きな問題点として指摘したのである。
 
 (中略)伸一は、これまでに会った、世界の心ある識者、指導者は、東西文化交流の早期実現を強く念願し、その声は世界の潮流となってきていることを述べ、こう力説した。
 
 「民族、体制、イデオロギーの壁を超えて、文化の全領域にわたる民衆という底流からの交わり、つまり、人間と人間との心をつなぐ『精神のシルクロード』が、今ほど要請されている時代はないと、私は訴えたいのであります。
 
 それというのも、民衆同士の自然的意思の高まりによる文化交流こそ、『不信』を『信頼』に変え、『反目』を『理解』に変え、この世界から戦争という名の怪物を駆逐し、真実の永続的な平和の達成を可能にすると思うからであります。
 
 民衆同士の連帯を欠いた単なる政府間協定が、一夜にして崩れ去り、武力衝突の悲劇へと逆転した歴史を、われわれ人類は何回となく経験してきたのであります。同じ過ちを繰り返してはなりません」
 
 (中略)
 
 「相手の中に“人間”を発見した時こそ、お互いの間に立ちふさがる一切の障壁は瞬くうちに瓦解するでしょう。実際、私は今、皆さんとともに話し合っています。交流しています。皆さんとは、平和を共通の願いとする友と信じます。皆さんはいかがでしょうか!」
 
 大きな賛同の拍手が湧き起こった。
 
 (「宝冠」の章、379~381ページ)

私の履歴書
音楽隊の演奏に、力強く指揮を執る戸田先生と池田先生(1958年3月、静岡県内で)
音楽隊の演奏に、力強く指揮を執る戸田先生と池田先生(1958年3月、静岡県内で)

 <1975年(昭和50年)2月1日、山本伸一は「日本経済新聞」紙上に「私の履歴書」と題する自伝の連載を開始する>
 
 「私の履歴書」は、体験をもとにした平和への叫びとなっていた。
 
 伸一は、生涯、平和を叫び抜くことこそ、戦争の時代に育った自分たちの世代の、責任であると考えていたのだ。いかなる時代に生まれたか――それもまた、宿命であり、使命である。
 
 「私の履歴書」には、伸一が戸田の経営する出版社に勤め、戸田の事業が破綻していくなかで、師を守り支えた青春の苦闘も記した。峯子との結婚にいたるいきさつも、選挙違反という無実の罪を着せられ、不当逮捕された大阪事件も、ありのままにつづった。
 
 連載は、伸一の第三代会長就任後の、世界平和への軌跡をたどり、この一九七五年(昭和五十年)一月にグアムで開催された世界平和会議までを記して終わっている。
 
 彼は自分の来し方を通して、創価学会の真実の姿と、師である戸田城聖の偉大さを、読者が少しでも理解してくれればと願いながら、ペンを執ったのである。伸一の初めての自伝であり、しかも一般紙の連載とあって、反響は大きかった。(中略)
 
 そのなかには、「連載の随所から、戸田城聖氏という師匠をもてたことへの筆者の感謝が伝わってきます。戸田氏の偉大さを初めて知りました」など、戸田への賞讃の声も少なくなかった。
 
 伸一は、何よりも、それが嬉しかった。師を宣揚し、その真実と正義を伝え抜くことは弟子の責任であり、義務であると、彼は考えていたからだ。師への賞讃は、弟子の勝利である。伸一は、“戸田先生の正義を世に示し、師匠を宣揚するために、書いて書いて書きまくろう!”と決意していた。
 
 学会が、どんなに高く評価されようが、師匠が正しく理解され、讃えられなければ、そこには師の精神の継承はない。学会精神とは、牧口常三郎の、そして、戸田城聖の生き方のなかに脈動しているものであるからだ。いや、仏法そのものが、人の生き方のなかにあるといえよう。ゆえに、日蓮大聖人は「教主釈尊の出世の本懐は人の振舞にて候けるぞ」(御書1174ページ)と仰せなのである。
 
 観念的な理論のなかには、仏法の脈動はない。
 
 (「人間外交」の章、121~122ページ)

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 聖教電子版の「世界広布の大道 小説『新・人間革命』に学ぶ」第21巻「解説編」の池田博正主任副会長の紙上講座と動画を閲覧できます。

 第21巻「解説編」はこちら

動画

SDGs✕SEIKYO

SDGs✕SEIKYO

連載まとめ

連載まとめ

Seikyo Gift

Seikyo Gift

聖教ブックストア

聖教ブックストア

デジタル特集

DIGITAL FEATURE ARTICLES デジタル特集

YOUTH

劇画

劇画
  • HUMAN REVOLUTION 人間革命検索
  • CLIP クリップ
  • VOICE SERVICE 音声
  • HOW TO USE 聖教電子版の使い方
PAGE TOP