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【創価学園NAVI】 創価中学校・高校 SDGs教育の取り組み 2022年10月17日

  • 中高一貫教育の強みを生かして、諸課題と向き合う「探究力」を育む

 17の目標と169のターゲットからなる、持続可能でよりよい世界を目指す国際目標「SDGs(持続可能な開発目標)」。2015年に国連総会で採択されて以降、広く社会に普及してきた。現在、多くの教育現場においても、SDGs推進のための教育が実施されている。今回の「創価学園NAVI」では、創価中学校・高校での取り組みを紹介する。

高校2年の「総合的な探究の時間」の一こま。このグループでは、洗濯ネットを使ったプラスチック汚染対策について探究した
高校2年の「総合的な探究の時間」の一こま。このグループでは、洗濯ネットを使ったプラスチック汚染対策について探究した
“知る”から“深める”へ

 「今やSDGsは、小学生にとっても常識になりつつあります。創価中学校では、SDGsを“知る”だけではなく、“深める”ための教育に力を入れてきました」
 そう語るのは、英語科の佐藤光一教諭。昨年度は1年生の学年主任、本年度は2年生の学年主任を務め、「探究」の授業設計に携わってきた。
 この授業では、生徒が自主的にテーマを見つけ、情報収集や整理・分析などを行う。創価中学校では、この授業を通じて、SDGsへの理解を深められるよう工夫をこらしてきた。
 昨年度の1年生は、「悩んでいる人を助けようプロジェクト」と題した活動を実施。グループごとに“悩み”を設定し、1年かけて解決策を探った。
 「友達ができない」「スマホがやめられない」といった身近なものから、「地球温暖化」「難民」「人種差別」といった社会的なものまで、生徒たちは、幅広いテーマで探究を進めてきた。
 注目すべきは、テーマ設定の段階ではSDGsに一切触れていない点だ。その理由について、佐藤教諭は説明する。
 「最初にSDGsという枠を定めてしまうと、生徒の視野が狭まってしまうと考えたからです」
 自分たちで課題を見つけ出す。そして、その課題とSDGsとの関係性を考える。こうしたプロセスを経ることで、生徒たちが、SDGsの推進を“自分のこと”として捉えられるという。
 「世界の課題についてもっと知りたくなった」「なぜSDGsが大切なのか分かった」――プロジェクト終了時には、こうした生徒の声が寄せられた。
 2年次の「探究」の授業では、「SDGsアドベンチャー」という取り組みが行われた。金融関係、ホテル、製薬会社、IT関係など、20の企業・団体を生徒がグループ別に訪問し、どのようにSDGsを推進しているかを学ぶものだ。各グループで訪問先について調べ、質問項目を作成する。その後、実際に職場を訪れ、仕事内容とともにSDGs推進の取り組みを聞き取っていく。
 中学2年の野間秀一さんは、金融系の企業を訪問。SDGs推進のために行う、貧困問題の解消や女性起業家への支援を目的とした投資事業を紹介してもらった。
 「オフィスはとても広く、中にはカフェがあって、会社のイメージが大きく変わりました」
 同じく2年の寺山良美さんが見学した電機メーカーでは、SDGsのターゲットを基に「会社に足りない部分は何か」を検討し、労働環境の改善に力を入れるようになった話を聞くことができた。
 「それまではSDGsを知ってはいたけれど、なかなか実感が持てませんでした。でも、具体的なアクションを見たことで、“私にも何かできることがあるはずだ”と思えるようになりました」
 こうしたプログラムを作成するに当たり、佐藤教諭が大切にしたのは、高校との連携であった。
 「高校の探究科の石野教諭とは、よく話し合いました。高校の教育内容を知ることで、中学として、どこにゴールを設定するかが明確になりました」

「SDGsアドベンチャー」で、一般社団法人「全国清涼飲料連合会」を訪問した生徒たち。ペットボトルが再利用される「首都圏環境美化センター」を見学する
「SDGsアドベンチャー」で、一般社団法人「全国清涼飲料連合会」を訪問した生徒たち。ペットボトルが再利用される「首都圏環境美化センター」を見学する
どのような問いを立てるか

 「中学校では、SDGsを身近に感じることに力点が置かれていました。高校では、もう一歩進んで、SDGsの本質を理解し、深掘りすることが目的となっています。その方法を習得するための教育プログラムが、GCIS(世界市民探究)です」
 創価高校で探究科を担当する石野正好教諭は語る。
 GCISとは、一昨年から始まった「総合的な探究の時間」の名称で、不確実な現代社会を生き抜くために、探究する力を養うことが目的となっている。
 あるテーマを調べるだけでは、単なる知識の習得で終わってしまう。そこから、より深い学びにつなげるためには、どのような問題意識を持つか、言い換えれば、どのような「問い」を立てるかが大切になってくる。
 記者が訪れた1年生の授業では、まさに「問いの立て方」に関してレクチャーが行われていた。
 教員が生徒に呼びかける。
 「それでは、今、グループで考えた質問の中から、クローズドクエスチョンをオープンクエスチョンにしてください」
 クローズドクエスチョンとは、「はい/いいえ」で答えられる質問。対して、オープンクエスチョンとは、選択肢がなく自由に発言できる質問のことだ。
 例えば、「食品ロス削減は、今後も促進すべきか」は、クローズドクエスチョン。「食品ロス削減について、どのように推進すべきか」は、オープンクエスチョンとなる。このように、「問い」の立て方によって、課題をどこまで深掘りできるかが決まる。
 2年生では、実際に企業や行政、大学・研究機関等の協力を得ながら、グループごとに立てた「問い」をどう解決に導くか、具体的な行動プランを考える。あるグループでは、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究者にアドバイスを受けながら、海洋プラスチック問題について探究していた。
 「夏休みに、グループのみんなで江の島の海岸に行って、ビーチクリーン(海岸清掃)に参加したんです。今まで気付かなかった細かいゴミがたくさん落ちていることを知って、意識が変わりました」
 自発的な学習から、新たな行動が生まれ、生徒の意識が変わる。その“生きた学び”が、SDGsの推進と生徒の成長につながっていく。

試行錯誤の連続

 創価高校では、通常授業とは別に、「GLP(グローバル・リーダーズ・プログラム)」と呼ばれる選抜型の探究活動も実施されている。ここでは、核兵器廃絶にテーマを特化して探究学習を行う。週1回の活動のほか、先進的な平和研究を進める、アメリカ・ミドルベリー国際大学院モントレー校とのオンライン授業への参加や広島でのフィールドワークなど、充実した内容となっている。
 「核兵器廃絶は、創立者・池田先生が長年取り組んでこられたテーマでもあり、SDGs達成にも大きく関わります。その分野で貢献できる人材を学園から輩出したいという思いで、このプログラムを始めました」と、GLPを担当する落合謙一郎教諭は語る。
 GLPを受講していた生徒の代表が、活動の一環として、核の脅威が渦巻く世界の実態を学ぶためのカードゲームを考案。本年8月、広島市の広島女学院高校主催の「ピースフォーラム」で、その内容を発表し、好評を得た。
 ◇ 
 中高一貫の強みを生かして、充実した教育プログラムがつくられつつある創価学園。「とはいえ、まだまだ試行錯誤の連続です」と石野教諭は語る。
 「私たち教員が今までの固定観念を捨てて、これからの時代に即した教育を提供できるかが課題です。中高の担当教員の連携もより深めていきたいと思っています」
 SDGsのゴールである2030年まで残り8年を切った。持続可能な未来を目指して、創価学園の挑戦は続く。

生徒たち自身が作成した核兵器廃絶に関するカードゲームを使って、難しい課題を身近に捉える
生徒たち自身が作成した核兵器廃絶に関するカードゲームを使って、難しい課題を身近に捉える
東西の創価学園で入試関連イベント

 東西の創価学園で、入学希望者のためのイベントが行われる。日程は次の通り(全て事前参加申し込みが必要)。
  
 〈創価高校(東京・小平市)〉
 ◎学校見学(中学生と保護者対象)
 【日程】10月29日(土)、11月12日(土)
 (予約は、10月29日分は同27日まで、11月12日分は同10日まで)
 ◎オンライン教員相談
 【日程】11月26日(土)
 (予約は、同14日から同24日まで)
  
 〈創価中学校(同)〉
 ◎ミニ入試説明会
 ※10月9日の入試説明会の、一部内容を短縮して実施
 【日程】10月22日(土)、29日(土)
 (予約は、10月22日分は同20日まで、同29日分は同27日まで)
  
 〈関西創価高校(大阪・交野市)〉
 ◎金星寮見学ツアー(通学圏外限定)
 【日程】10月23日(日)
 (予約は同20日まで)
 ◎オンライン「学園生に聞いてみよう」
 【日程】10月29日(土)
 (予約は同26日まで)
 ◎オープンキャンパス
 【日程】10月30日(日)
 (予約は同29日まで)
  
 〈関西創価中学校(同)〉
 ◎オンライン「学園生に聞いてみよう」
 【日程】10月22日(土)
 (予約は同19日まで)
 ◎オープンキャンパス
 【日程】10月30日(日)
 (予約は同29日まで)
  
 ※各イベントの詳細確認、申し込みは、各校ホームページを参照してください。以下のURLから、アクセス可能です。
 https://soka.ed.jp/relations/guidance/

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