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【創価学園NAVI】 目指せ「漢検」全員合格!――児童の自信を育む関西創価小学校の漢字教育 2021年6月13日

  • 漢検団体受検の合格率で4回の“日本一”
  • 児童は漢字作文コンクール等でも活躍

 英語やプログラミングが必修となり、ICT(情報通信技術)機器の導入が進む小学校の教育現場。関西創価小学校でも、新たな取り組みが次々と進められている。そうした中、“これまで継続して力を入れているものは何ですか”と、教員に聞いてみた。すると、「一つは漢字ですね!」ときっぱり。“なぜ、漢字?”――そう思いつつ、大阪・枚方市にある同校を訪ねた。

「空書き、よーい!」――教員の掛け声に応じて、一本指を宙に高く掲げる関西創価小学校の児童たち。体全体を動かして、空中に漢字の一画一画を書き、楽しく覚える(同校で)
「空書き、よーい!」――教員の掛け声に応じて、一本指を宙に高く掲げる関西創価小学校の児童たち。体全体を動かして、空中に漢字の一画一画を書き、楽しく覚える(同校で)

 「よーい! さんはいっ!」
 「いち、にぃーいっ、さんっ、しぃ、ごーおっ……」
 
 教員の掛け声に合わせ、子どもたちが一斉にテンポよく数を数えながら、頭上に掲げた人さし指を、縦へ、横へ、斜めへと大きく動かしていく。皆、同じ方向に。息がぴったりだ。
 
 これは、空中に漢字一字を書く「空書き」。体全体で書き順や文字の形を覚える。
 
 続いて、机に指の腹で書く「指書き」。最後に、筆記用具を使って実際に数回、文字を書いていく。
 
 関西創価小学校の国語の授業では、ほぼ毎回、漢字学習の時間が設けられている。2学期末までに1年分の漢字を学び終え、3学期は「漢字検定(日本漢字能力検定)」に向けて模擬テストなどを重ねる。
 
 なぜ、漢字学習に力を入れているのか――。
 
 国語科主任の山下大樹教諭はこう答える。
 「『漢字』は、努力なくしては身に付きません。言い換えれば、努力をすれば、全ての子が必ず上達できます。『やれば、できる!』という学びに対する自信を得ることができるのです。
 また、漢字の練習は一人でも、短時間でもできるので、机に向かって自主的に学習する姿勢も身に付きます。『ここまでできたよ!』とわざわざ学校に電話してくれる子や、漢字がびっしりと書かれたノートを抱え、『先生、見て見て!』とうれしそうに報告してくれる子もいます」

目標を掲げる

 関西創価小学校の漢字教育の柱の一つが「漢字検定」への取り組み。2011年度から3年生以上の全児童が毎年、受検している。目標は、各学年の「全員合格」だ。
 
 同校は、18年度まで4年連続で漢検“日本一(最優秀団体賞)”に輝いた。また19、20年度は「優秀団体賞」を受賞している。

2015年度から4年連続で関西創価小学校に贈られた漢字検定「最優秀団体賞」の表彰状など
2015年度から4年連続で関西創価小学校に贈られた漢字検定「最優秀団体賞」の表彰状など

 検定が近くなると、早朝の勉強会を開催。漢検対策アプリを使ったり、自分でノートを作ったりしながら、各自が勉強に励む。
 
 鈴木冨三江副校長は語った。「漢字が苦手という子もいますが、『全員合格』を目指すことで、子どもたち同士で励まし、教え合うなど、クラス全体で学ぶ雰囲気が生まれていきます。苦手だった子の模擬テストの点数がどんどん上がっていくと、クラス中が喜びに沸きます。
 また、一方で漢字が得意な児童は、合格だけではなく『満点』を目指して切磋琢磨しています。一人一人が自分の目標を掲げて努力し、その頑張りを皆でたたえ合う――そうした学ぶ喜びや達成感を、一人ももれなく全員に味わわせてあげたいのです」
 
 吉井陽花さん(6年)は率先して勉強会に参加してきた一人。もともと漢字学習が苦手だったが、「一緒に頑張ろう」と励ましてくれる友達のおかげで、覚えるコツを徐々につかんだ。
 
 休み時間も“よし! この時間に一つでも漢字を覚えよう”と机に向かい、毎日“ノート2ページ”の書き取りも地道に重ねる。5年生で挑んだ6級(小学校5年生修了程度〈835字〉)では努力が実を結び、満点にあと少しと迫る、自身の過去最高得点で合格した。
 
 「勉強を通して、友達とも仲良くなり、努力する楽しさを知りました。次こそは、『満点合格』を目指します!」

ドリルを使って漢字の書き取りを行う関西創価小学生。ある児童は、ドリルの取り組みについて「先生が細かく見てくれて、褒めてくれるから“もっと頑張ろう”って思うの!」と
ドリルを使って漢字の書き取りを行う関西創価小学生。ある児童は、ドリルの取り組みについて「先生が細かく見てくれて、褒めてくれるから“もっと頑張ろう”って思うの!」と

 毎年、漢字検定に取り組む中、学年のレベル以上の検定に果敢に挑む児童もいる。福田正雄君(6年)は今年の冬に見事、漢検3級(中学校卒業程度〈1623字〉)の合格を勝ち取った。
 
 「漢字検定の勉強を続けることで、自宅学習の習慣ができました。低学年の時は、宿題をやって終わりでしたが、今は漢検の勉強をした後、“次は算数や社会の予習・復習をやろう!”とやる気が出てきます」
 
 英語の学習にも取り組み、今は漢字検定、英語検定ともに準2級の取得に向けて勉強に励む。

意味を理解する

 関西小では長年、「書写」にも力を入れてきた。授業では、漢字への理解を深めるために、文字の成り立ちなども学ぶ。
 
 書き初め展で全国3位相当の賞に輝いたことのある森勇気君(6年)も、その授業を楽しみにしている。
 
 「丁寧な書き方だけでなくて、古代文字などを見ながら、一つ一つの漢字の成り立ちを学ぶことができ、“一文字に、こんな意味や思いが詰まっていたのか”という発見があり、とても面白いです。もっと漢字のことを知りたくなります」

文字には書く人の心が表れる――児童が一筆一筆、丁寧に書き進める
文字には書く人の心が表れる――児童が一筆一筆、丁寧に書き進める

 言葉の理解を深める取り組みの一つとして、関西小では、同校が立つ大阪・枚方市の教育委員会が主催する「漢字をテーマに思いを伝える作文コンクール」にも、学校を挙げて取り組んできた。これは、漢字一字や熟語一つをテーマに定め、自分の経験や思いをつづるものである。
 
 同市には、韓・朝鮮半島から日本へ「漢字」を伝えたとされる学者・王仁の墓があり、「漢字のまち枚方」をPRしている。同コンクールはその一環。関西小は2003年の第1回から参加し、毎年多くの入賞者を出してきた。
 
 19年度のコンクールでは、小学生の応募総数1万2544点の中から、中学年(3・4年生)の部で関西小の井阪杏紗さん(当時3年で、現在5年)が、見事「最優秀賞(1位)」に輝いた。
 
 井阪さんがテーマに選んだ漢字は「負」。
 
 当初は、「勝」にしようとしたが、「“勝つことよりも負けないことが大事”との創立者の池田先生の言葉を思い出して、あえて『負』にしました」。
 
 作文では、2年生の時のマラソン大会の日を描いた。
 
 ――マラソン大会と、兄の大きな手術が重なった。大会前、手術が成功したとの知らせが届く。“お兄ちゃんが頑張ったから、私も負けないんだ”と決めて、力走。その結果、1位でゴールテープを切った――
 
 作文の終わり、井阪さんは「負」には“背負う”の意味もあることに触れ、こう結んだ。
 
 「わたしは思い出の宝物をせおって、負けない心でなにごともさいごまでやりぬきます」

関西創価小学生たちが取り組む漢検の学習アプリ
関西創価小学生たちが取り組む漢検の学習アプリ
言葉を大切に

 関西小では、漢字学習に力を入れる中、毎年、各種コンクールの入賞者も多く出ている。
 
 池田冠都君(6年)も、これまで多くの作文コンクールに挑戦してきた。片道2時間の電車通学では、読書に励む。
 
 「漢字を学ぶほど、新しく出あう熟語や言葉に興味を持つようになりました。本を読むときも、“主人公はどういう気持ちだろう”“この表現は今度の作文で使ってみようかな”と、言葉の意味を考えながら読むようになりました」
 
 池田君は昨年度、第27回「私のかなえたい夢」作文・絵コンクールの作文部門で特選(全国3位相当)を受賞。その他、多数の作文コンクールでも入賞している。
 
 鈴木副校長は語る。
 「『文字』には『心』が込められています。関西創価小学校では、漢字教育を通して、一文字一文字を大切にする心豊かな児童を育んでいきたいと思っています。
 言葉を大切にできる児童は、コミュニケーションを大切にし、他者を大切にする人に成長していきます。そうした心を磨いた世界市民を輩出していきます」
  
  

◆児童が憧れる漢検の満点合格
  
 関西創価小学校では2003年度から“できる喜び”を育みたいと、児童たちに漢検受検を勧めてきた。希望者が児童の大半を占めるようになり、11年度からは3年生以上の全児童が受検している。児童たちは「全員受検・全員合格」を合言葉に互いに励まし、教え合いながら学んでいる。近年では「満点合格」を目指す児童も多くなってきた。“満点合格は狭き門”といわれているが、本年2月に実施された漢字検定では、児童52人が満点での合格を勝ち取った。同校で過去最多となる。満点合格者には日本漢字能力検定協会から特別な合格証書が贈られる。

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