【創価学園NAVI】 多聴・多読で英語力の土台をつくる――東京創価小学校・英語教育
【創価学園NAVI】 多聴・多読で英語力の土台をつくる――東京創価小学校・英語教育
2022年6月3日
文部科学省が2020年度に施行した新学習指導要領。その柱の一つが、小学3年からの英語必修化だ。今や、小学校の英語学習は、教育界で重視されるようになったが、東京創価小学校では、それに先駆けて、02年度に1年生からの英語教育をスタート。多数の教員による小グループ学習やICT(情報通信技術)を活用した学びを実践している。どのような授業が行われているのか――5月上旬に同校を訪れた。
文部科学省が2020年度に施行した新学習指導要領。その柱の一つが、小学3年からの英語必修化だ。今や、小学校の英語学習は、教育界で重視されるようになったが、東京創価小学校では、それに先駆けて、02年度に1年生からの英語教育をスタート。多数の教員による小グループ学習やICT(情報通信技術)を活用した学びを実践している。どのような授業が行われているのか――5月上旬に同校を訪れた。
1クラス4人の教員
1クラス4人の教員
ここは2年生の教室。
暖かな日差しの中、教師と児童たちが元気に言葉を交わす。
「皆さん、おはようございます!」
「おはようございます!」
「調子はどうですか?」
「元気です!」
「ちょっと暑いです!」
「おなかがすきました!(笑い)」
教室が爆笑に包まれる。
「今から、二つのチームに分かれます。半分は教室に残って、もう半分は“WORLD STATION”に移動です!」
こう教師が呼び掛けると、児童の半数が「WORLD STATION」という別教室に移動を始める。
実はこれらの会話は、全て流ちょうな英語で行われている。
気になって、児童に聞いてみた――先生の話、分かるの?
「全部は分からないけど、何となく分かります!」
なるほど。完璧に分からなくても、気にする必要はないらしい。
半数の児童が残った教室では、皆が音楽に合わせて、歌い、踊る。
ここは2年生の教室。
暖かな日差しの中、教師と児童たちが元気に言葉を交わす。
「皆さん、おはようございます!」
「おはようございます!」
「調子はどうですか?」
「元気です!」
「ちょっと暑いです!」
「おなかがすきました!(笑い)」
教室が爆笑に包まれる。
「今から、二つのチームに分かれます。半分は教室に残って、もう半分は“WORLD STATION”に移動です!」
こう教師が呼び掛けると、児童の半数が「WORLD STATION」という別教室に移動を始める。
実はこれらの会話は、全て流ちょうな英語で行われている。
気になって、児童に聞いてみた――先生の話、分かるの?
「全部は分からないけど、何となく分かります!」
なるほど。完璧に分からなくても、気にする必要はないらしい。
半数の児童が残った教室では、皆が音楽に合わせて、歌い、踊る。
音楽に合わせて体を動かしながら、英語に親しむ
音楽に合わせて体を動かしながら、英語に親しむ
「Head,Shoulders,Knees&Toes……」
正しい発音を聞きながら、全身を動かして体の部位にタッチしていく児童たち。終始、笑顔が絶えない。
一方、「WORLD STATION」では、三つのグループに分かれて、カードゲームを行う。
教師が英語で読み上げた単語を聞いて、イラストが描かれたカードを取っていく「かるた」のような遊びだ。さらに最初の発音が同じカードを裏返してパズルのように組み合わせると、アルファベットの一文字が出来上がる。
「これはApple(リンゴ)だからAngry(怒っている)とAnt(アリ)は一緒で……」
これは「フォニックス」と呼ばれる学習法で、「A、B、C」なら「ア、ブゥ、ク」というように、アルファベットごとの発音を学び、スペルと発音の関係を覚えていく。こうした学びを積み重ねることで、英語本来の発音が身に付くとともに、文字も読めるようになるという。
授業中、記者の目を引いたのは、教員の“多さ”だ。1クラス30人程度の児童に対して、担当する教員は4人。複数の教員で臨む「チーム・ティーチング」方式を採り、手厚いサポートと励ましで、児童たちの学びを支えている。
「Head,Shoulders,Knees&Toes……」
正しい発音を聞きながら、全身を動かして体の部位にタッチしていく児童たち。終始、笑顔が絶えない。
一方、「WORLD STATION」では、三つのグループに分かれて、カードゲームを行う。
教師が英語で読み上げた単語を聞いて、イラストが描かれたカードを取っていく「かるた」のような遊びだ。さらに最初の発音が同じカードを裏返してパズルのように組み合わせると、アルファベットの一文字が出来上がる。
「これはApple(リンゴ)だからAngry(怒っている)とAnt(アリ)は一緒で……」
これは「フォニックス」と呼ばれる学習法で、「A、B、C」なら「ア、ブゥ、ク」というように、アルファベットごとの発音を学び、スペルと発音の関係を覚えていく。こうした学びを積み重ねることで、英語本来の発音が身に付くとともに、文字も読めるようになるという。
授業中、記者の目を引いたのは、教員の“多さ”だ。1クラス30人程度の児童に対して、担当する教員は4人。複数の教員で臨む「チーム・ティーチング」方式を採り、手厚いサポートと励ましで、児童たちの学びを支えている。
今日の英語、楽しかった?
今日の英語、楽しかった?
低学年の英語では、「聴く・話す・読む・書く」の4技能の内、英語理解の土台となる「聴く・読む」の能力向上に焦点を当てている。
その理由について、英語科の松原裕里教諭はこう説明する。
「脳が柔軟な状態にある小学1・2年生の“吸収力”には、ただただ驚くばかりです。例えば、日本人には難しいとされる“L”と“R”の発音であっても、自然にマスターできます。“英語を英語のまま理解する”という、英語学習の基礎となる感覚を育むためには、『多聴・多読』といわれる、良質で大量のインプットが大切だと感じます」
小中高そして大学と、英語学習との付き合いは長い。“入り口”である小学校の時期は、児童が英語の世界を広げる上で重要だという。
児童の興味や関心を高めるために、授業で使うコンテンツの充実に力を入れるとともに、各家庭とも連携して英語教育を進めている。
「保護者の方々には、『今日の英語、分かった?』ではなく、『今日の英語、楽しかった?』と児童に聞いていただくようにお願いしています。子どもは少しでも分からないことがあると、『分からない』と答えてしまいがち。そうすると、“自分は分からなかったんだ”と思い込んで、自信をなくしてしまうんです。子どもたちには、楽しく英語と付き合ってほしい。楽しければ、学び続けていくことができますから」
低学年の英語では、「聴く・話す・読む・書く」の4技能の内、英語理解の土台となる「聴く・読む」の能力向上に焦点を当てている。
その理由について、英語科の松原裕里教諭はこう説明する。
「脳が柔軟な状態にある小学1・2年生の“吸収力”には、ただただ驚くばかりです。例えば、日本人には難しいとされる“L”と“R”の発音であっても、自然にマスターできます。“英語を英語のまま理解する”という、英語学習の基礎となる感覚を育むためには、『多聴・多読』といわれる、良質で大量のインプットが大切だと感じます」
小中高そして大学と、英語学習との付き合いは長い。“入り口”である小学校の時期は、児童が英語の世界を広げる上で重要だという。
児童の興味や関心を高めるために、授業で使うコンテンツの充実に力を入れるとともに、各家庭とも連携して英語教育を進めている。
「保護者の方々には、『今日の英語、分かった?』ではなく、『今日の英語、楽しかった?』と児童に聞いていただくようにお願いしています。子どもは少しでも分からないことがあると、『分からない』と答えてしまいがち。そうすると、“自分は分からなかったんだ”と思い込んで、自信をなくしてしまうんです。子どもたちには、楽しく英語と付き合ってほしい。楽しければ、学び続けていくことができますから」
PC導入による変化
PC導入による変化
高学年では、寸劇やスピーチ、ロールプレイなどを行いながら、英語を使って表現する力を養う。取材した5年生の授業では、朗読劇の練習が行われ、チームごとで台本の読み合わせなどに励んでいた。
東京創価小学校では、授業において「対話による学び合い」を取り入れている。教師からの一方的な知識の伝達ではなく、児童たちが主体的に話し合いながら力を合わせて課題を解決し、理解を深めていくスタイルだ。その中で培われた、協力して学び合う姿勢が、朗読劇のようなプロジェクト型の学習を円滑に進める“後押し”になっている。
授業の後半は、「自主学習」の時間となる。そのための必須アイテムが、児童全員に貸し出されているタッチパネルパソコン(PC)だ。
児童のPCには、英語学習用のアプリが導入されており、さまざまな書籍や映像を見ることができる。教室を見渡すと、PCで動画を見ている児童もいれば、英語劇の練習を行う児童もいる。教師と一緒に本の読み合わせを行う児童もいた。
PCは持ち運びやすいため、自宅での学習も可能になり、意欲があれば好きなだけ英語に触れられる。
高学年では、寸劇やスピーチ、ロールプレイなどを行いながら、英語を使って表現する力を養う。取材した5年生の授業では、朗読劇の練習が行われ、チームごとで台本の読み合わせなどに励んでいた。
東京創価小学校では、授業において「対話による学び合い」を取り入れている。教師からの一方的な知識の伝達ではなく、児童たちが主体的に話し合いながら力を合わせて課題を解決し、理解を深めていくスタイルだ。その中で培われた、協力して学び合う姿勢が、朗読劇のようなプロジェクト型の学習を円滑に進める“後押し”になっている。
授業の後半は、「自主学習」の時間となる。そのための必須アイテムが、児童全員に貸し出されているタッチパネルパソコン(PC)だ。
児童のPCには、英語学習用のアプリが導入されており、さまざまな書籍や映像を見ることができる。教室を見渡すと、PCで動画を見ている児童もいれば、英語劇の練習を行う児童もいる。教師と一緒に本の読み合わせを行う児童もいた。
PCは持ち運びやすいため、自宅での学習も可能になり、意欲があれば好きなだけ英語に触れられる。
英語劇の練習に励む児童たち。台本を手に、読み方を確認する
英語劇の練習に励む児童たち。台本を手に、読み方を確認する
「英語学習といっても、本を読むのが好きな子もいれば、動画を見る方がいい子もいます。児童の好みや得意分野に合わせて、多様なコンテンツを提供できるため、PCを使った英語学習は、一人一人の理解状況や適性に合わせた学習に、とても有効です」と松原教諭。
また、本年度からは、毎日、午後の授業前の7分間、英語に触れる「Eスタ」の時間を設けている。継続が大切な英語学習において、学校生活の中で毎日英語に触れる時間をもつことは重要だ。
PCの導入によって、大きく変化した東京創価小の英語教育。「でも、これからが正念場です」と松原教諭の決意は固い。
「現在、創価学園の英語科では、小中高の教員で定期的に意見交換を行っています。12年間の一貫教育の強みを生かし、より良いカリキュラム、充実した学習環境と、きめの細かいサポートを提供していきます」
創立者・池田先生は、「語学は世界へのパスポート」と語った。創価教育の目指す「世界市民の育成」へ――創価学園は、さらなる挑戦を重ねていく。
「英語学習といっても、本を読むのが好きな子もいれば、動画を見る方がいい子もいます。児童の好みや得意分野に合わせて、多様なコンテンツを提供できるため、PCを使った英語学習は、一人一人の理解状況や適性に合わせた学習に、とても有効です」と松原教諭。
また、本年度からは、毎日、午後の授業前の7分間、英語に触れる「Eスタ」の時間を設けている。継続が大切な英語学習において、学校生活の中で毎日英語に触れる時間をもつことは重要だ。
PCの導入によって、大きく変化した東京創価小の英語教育。「でも、これからが正念場です」と松原教諭の決意は固い。
「現在、創価学園の英語科では、小中高の教員で定期的に意見交換を行っています。12年間の一貫教育の強みを生かし、より良いカリキュラム、充実した学習環境と、きめの細かいサポートを提供していきます」
創立者・池田先生は、「語学は世界へのパスポート」と語った。創価教育の目指す「世界市民の育成」へ――創価学園は、さらなる挑戦を重ねていく。
◎創小・英語教育 4つのポイント◎
◎創小・英語教育 4つのポイント◎
Point1 フォニックス
Point1 フォニックス
英語のスペルと発音の関係性を学ぶ音声学習法。アルファベットごとの発音を先に学ぶことで、自然に美しい発音が身に付き、文字を読む力も上がる。
英語のスペルと発音の関係性を学ぶ音声学習法。アルファベットごとの発音を先に学ぶことで、自然に美しい発音が身に付き、文字を読む力も上がる。
Point2 チーム・ティーチング
Point2 チーム・ティーチング
一つの授業を複数の教員が担当する方法。全ての英語の授業で導入されている。これにより、児童への細やかなサポートが可能となる。
一つの授業を複数の教員が担当する方法。全ての英語の授業で導入されている。これにより、児童への細やかなサポートが可能となる。
Point3 ICT機器の活用
Point3 ICT機器の活用
全ての児童に対して、ICT機器の貸与を実施している。動画や電子書籍など、多くの英語学習コンテンツがあり、良質で大量の英語のインプットに活用されている。
全ての児童に対して、ICT機器の貸与を実施している。動画や電子書籍など、多くの英語学習コンテンツがあり、良質で大量の英語のインプットに活用されている。
Point4 Eスタ
Point4 Eスタ
本年度より新たにスタートした取り組み。毎日、午後の授業前に、楽しく英語に触れる時間を設けている。「モジュール学習」と呼ばれる手法で、近年注目を浴びている。
本年度より新たにスタートした取り組み。毎日、午後の授業前に、楽しく英語に触れる時間を設けている。「モジュール学習」と呼ばれる手法で、近年注目を浴びている。
◎東西の創価学園でオープンキャンパス◎
◎東西の創価学園でオープンキャンパス◎
東西の創価学園で、入学希望者のためのイベントが行われる。
キャンパスツアーや体験授業、クラブ見学、教員・生徒らによる相談コーナーなど、各校で工夫を凝らした企画が準備されている。各行事の詳細は、各校のホームページを参照してください。7月度の日程は次の通り。
〈創価高校・中学校(東京・小平市)〉
◎オープンキャンパス=7月24日(日)
〈東京創価小学校(小平市、国分寺市)〉
◎学校説明会=7月31日(日)
〈関西創価高校・中学校(大阪・交野市)〉
◎オープンキャンパス=7月23日(土)
〈関西創価小学校(大阪・枚方市)〉
◎学校説明会=7月31日(日)
東西の創価学園で、入学希望者のためのイベントが行われる。
キャンパスツアーや体験授業、クラブ見学、教員・生徒らによる相談コーナーなど、各校で工夫を凝らした企画が準備されている。各行事の詳細は、各校のホームページを参照してください。7月度の日程は次の通り。
〈創価高校・中学校(東京・小平市)〉
◎オープンキャンパス=7月24日(日)
〈東京創価小学校(小平市、国分寺市)〉
◎学校説明会=7月31日(日)
〈関西創価高校・中学校(大阪・交野市)〉
◎オープンキャンパス=7月23日(土)
〈関西創価小学校(大阪・枚方市)〉
◎学校説明会=7月31日(日)