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〈SDGs×SEIKYO〉 解説編「世界における医療の“格差”って何?」 2023年1月28日

 「SDGs×SEIKYO」の解説編「ちーちゃんと考える 未来のカタチ」。今回は、SDGs(持続可能な開発目標)の目標3「すべての人に健康と福祉を」がテーマです。

「これで安心だね!」 作・迎朝子
「これで安心だね!」 作・迎朝子
年間500万人の子ども(5歳未満)が犠牲に
三大感染症エイズ・結核・マラリアへの対策も課題

 ちーちゃんは、病気になったことはあるかな?

 うん! まだ赤ちゃんの頃にすごい熱が出て、入院したことがあるって、母さんから聞いたよ。でも、お医者さんが治療してくれたおかげで、すぐに治ったんだって!

 そうかー。それは良かったのう。日本の医療は進んでいるからな。

 ほかの国は違うの?

 まだまだ医療の体制が整っていない国が多いんだよ。世界では年間500万人の子どもたちが、5歳になる前に亡くなっておる。そのうち半数以上が、アフリカのサハラ砂漠より南の地域に住む子どもたちじゃ。

 えーっ!! 病気のせいなの!?

 そう。早産や出産時の合併症、肺炎、下痢、マラリアなどの感染症が主な原因なんだ。

 感染症のことはテレビで見たことあるけど、マラリアって何? 私、初めて聞いた!

 日本では、なかなか耳にしないからな。マラリアは、マラリア原虫という寄生虫に侵された蚊に刺されて感染する病気で、主に熱帯や亜熱帯地域で流行しておる。年間60万人以上がマラリアで命を落としているが、その大半がアフリカで生まれた5歳未満の子どもたちじゃ。

 そうなんだ……。

 そして、マラリアは世界の三大感染症の一つでもあるんじゃよ。

 三大感染症?

 エイズ・結核・マラリアの総称だよ。エイズは、HIVというウイルスに感染することで起こる病気。結核は、結核菌を吸い込むことが原因で起こる病気だ。どちらも重症化すると死に至ってしまうのじゃが、こうした感染症で亡くなる人が多いのもまた、アフリカのような発展途上国なんだ。

 どうして、そうした感染症の被害が収まらないの?

 一番の理由は、裕福な国や人々であれば受けられるはずの予防や治療が受けにくいことだな。もちろん、マラリアのように、気候帯が関係した感染症もある。でも、それぞれの病気に対しての予防法・治療法が確立され始めた今、裕福な人々と、そうでない人々の間にある“格差”が大きな要因だと考えられる。

 “格差”って、どういうこと?

 例えば、医療サービスについていえば、「予防」の面だと、日本では当たり前に受けられる予防接種が、途上国などの子どもたちは受けられない。「治療」の面だと、開発された治療薬が飲めなかったり、医者の少なさが原因で病気にかかっても診てもらえないのじゃ。

 そっか……。他にもあるの?

 きれいな水が使えないといった衛生環境の悪さ。手洗いの重要性や感染を防ぐための知識が浸透していないという、教育の格差もあるのう。こうした格差をなくすために、各国政府や国際機関、団体などが協力して取り組んでおる。今、世界は新型コロナウイルスの大流行とも闘っているが、住む場所や収入などに左右されることなく、子どもをはじめ全ての人々の健康が守られることが、SDGsに掲げられた目標なんだ。

  
※ご感想をお寄せください sdgs@seikyo-np.jp
  
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https://www.seikyoonline.com/summarize/sdgs_seikyo.html

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1980年東京都生まれ。文筆家、「桃山商事」代表。早稲田大学第一文学部卒業。ジェンダー、恋愛、人間関係、カルチャーなどをテーマにさまざまな媒体で執筆。朝日新聞beの人生相談「悩みのるつぼ」では回答者を務める。著書に『おしゃべりから始める私たちのジェンダー入門──暮らしとメディアのモヤモヤ「言語化」通信』(朝日出版社)など多数。女子美術大学非常勤講師。

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