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ゼミ探訪「創大の教育学部」 2022年3月18日

  • 〈創大マガジン〉

 本年度実施の教員採用試験で、創価大学は200人を超える合格者を輩出(通教生、卒業生を含む)。開学以来、合格者数は延べ8100人を突破した。今回のゼミ探訪は、教育学部を特集。時代が求める教育者を養成する現場を取材した。

●上山ゼミ(児童教育学科)
国語の教材研究で考える楽しさを培う
川松さん(左端)による模擬授業を見守る上山准教授(右端)と、活発な意見を交わすゼミ生たち(手前左から時計回りに藤川さん、阿部さん、松岡さん、岡﨑さん、藤島さん、二瓶さん)
川松さん(左端)による模擬授業を見守る上山准教授(右端)と、活発な意見を交わすゼミ生たち(手前左から時計回りに藤川さん、阿部さん、松岡さん、岡﨑さん、藤島さん、二瓶さん)

 国語の教材研究を行うゼミと聞いて、どこか「お堅い」イメージを持っていた記者の先入観は、鮮やかに打ち砕かれた。
  
 上山伸幸准教授のゼミ生は、よく笑い、よくしゃべる。
  
 「授業が面白くて、国語の沼にハマっています(笑い)。皆、『学ぶ楽しさ』を伝えたくてしょうがないんです!」

松岡祐亮さん
松岡祐亮さん

 熱く語ってくれたのは、松岡祐亮さん(4年)。高校時代、勉強が苦手だったが「創大での上山先生の『考える授業』が学習への意識を変えてくれました」。
  
 ゼミのテーマは「楽しく力がつく国語科の授業づくり」。小学生に理解を促すため、板書や発問の作り方などを学習。中でも「教材研究」に力を入れてきた。
  
 学級の支援などを経験した二瓶大河さん(4年)は、「教材研究を深めたことで、授業の“引き出し”が増えた」という。

二瓶大河さん
二瓶大河さん

 小学校の国語の教科書には、多くの文学作品が掲載されている。教師の教材研究が十分でないと、「登場人物の気持ち」ばかりを問うたり、自身の解釈を「作者の意図」であるかのように、押し付けたりしてしまう恐れがあるという。
  
 だからこそ上山ゼミでは、教材から「正解」を導くのではなく、「児童が何を感じるか」を考え、引き出すことに重点を置いてきた。
  
 川松遥さん(4年)は、入学当初、あまり意見を述べない消極的な学生だった。しかし、「正解」ではなく「考え」を問われる中で、自分の意見にも価値があると感じ、「間違っていても、勇気を出して手を挙げようと思ったんです」。

川松遥さん
川松遥さん

 自身の意見を述べ、異なる意見を聞く繰り返しの中で、理解が深まり、学ぶ楽しさを知った川松さん。本年度、小学校の教員採用試験に合格。「児童と同じ目線で、共に考え、学ぶ喜びを分かち合えるような教師になりたい」とほほ笑む。
  
 同じく、4月から小学校の教壇に立つ藤川美樹さん(4年)は、1年の時、研修でフィリピンを訪れた。

藤川美樹さん
藤川美樹さん

 「フィリピンの小学校では、子どもたちが自由に発言していて、授業がすごく楽しそうでした」
  
 一方でストリートチルドレンなど、貧しい生活の中で懸命に生きる子どもたちの姿も目の当たりにした。
  
 誰も置き去りにしない世界のためにも、教育の重要性を実感した藤川さん。
  
 「創大で『子どものための教育とは何か』を本気で語り合える仲間と出会えたことが最高の財産です」

上山ゼミの学生が自主的に作成した冊子
上山ゼミの学生が自主的に作成した冊子

 使命と可能性を自覚した上山ゼミの学生たち。コロナ禍で教室に集まれなくなっても、オンラインで連携し、「大学生による国語科教育実践ガイド」と題する冊子を作成。「おおきな かぶ」「ごんぎつね」などの教材をチームごとに研究し、成果をまとめた。その「あとがき」に学生たちは作成への思いを記した。

藤島優香さん
藤島優香さん

 「協働的な学びの集大成がここにはあると思う」(藤島優香さん、4年)
  
 「『教材で何を教えるのか』『何を感じさせるか』。それは、その先生の研究、また、教員の人間性次第」(手島優美さん、4年)
  
 「純粋に楽しくて、悩みながら深めていく幸せな経験ができた」(岡﨑智子さん、4年)

岡﨑智子さん
岡﨑智子さん

 逆境の中で学生たちは新たな価値を創造していた。人間教育の伝統は、試練の時を経て一段と輝きを増している。
  

【学生の声】教育学部4年 阿部大和さん

 教員になる夢を抱き、他の教育系大学を受験するも不合格。創価大学への入学時は、モチベーションが低かったのですが、1年生の時に滝山国際寮に入り、人生がガラッと変わりました。
 各国の留学生と接する中で、その国の言語が文化や人格形成に大きく影響していることに気付き、「言葉」の面白さに魅了されました。
 例えば「兄・弟」という言葉は、日本語では呼び方を分けますが、英語の「brother」には兄も弟も含まれます。上下隔てのない表現がフレンドリーな人格を生むと感じます。
 上山ゼミでは「言葉」を大切に扱います。国語は児童にとって言語習得だけでなく、言葉の伝え方や受け取り方を学ぶ重要な機会でもあります。
 本年度、教員採用試験に合格し、春から小学校で教壇に立ちます。子どもを取り巻く教育環境は年々変化しており、教師自身も学び続けることが重要です。創大で学んだ「人間教育」を生かし、児童の幸福に尽くす教員に成長します。
  
  

●遠藤ゼミ(教育学科)
「心」と向き合い 励ましの絆を結ぶ
「知ること以上に知ろうとすることが大切」と遠藤ゼミの学生たちが語り合う(左から長田優華さん、早速帆花さん、松倉さん、沼田さん、遠藤教授、和賀さん、古井さん)
「知ること以上に知ろうとすることが大切」と遠藤ゼミの学生たちが語り合う(左から長田優華さん、早速帆花さん、松倉さん、沼田さん、遠藤教授、和賀さん、古井さん)

 創価大学の教育学部では、2020年度から公認心理師養成課程(教育学科)を開設するなど、心理学系のカリキュラムにも力を入れている。いじめ、不登校、虐待、自傷行為、精神疾患など、教育現場の課題が複雑・多様化する今、教科の枠組みにとらわれることなく、子どもの「心の問題」に幅広く対応できる人材が求められるからだ。
  
 医学博士で精神科医でもある遠藤幸彦教授のゼミは「思春期・青年期の心理」をテーマに掲げる。
  
 「ゼミではまず、子どもの精神医学について学びます。精神疾患のある子どもについて、育つ側(本人)、育てる側(家族や支援者)、社会進出における周囲の環境など、さまざまな側面から、課題を学び、理解を深めていきます」と、沼田美景さん(4年)は語る。

沼田美景さん
沼田美景さん

 「心」と向き合うには、当事者のみに焦点を当てるのではなく、その周辺や環境を含めて、幅広い視点からの分析が重要だという。
  
 同ゼミで学ぶ松倉祐子さん(4年)は、小学生の頃、1年間の不登校から立ち直った経験を持つ。

松倉祐子さん
松倉祐子さん

 今振り返っても、学校に行けなくなった原因も、復帰できたきっかけも、はっきりとは分からない。
  
 「ただ、多くの人の支えがあったことは確かです。通学に付き添ってくれた母、私のためだけに授業をしてくれた先生、話を聞いてくれたスクールカウンセラー、手紙をくれた多くの友達。その温かさを今でも覚えています」
  
 松倉さんは、当時を振り返る視点を周囲に広げたことで、劣等感を感謝に変えることができたという。
  
 古井佑樹さん(4年)は、「コロナ禍におけるメンタルヘルス」を研究。精神疾患の患者数や自殺者数の増減を調査する中で、「ウイルスの感染よりも、“恐怖の感染”の方が速いことを実感した」と語る。

古井佑樹さん
古井佑樹さん

 「コロナ禍の精神疾患や自殺率の傾向は、リーマンショック時と似ていて、経済不安が人の心に及ぼす影響の大きさを感じました。自殺対策というと、どうしても『個人の問題』にされやすいのですが、それだけではなく、もっと周りの環境への取り組みが必要だと思います」

長田優華さん
長田優華さん

 遠藤教授が解説する。
  
 「そもそも、人の心はとても複雑で不合理です。例えばうつ病の人に接する時、何か一つの『原因』があると考えたり、単純な『解決策』を与えようとしたりしがちですが、病んでいる人と向き合うには、その人の歴史や環境にも目を向けることが大切です。うつ病も、単純な原因や結果では割り切れないのです」

早速帆花さん
早速帆花さん

 最後に、この春から大手学習塾に教育カウンセラーとして勤務する鎌上うららさん(4年)が、心を支える環境について、オンラインで語ってくれた。

鎌上うららさん
鎌上うららさん

 「創価大学には、ありのままの自分を受け入れて、寄り添ってくれる仲間がいます。何より創立者・池田先生が結んでくださった『励ましの絆』があります。それこそが私にとって、最大の心の支えです」
  
 きょうは、創価大学、創価女子短期大学の卒業式。多くの学生が強く結んだ「励ましの絆」を手に、新たな人生行路へ船出する。
  

【学生の声】教育学部4年 和賀薫乃さん

 子どもの頃から、目に見えなくて理解しにくい「心」の動きについて興味があり、遠藤ゼミでは「思春期における対人関係の変化」をテーマに研究を重ねてきました。
 葛藤や混乱の多い思春期ですが、その後の対人関係の大きな基盤になります。また、思春期を挟んで、親子関係から友達関係へと人間関係の中心が大きく変化します。
 人の心といっても、その人「個人」の気の持ちようなどではなく、環境や周囲との人間関係の中で形成されることを研究を通して実感しました。
 創価大学では、どんな場所で、誰と接していても「感謝」の言葉を耳にします。
 互いの存在を肯定し、足りない部分を補い合える人間関係と環境で満たされていると感じます。
 4月から、臨床心理士を目指して大学院に進学します。自身の観念にとらわれることなく、悩んでいる人の立場や視点に寄り添い、より良い人生を送るための「環境」となれるような「心の専門家」を目指して、学びを深めていきます。
  

 キーワードに興味がある方、さらに詳しく知りたい方は、教育学部のホームページ
  
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