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〈電子版連載〉 お悩み相談部屋 #今の職場が嫌で転職したいです 2025年6月25日

 電子版連載「お悩み相談部屋」では、若者のリアルな悩みを識者にぶつけていきます。今回答えてくれる人は、ノンフィクション作家の石井光太さんです。

 今の職場が嫌で転職しようと考えています。でも親からは「簡単に諦めるな。地に足をつけないと、どこに行ったって苦労するだけだぞ」と言われます。それも一理あるような気がしますが、ピンとこないところもあります。その場にとどまって我慢するのは自分を犠牲にすることじゃないかと思います。どうしたらいいですか?(20代、男性)

1977年東京都生まれ。ノンフィクション作家、小説家、コメンテーター。日本大学芸術学部文芸学科卒業。ノンフィクションだけでなく、小説や絵本、漫画原作などを発表。著書に『ルポ 誰が国語力を殺すのか』など多数
1977年東京都生まれ。ノンフィクション作家、小説家、コメンテーター。日本大学芸術学部文芸学科卒業。ノンフィクションだけでなく、小説や絵本、漫画原作などを発表。著書に『ルポ 誰が国語力を殺すのか』など多数
 ――転職を考える上で大事なことって何ですか。

 他にやりたいことがあったり、陰湿ないじめやパワハラを受けていたりする。そのような状況なら、今の職場にとどまる必要はないと思います。しかし、もし相談者さんが、「ただ嫌だ」という漠然とした理由だけで転職を考えるなら、新しい環境でも同じような問題に直面する可能性が高くなります。であれば、いったん立ち止まって考えてみてはどうでしょうか。

 実際に働いている時は、今の職場の悪い面ばかりに目が行き、良さを実感しづらいかもしれません。しかし、大前提として、全てが自分の望み通りの完璧な職場って、この世に存在しないと思います。

 仕事には、やりがいだけじゃなく、煩雑なことなど、苦労がつきものです。でも、そうした負荷が自らにかかるからこそ、成長できることがたくさんあります。だから、今の仕事が本当に自分を犠牲にすることなのかどうかをしっかりと考えた方がいいと思います。

 ――若い人の中には、「これは俺のやることじゃない」とか、「上司が自分の能力を分かってくれない」という思いを抱える方もいます。

 若い人は基本、年長者に比べて経験もスキルも乏しいものです。にもかかわらず、「自分はできる人だ」と過信したらどうなるか。恐らく、上司のアドバイスや指摘に耳を傾けられなくなり、貴重な成長の機会を逃してしまうでしょう。仮に、相談者さんがきちんと仕事ができるなら、会社の人たちは誰も気にかけないし、何も言わないと思います。そんな人は、どこに行っても1人でバリバリ仕事ができるでしょう。できないから、周りの先輩が手取り足取りアドバイスしてくれるわけです。

 ――まずは相談者さんは、自らを見つめ直してみるのがいいかもしれませんね。

 とはいえ、相談者さんがそう感じてしまうのは、社会の構造といいますか、SNSの影響が少なからずあるのかもしれません。SNSの投稿は華やかな部分ばかりが強調されていて、その裏にある苦労や努力に対して、人は想像が及びにくくなっています。

 人間関係を例に考えてみましょう。親友との深い関係性って、相手のいいところもダメなところも全部きちんと理解して、お互いに何でも話せるという安心感から生まれるものです。これは、組織においても同じことが言えるのではないでしょうか。会社のいい部分だけを見て入社し、違う部分が見えてきたら「耐えられないのでもう辞めます」って、これでは良好な関係は築きにくいですよね。あらゆる物事にはいろんな面があります。その多面性を認識し、さまざまな矛盾も抱え込んで格闘していくことが、「物事に取り組む」ということだと思います。

 手厳しく聞こえたでしょうか。変に優しくしても人は育たない、それは私自身が身に染みて感じてきたことですので、今回はせんえつながら一喝させていただきました。少しでも参考になれば幸いです。

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