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【創価学園NAVI】 楽しみながら、読解力・想像力を養う――関西創価小学校・読書教育 2022年7月3日

 子どもの読解力や想像力を伸ばすために欠かせない「読書」。文部科学省の調査によれば、読書活動を実施する公立小学校の割合は、今や全体の約98%に上る。関西創価小学校では、1982年の開校以来、一貫して読書教育に力を入れてきた。一体どのような取り組みがされているのか――6月上旬に同校を取材した。

一日の始まり

 朝の京阪本線の光善寺駅。
 関西創価小学校の児童たちが元気よく改札から出てくる。
 「おはようございます!」
 駅前に立つ担当の教員と元気よくあいさつを交わした後、集団登校のために、駅の出口付近で待ち合わせをする児童たち。にぎやかな会話が起こると思いきや、ほとんどおしゃべりをする児童はいない――皆、黙々と読書に励んでいるのだ。
 約15分の待ち時間。お気に入りの本をランドセルから取り出し、読み進めるその姿は評判を呼び、教育委員会の関係者が関西小の読書活動を視察に来たこともあるという。
 始業前、関西小の校舎には、校庭や教室で元気に遊ぶ児童たちの、楽しそうな声が響く。
  

駅の出口付近で集団登校の待ち時間を読書に費やす関西創価小の児童たち。わずかなスキマ時間も、大切な“学びのひととき”に
駅の出口付近で集団登校の待ち時間を読書に費やす関西創価小の児童たち。わずかなスキマ時間も、大切な“学びのひととき”に

 8時25分、チャイムが鳴ると、児童たちは自席に戻り、本を開く。それまでのにぎやかな雰囲気が一転、教室は静けさに包まれる。関西小で定例となっている「ノーベルタイム」(朝読書)だ。関西小の児童たちの一日は、読書から始まる。
 「読書離れ」「活字離れ」が懸念される近年、子どもの時期から、読書習慣を確立する重要性が指摘されるようになってきた。その中にあって、関西小の児童は積極的に読書に励む。読書教育を担当する帆玉利恵教諭はこう語る。
 「関西小では、常に本を持ち運ぶ“ワンブック運動”や“スキマ読書”などの取り組みを長年にわたって推進してきました。そうした積み重ねで、読書を好きになる児童が増えたのだと思います」
  
  

ノーベル図書館

 関西小の読書教育を支えるのは、学校内の「ノーベル図書館」だ。蔵書数は約3万2000冊を誇り、児童書や小説、図鑑など幅広いジャンルの本がそろっている。
 2・3時間目の間の中休みになると、図書館は多くの児童たちで大盛況。皆、思い思いの本を手に取り、読書に励む。
 学校司書を務める佐藤宏美さんがその様子を教えてくれた。
 「朝の始業前や休み時間でも、多くの児童が本を借りに来ます。多い日では、10冊以上の本を読む人もいるので驚きです!」
 本と共に児童たちが携えていたのは「どくしょノート」と呼ばれる冊子。読了した本のタイトルを100冊分書き込めるようになっている。
 「何冊読めたのかな?」と記者が尋ねると、「今、25冊!」「やっと半分いきました」という児童もいれば、「今、ノート3冊目に突入したよ!」という児童も。
 特に6月は、関西小の伝統となっている「ノーベル図書館まつり」の期間。雨の多い6月、外で遊ぶ機会が減ってしまう分、児童たちに本に親しんでもらえるよう、さまざまな企画が催される。
 期間中、各学年に設定された「チャレンジ図書」の読了をはじめ、好きな本をほかの児童に手紙で紹介する「読書ゆうびん」や、「読書感想文」といった取り組みもある。
 毎週水曜日の中休みに行われる「紙芝居ランド」もその一つ。図書館内の「読み聞かせコーナー」で、図書委員の児童が、低学年向けの紙芝居を発表する。毎回、多くの児童が参加する人気企画だ。
  

「紙芝居ランド」の一幕。図書委員の児童が、元気いっぱいに音読する
「紙芝居ランド」の一幕。図書委員の児童が、元気いっぱいに音読する

 「ノーベル図書館」について、帆玉教諭は「いつでも本に触れられる場所の存在は大きいです。児童たちも本を身近に感じるようになり、主体的な読書につながっています」と述べている。
 また、同校では、授業内での本の「読み聞かせ」を積極的に取り入れている。
 記者が訪れた5年生の国語の授業では、詩の「読み聞かせ」が行われていた。教員が読み上げた後、児童たちに質問を投げ掛ける。
 「この詩を聞いて、どう思いましたか?」
 何人かの手が挙がり、思い思いに答える。
 「悲しい思いが伝わってきました」
 「言葉の繰り返しが面白かった」
 本の内容を集中して聞き、その印象や感想をアウトプットする。こうしたやり取りを重ねることで、語彙が増え、読解力や想像力が向上するとともに、主体的に読書に挑戦する力が養われていくという。
  
  

先輩から後輩へ

 関西小の読書教育の取り組みを、児童はどう受け止めているのか。
 5年生の男子児童は、もともと読書は苦手だったが、「ノーベルタイム」などで日常的に本に触れる機会が増えたことで、読書が苦にならなくなった。「この4年間で、“語彙力”がついたなと実感します。最近、友達から、『いろいろなことを知っているね』と言われてうれしかったです! これからもたくさんの本を読んでいきたいです」
 6年生の女子児童は、1年生の時の「ペアード・リーディング」をきっかけに読書が好きになったという。
 「ペアード・リーディング」とは、低学年の児童が読んでもらいたい本を選び、その本を高学年の先輩が読む取り組みだ。「先輩が本を読んでくれたことがうれしくて、自分でも読むようになりました。今度は自分が後輩に読み聞かせをする番です。後輩に読書の魅力が伝わるようにちゃんと練習したいと思います」
 この2人以外にも、児童の声を聞く中で印象的だったのは、友達からの影響で読書を好きになった児童が多かった点だ。さまざまな取り組みや充実した施設に加え、児童同士が触発し合う雰囲気が根付いているからこそ、読書活動が“代表選手型”にならず、多くの児童が参加できる取り組みになっているのだろう。
 創立者・池田先生は本年4月、創価小学校の入学式に寄せたメッセージの中で、「勇気・読書・友情」の「三つのつばさ」を鍛えてほしいと述べ、二つ目の「読書のつばさ」について、こうつづっている。
 「じょうぶな体をつくるには、しっかり食べて、栄養をつけることです。同じように、豊かな心と考える力をつくる栄養が、読書です。本を読めば、新しい世界へ飛んでいけます。たくさんの出会いがあり、ワクワクする発見があるのです」
 将来、使命の大空へ飛躍する日を目指して、関西創価小学校の児童たちは、“希望のつばさ”を大きく広げている。

1年生の教室の後方には、「読み聞かせ」を終えた本のタイトルを張るスペースが。用紙は“つばさ”に見立てている
1年生の教室の後方には、「読み聞かせ」を終えた本のタイトルを張るスペースが。用紙は“つばさ”に見立てている
読書教育 3つのPOINT
POINT1 ノーベルタイム(朝読書)

 毎朝、始業前に行われる「朝読書」。豊かな感性や想像力を磨く読書の習慣が自然に身に付いていく。
  

POINT2 読み聞かせ

 国語の授業での「読み聞かせ」。本の感想を聞いたり、本のページを映写したり、さまざまな工夫が見られる。
  

POINT3 ペアード・リーディング

 高学年が低学年に読み聞かせを行う。高学年の児童は、物語が伝わるように読むことで“考える力”が培われる。
  
  

◎東西の創価学園でオープンキャンパス◎

 東西の創価学園で、入学希望者のためのイベントが行われる。
 キャンパスツアーや体験授業、クラブ見学、教員・生徒らによる相談コーナーなど、各校で工夫を凝らした企画が準備されている。各行事の詳細は、各校のホームページを参照してください。7月度の日程は次の通り。
  
 〈創価高校・中学校(東京・小平市)〉
 ◎オープンキャンパス=7月24日(日)
  
 〈東京創価小学校(小平市、国分寺市)〉
 ◎学校説明会=7月31日(日)
  
 〈関西創価高校・中学校(大阪・交野市)〉
 ◎オープンキャンパス=7月23日(土)
  
 〈関西創価小学校(大阪・枚方市)〉
 ◎学校説明会(授業体験)=7月31日(日)
  
  
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 メール:news-kikaku@seikyo-np.jp
 ファクス:03-5360-9613

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