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〈SDGs✕SEIKYO〉 私が世界を変えていく 2022年6月27日

  • 池田先生の思想と行動に学ぶ勇気の一歩

 企画「SDGs×SEIKYO」の連載「私が世界を変えていく」では、SDGs(持続可能な開発目標)を前進させる方途を、池田先生の思想と行動を通して考えます。今回のテーマは「子どもの権利」です。

子どもは「権利の主体」であり
未来を創る「変化の担い手」
世界中の子どもたちの笑顔のために(アフロ)
世界中の子どもたちの笑顔のために(アフロ)
「こども基本法」の成立

 今月15日、「こども基本法」が日本の国会で成立した。来年4月の「こども家庭庁」発足に向けて、議論が重ねられてきたものだ。
  
 実は「子ども」の包括的な権利や国の基本方針を定めた基本法は、これまで存在しなかった。1989年に国連で採択された「子どもの権利条約」を日本が1994年に批准して以来、子どもの幸福と基本的人権の尊重を願う多くの人々が切望してきたのが、「こども基本法」にほかならない。
  
 「子どもの権利条約」の柱とは何か? それは、子どもを「大人が保護すべき対象」として捉えるだけではなく、「大人と同じように、一人の人間として権利を持った主体」として位置付けている点にある。「子どもにとって、何が一番良いのか」という観点から、子どもの意見を聞いて尊重するとともに、成長の過程で必要な保護や配慮をしていくべきことをうたっている。
  
 この精神は、SDGsの理念とも強く響き合う。国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の宣言には、“全ての子どもが暴力や搾取から解放される世界”を目指すことが掲げられるとともに、子どもたちを“重要な変化の担い手”として尊重することが明記されているのだ。
  
 「子どもの権利条約」の採択当時、ユニセフ(国連児童基金)執行理事会の議長として、同条約の推進に大きな役割を果たしたのが、国連事務次長やバングラデシュ国連大使などを歴任したアンワルル・チョウドリ博士である。
  
 人身売買、性的搾取、子ども兵士や児童労働といった問題にさらされている子どもたちを守り、その生存を保証したい。“子どもの最善の利益”のために、彼ら・彼女らの権利を促進したい――それが博士の願いだったという。
  
 博士と創価学会との“出合い”は1990年7月。婦人平和委員会(現・女性平和委員会)などが主催した「世界の子どもとユニセフ展」(広島市)に、来賓として招かれたのが博士だった。博士はその後、池田先生の著作を読み、学会の平和・文化・教育運動への理解を深めていった。
  
 先生とは2003年3月、2006年8月と2度にわたり東京で会見。2008年には月刊誌「潮」誌上で対談の連載が開始され、その内容は『新しき地球社会の創造へ――平和の文化と国連を語る』と題する一書に結実した。2020年には英語版『平和の文化の創造――個人と集団の変化への呼び掛け』が発刊されている。
  
 どうすれば、子どもたちの権利が尊重される未来を築くことができるか。二人は意見を交わす。
  

チョウドリ博士㊧を迎える池田先生(2006年8月、八王子市の東京牧口記念会館で)
チョウドリ博士㊧を迎える池田先生(2006年8月、八王子市の東京牧口記念会館で)
元国連事務次長・チョウドリ博士との対談集から
大人から変わる 子が親を導く

 「子どもの権利条約」の批准を各国に促すに当たって、チョウドリ博士が直面した“最大の壁”とは何だったか。オーストラリアと日本では「子どもに対する親の監督権限や、教師の権威を弱めるものではないか」と危惧し、反対する人たちがいたことだという。
  
 この条約は、子どもたちが何をしてもよいという自由放任主義を提唱しているのではなく、「子どもの権利」を認め、尊重することを社会に求めるものである――博士はこうしたことを、粘り強い対話を通して訴え続けたのである。
 池田先生は「子どもにも、自らの幸福を追求する権利がある。一人の立派な人格として尊重される権利があります」と語り、法華経に説かれる「竜女の成仏」を紹介する。
  
 ――「竜女」という少女が尊厳なる生命を輝かせ、人々への深い慈愛の念を持っているという話を聞いた大人たちがいた。信じられない大人たちを前に、竜女は人々に尽くす姿を示していく。その姿を見て、大人たちは、少女の話が真実であると認めるに至った――というシーンだ。
  
 「8歳の竜女は、師である釈尊に、『苦しんでいる人々を救っていきます』という誓いを立てています。幼い子どもであっても、民衆救済という菩薩の行動の主体者たりうる。こうした人間観は、子どもたちに対する大人のあるべき姿勢を、あらためて教えてくれるものです」と、先生は言う。
  
 変わらなければならないのは、大人の側である。ここから出発する以外にない――これが先生と博士、二人に共通する信念だった。
  
 博士は「『親のエンパワーメント』が重要だ」と強調する。「旧世代に属する親たちは、さまざまな偏見にとらわれ、自分が持つ負の価値観を、時に無意識に子どもたちに植え付けてしまうことが多いからです。『親が子どもを変える』のではなく、子どもが、かつて刷り込まれた無意識の偏見から親を解放することで、『子どもが親を変える』のです」と。
  
 先生は「子どもの世代が、親の世代を啓発していくという視点は、非常に重要であると思っております」と答える。仏典には「父母の恩」に報いる大切さとともに、親の偏見や誤った思想を、子どもが正していくことが「真の親孝行」になるとも説かれているからだ。
 「子どもが立派に成長し、親を安心させ守っていく。さらに『子どもが親を変える』という視点は、人々の意識を変革し、時代の潮流を築いていくためにも不可欠なものです。それでこそ、新しい創造と進歩がある。そして、新たな時代の変革が可能となるのではないでしょうか」
  
 博士は、子どもを巡る語らいを締めくくるに当たり、国連「児童の権利に関する宣言」の前文にうたわれた一文を紹介した。「人類は、児童に対し、最善のものを与える義務を負うものである」
  

Action――何ができるか
話を「聞く」ことこそ

 子どもが何を望んでいるか。子どもにとって“最善のもの”とは何なのか。やはり、話を「聞く」ことこそ、それを知る第一歩であろう。
  
 家庭で地域で学校で、あらゆる機会を通して大人が子どもたちの声に耳を傾け、時には思いを引き出し、真剣に受け止め、共に考えながら、なるべく意見を取り入れていく――「子どもの権利を尊重する」といっても、その実態は、日常の小さな営みの中にあるといえよう。
  
 創価学会の女性平和委員会が現在、実施しているオンラインアンケート「クイズで考える『子どもの権利条約』」も、「子どもの権利条約」の理念を広げる取り組みの一環である(本年8月まで)。
  

女性平和委員会が実施しているオンラインアンケート「クイズで考える『子どもの権利条約』」
女性平和委員会が実施しているオンラインアンケート「クイズで考える『子どもの権利条約』」

  
 対象は12~17歳(中学・高校世代)。「はじめて『子どもの権利条約』の草案を、国連に提出した国はどこでしょう?」といったクイズや「家や学校などで、自分の意見を『聞いてもらえない』と感じることはありますか?」等のアンケートを通し、条約の内容の周知と、子どもが意見を表明することについての考えや気持ちを尋ねることを目的としている。
  
 子どもにとって、「大人が自分の話を真剣に聞いてくれた」経験は、「他者を尊重することの大切さ」「対話の姿勢」を学んでいくことにも通じよう。人と人の友情も、国と国との信頼も、全ては「対話」から生まれる。その対話を実りあるものとする最大の要件とは、相手の話をよく「聞く」ことに違いない。
  
 大人が、目の前にいる子どもの声をよく「聞く」こと。そして、その声を社会に反映するために努力することは、「平和の文化」と「持続可能な社会」を築くとともに、その担い手を育てていくことにも、つながるはずだ。
  

  
 こちらから女性平和委員会のオンラインアンケート「クイズで考える『子どもの権利条約』」にアクセスできます。
 

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<メール>sdgs@seikyo-np.jp
<ファクス>03-5360-9613

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