【特集】共に生きるということ――オンライン対談 性の在り方の視点から、パートナー関係の「当たり前」を問い直す
【特集】共に生きるということ――オンライン対談 性の在り方の視点から、パートナー関係の「当たり前」を問い直す
2026年10月27日
- 山形大学教授 池田弘乃さん
- Xジェンダーの発信者 まぁ~ちゃん
- 山形大学教授 池田弘乃さん
- Xジェンダーの発信者 まぁ~ちゃん
今月から、「共に生きるということ」というタイトルで、連続特集を組みます。10月下旬、11月下旬、2月下旬に配信予定です。今月は、性の在り方をテーマにパートナーシップについて考えます。ここでは、オンライン対談の模様を紹介。ジェンダーやセクシュアリティーに関わる法制度を研究する山形大学教授・池田弘乃さんと、Xジェンダー(男性でも女性でもない性自認)の発信者である「まぁ~ちゃん」こと城間勝さん=沖縄市、男子部本部長=に、「共に生きるということ」をテーマに語り合ってもらいました。
今月から、「共に生きるということ」というタイトルで、連続特集を組みます。10月下旬、11月下旬、2月下旬に配信予定です。今月は、性の在り方をテーマにパートナーシップについて考えます。ここでは、オンライン対談の模様を紹介。ジェンダーやセクシュアリティーに関わる法制度を研究する山形大学教授・池田弘乃さんと、Xジェンダー(男性でも女性でもない性自認)の発信者である「まぁ~ちゃん」こと城間勝さん=沖縄市、男子部本部長=に、「共に生きるということ」をテーマに語り合ってもらいました。
■ 家族になるために、より多くの努力を求められる人々がいる
■ 家族になるために、より多くの努力を求められる人々がいる
「結婚」したと言っていい?
「結婚」したと言っていい?
――まぁ~ちゃんは、5年前からパートナーの方と共に歩み始めたそうですね。
まぁ~ちゃん 昨年、ブライダルを専攻する専門学校の学生から、性的マイノリティーのカップルとしてモデルを依頼され、パートナーと披露宴(模擬)を行いました。地元のニュースや新聞でも取り上げられ、友人からは「結婚したんだね!」と祝福されました。
ただ、パートナーシップ制度を利用したとしても、さまざまな手続きでは、家族ではなく他人、既婚者ではなく独身として扱われることがあります。式を挙げることで、周囲に対して一緒になったことを示せても、“果たして結婚したと言っていいのだろうか”と感じる部分があります。
――まぁ~ちゃんは、5年前からパートナーの方と共に歩み始めたそうですね。
まぁ~ちゃん 昨年、ブライダルを専攻する専門学校の学生から、性的マイノリティーのカップルとしてモデルを依頼され、パートナーと披露宴(模擬)を行いました。地元のニュースや新聞でも取り上げられ、友人からは「結婚したんだね!」と祝福されました。
ただ、パートナーシップ制度を利用したとしても、さまざまな手続きでは、家族ではなく他人、既婚者ではなく独身として扱われることがあります。式を挙げることで、周囲に対して一緒になったことを示せても、“果たして結婚したと言っていいのだろうか”と感じる部分があります。
模擬披露宴でのウエディングフォト
模擬披露宴でのウエディングフォト
池田 カップルや家族であることには、周囲からの承認という人々の意識に関わる面と、法制度上でどう扱われるかという面があります。日本社会では、人々からの承認は増えてきているように思います。一方で、制度が追いついていない点は大きな課題です。
まぁ~ちゃん 沖縄県のパートナーシップ制度ができて1年半あまりがたち、77組(2026年9月末時点)が、利用しています。ただ、利用者には県外出身者も多いようで、県民への周知が十分とは言えません。
また、都市部と比べ、地縁・血縁のつながりが深い土地では、意識にも大きな差があります。家族の在り方について従来の価値観が根強い地域では、カップルとして暮らすことが難しい場合もあります。生まれ育った故郷で生きるために、そうした状況を受け入れざるを得ない人もいるのです。
私たちの場合も、高齢の両親がいて、今後の暮らし方を考える必要があります。制度を利用する前に考えるべきことが多く、なかなか踏み込めていません
池田 異性カップルであれば、“ひとまず”結婚制度を利用し、法的な保障を受けるという選択も珍しくありません。一方、同性カップルの場合は、生活をどう組み立てるか、さまざまなことを考慮しなければならない。
家族になるために、より多くの努力を求められる人がいるのは、果たして公平なのか。そうした問いにつながるお話だと思います。
――制度面では、2023年6月に「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」(以下、理解増進法)が施行されました。社会の理解は広まりつつあるのでしょうか。
池田 理解増進法は、法律に基づく基本計画を作成し、おおむね3年ごとに検討、必要に応じて変更することを定めています。しかし、議論が進まず、最初の基本計画が閣議決定されたのは法律施行から3年となる本年6月。取り組みは、ようやく第一歩を踏み出した段階です。
ここでいう「理解」とは、分かってあげよう、同情しようということではありません。多様な性の在り方で生きる人たちが、どのような状況に置かれ、どのような権利が保障されていないのかを「知る」ことです。
社会の理解は徐々に広がっていると思います。特に学校現場で性の多様性を取り上げる際、法律という裏付けがあることは、教職員にとって大きな力になります。
池田 カップルや家族であることには、周囲からの承認という人々の意識に関わる面と、法制度上でどう扱われるかという面があります。日本社会では、人々からの承認は増えてきているように思います。一方で、制度が追いついていない点は大きな課題です。
まぁ~ちゃん 沖縄県のパートナーシップ制度ができて1年半あまりがたち、77組(2026年9月末時点)が、利用しています。ただ、利用者には県外出身者も多いようで、県民への周知が十分とは言えません。
また、都市部と比べ、地縁・血縁のつながりが深い土地では、意識にも大きな差があります。家族の在り方について従来の価値観が根強い地域では、カップルとして暮らすことが難しい場合もあります。生まれ育った故郷で生きるために、そうした状況を受け入れざるを得ない人もいるのです。
私たちの場合も、高齢の両親がいて、今後の暮らし方を考える必要があります。制度を利用する前に考えるべきことが多く、なかなか踏み込めていません
池田 異性カップルであれば、“ひとまず”結婚制度を利用し、法的な保障を受けるという選択も珍しくありません。一方、同性カップルの場合は、生活をどう組み立てるか、さまざまなことを考慮しなければならない。
家族になるために、より多くの努力を求められる人がいるのは、果たして公平なのか。そうした問いにつながるお話だと思います。
――制度面では、2023年6月に「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」(以下、理解増進法)が施行されました。社会の理解は広まりつつあるのでしょうか。
池田 理解増進法は、法律に基づく基本計画を作成し、おおむね3年ごとに検討、必要に応じて変更することを定めています。しかし、議論が進まず、最初の基本計画が閣議決定されたのは法律施行から3年となる本年6月。取り組みは、ようやく第一歩を踏み出した段階です。
ここでいう「理解」とは、分かってあげよう、同情しようということではありません。多様な性の在り方で生きる人たちが、どのような状況に置かれ、どのような権利が保障されていないのかを「知る」ことです。
社会の理解は徐々に広がっていると思います。特に学校現場で性の多様性を取り上げる際、法律という裏付けがあることは、教職員にとって大きな力になります。
■人間はマジョリティーとマイノリティーには分けられない
■人間はマジョリティーとマイノリティーには分けられない
「誰かを好きになる」は当たり前か
「誰かを好きになる」は当たり前か
――愛する人と共に歩むことは、LGBTを含む、全ての人のテーマだと思います。
池田 同性愛への差別に反対する時、「人を愛することは、相手が同性でも異性でも素晴らしい」と言われることがあります。その主張には一定の価値があります。ただ、気を付けなければいけない点も潜んでいる。それは、「人は必ず誰かを愛するものだ」という先入観です。
「アセクシュアル」「アロマンティック」という言葉があります。アセクシュアルは、他者に性的にひかれないという在り方、アロマンティックは、他者に恋愛感情を抱かないという在り方を指します。
こうした在り方は、異常なことではありません。しかし、過去には異常と見なされてきた経緯があり、その偏見と迫害に対抗し、尊重されるべき在り方だと表現するために、これらの言葉が生まれ、大切にされてきました。
――愛する人と共に歩むことは、LGBTを含む、全ての人のテーマだと思います。
池田 同性愛への差別に反対する時、「人を愛することは、相手が同性でも異性でも素晴らしい」と言われることがあります。その主張には一定の価値があります。ただ、気を付けなければいけない点も潜んでいる。それは、「人は必ず誰かを愛するものだ」という先入観です。
「アセクシュアル」「アロマンティック」という言葉があります。アセクシュアルは、他者に性的にひかれないという在り方、アロマンティックは、他者に恋愛感情を抱かないという在り方を指します。
こうした在り方は、異常なことではありません。しかし、過去には異常と見なされてきた経緯があり、その偏見と迫害に対抗し、尊重されるべき在り方だと表現するために、これらの言葉が生まれ、大切にされてきました。
まぁ~ちゃん 私が性の在り方を発信する活動を始めた頃、アセクシュアルであることを伝えてくれる方と出会いました。その方が自身のアイデンティティーを打ち明ける際、「理解できないかもしれないけど」と前置きしたことが、強く印象に残っています。その言葉から、これまでに、いわれのない差別を受けてきたことを想像しました。私も当時は初めて知ることだったので、ゆっくり、自分の中に落とし込むように話を聞きました。
また別の方からもお話を聞いたことがあります。その方は性的マイノリティーを支援する団体で活動していましたが、仲間に恋愛感情がないことを打ち明けたところ、「まだ恋愛経験が乏しいから。本当に運命の出会いをしたら分かるよ」と言われたそうです。同じ人権意識を持って活動していた仲間からの言葉に、ショックを受けたといいます。
恋愛経験の有無で人の価値を測るような言葉は、気付かないうちに誰かを傷つけてしまうことがあります。
私が相談を受ける時に大切にしているのは、誰もが貴重な存在だということです。その方にも、恋愛感情の有無ではなく、その人自体に素晴らしい持ち味があることを伝えました。
池田 相手のカミングアウトにどう応じるか、真剣に向き合う姿勢が素晴らしいと感じます。アセクシュアルの人は、何かが欠けているわけではありません。一人一人が異なる価値を持つ存在です。
そもそも人間は、明確にマジョリティーとマイノリティーに分けられる存在ではありません。性的マイノリティーの人も、別の面ではマジョリティーに属することがあります。誰もが両方の側面を持ち、それらが複雑に絡み合っている。その一人一人の複雑さを大切にする必要があるのです。
一方、制度の面では、マイノリティーとしての生き方を強いられる人がいることも確かです。
例えば、結婚は、恋愛や性行為と結び付けて考えられすぎている面があるのではないでしょうか。誰もが性的にひかれるわけではないという認識に立てば、結婚制度を、人の財産や生活を守る仕組みとして捉え直すこともできると思います。
まぁ~ちゃん 私が性の在り方を発信する活動を始めた頃、アセクシュアルであることを伝えてくれる方と出会いました。その方が自身のアイデンティティーを打ち明ける際、「理解できないかもしれないけど」と前置きしたことが、強く印象に残っています。その言葉から、これまでに、いわれのない差別を受けてきたことを想像しました。私も当時は初めて知ることだったので、ゆっくり、自分の中に落とし込むように話を聞きました。
また別の方からもお話を聞いたことがあります。その方は性的マイノリティーを支援する団体で活動していましたが、仲間に恋愛感情がないことを打ち明けたところ、「まだ恋愛経験が乏しいから。本当に運命の出会いをしたら分かるよ」と言われたそうです。同じ人権意識を持って活動していた仲間からの言葉に、ショックを受けたといいます。
恋愛経験の有無で人の価値を測るような言葉は、気付かないうちに誰かを傷つけてしまうことがあります。
私が相談を受ける時に大切にしているのは、誰もが貴重な存在だということです。その方にも、恋愛感情の有無ではなく、その人自体に素晴らしい持ち味があることを伝えました。
池田 相手のカミングアウトにどう応じるか、真剣に向き合う姿勢が素晴らしいと感じます。アセクシュアルの人は、何かが欠けているわけではありません。一人一人が異なる価値を持つ存在です。
そもそも人間は、明確にマジョリティーとマイノリティーに分けられる存在ではありません。性的マイノリティーの人も、別の面ではマジョリティーに属することがあります。誰もが両方の側面を持ち、それらが複雑に絡み合っている。その一人一人の複雑さを大切にする必要があるのです。
一方、制度の面では、マイノリティーとしての生き方を強いられる人がいることも確かです。
例えば、結婚は、恋愛や性行為と結び付けて考えられすぎている面があるのではないでしょうか。誰もが性的にひかれるわけではないという認識に立てば、結婚制度を、人の財産や生活を守る仕組みとして捉え直すこともできると思います。
異なる声に、ゆっくり耳を傾ける
異なる声に、ゆっくり耳を傾ける
――他者の異なる在り方を知ることで、自分の「当たり前」を見つめ直すことにもつながりますね。
池田 突き詰めれば、自分にとって大切な人間関係とは何なのか。アセクシュアルやアロマンティックという言葉は、マジョリティーも含め、誰もが自分の人間関係を丁寧に見つめ直すためにも、大きな意味を持っていると思います。
そして、まぁ~ちゃんが話された「ゆっくり、自分の中に落とし込むように」という、その「ゆっくり」が大事なのではないでしょうか。性急に答えを出そうとするのではなく、じっくりと自分とは異なる声に接してみる。私もそうありたいと感じましたし、今回の対談を読んだ皆さんの反応からも、さらに学んでいきたいと思います。
まぁ~ちゃん 私は、一人一人の人間性に光を当ててきた創価学会の信仰を持っています。「祈り」は私たちの強みだなと思うんです。性の在り方に関する用語を一つ一つかみ砕き、どう捉えるかを議論することも大切です。ただ、思うに任せぬ現実に行き詰まりそうになった時、祈ることができる。他者の痛みを想像する力、他者を信じる力を発揮していくことができるのです。そして、誰もが自分らしく生きていけるよう、題目を唱えて援護する。この桜梅桃李(サクラ、ウメ、モモ、スモモのごとく多様であること)の生命哲学をさらに深め、広げていきたいと思っています。
――他者の異なる在り方を知ることで、自分の「当たり前」を見つめ直すことにもつながりますね。
池田 突き詰めれば、自分にとって大切な人間関係とは何なのか。アセクシュアルやアロマンティックという言葉は、マジョリティーも含め、誰もが自分の人間関係を丁寧に見つめ直すためにも、大きな意味を持っていると思います。
そして、まぁ~ちゃんが話された「ゆっくり、自分の中に落とし込むように」という、その「ゆっくり」が大事なのではないでしょうか。性急に答えを出そうとするのではなく、じっくりと自分とは異なる声に接してみる。私もそうありたいと感じましたし、今回の対談を読んだ皆さんの反応からも、さらに学んでいきたいと思います。
まぁ~ちゃん 私は、一人一人の人間性に光を当ててきた創価学会の信仰を持っています。「祈り」は私たちの強みだなと思うんです。性の在り方に関する用語を一つ一つかみ砕き、どう捉えるかを議論することも大切です。ただ、思うに任せぬ現実に行き詰まりそうになった時、祈ることができる。他者の痛みを想像する力、他者を信じる力を発揮していくことができるのです。そして、誰もが自分らしく生きていけるよう、題目を唱えて援護する。この桜梅桃李(サクラ、ウメ、モモ、スモモのごとく多様であること)の生命哲学をさらに深め、広げていきたいと思っています。
■ 自身を見つめた歩み――「まぁ~ちゃん」として理解される未来へ
■ 自身を見つめた歩み――「まぁ~ちゃん」として理解される未来へ
行政のLGBT相談員をしながら、現在は介護の現場で働き、ラジオのパーソナリティーとしても活躍する「まぁ~ちゃん」。自分の性別を男性とも女性とも捉えないXジェンダーであることを公表し、性の多様性への理解を広げてきた。でも、伝えたいのは、性的マイノリティーについての知識だけではない。「一人一人に使命がある」「誰もが自分らしく生きていい」。その言葉には、自身の歩んできた人生が重なっている。
行政のLGBT相談員をしながら、現在は介護の現場で働き、ラジオのパーソナリティーとしても活躍する「まぁ~ちゃん」。自分の性別を男性とも女性とも捉えないXジェンダーであることを公表し、性の多様性への理解を広げてきた。でも、伝えたいのは、性的マイノリティーについての知識だけではない。「一人一人に使命がある」「誰もが自分らしく生きていい」。その言葉には、自身の歩んできた人生が重なっている。
これまで
これまで
幼い頃から「男らしさ」「女らしさ」という枠に違和感を抱いていた。
小・中学校では、話し方やしぐさを理由にいじめを受けた。
転機の一つは、高校2年の冬。自身について書いた作文を、教師に頼まれ、全校生徒の前で発表したことだった。
「自分自身の性別については、男性とも女性とも言い切れません」
数百人を前にした告白。すると、先輩や後輩から、さまざまな悩みを打ち明けられるようになった。
「人のために灯をともせば、自分の前も明るくなるのよ」
幼い頃から創価学会の会合で耳にしてきた言葉を胸に、一人一人を励ました。教室の外には、相談を待つ生徒の列ができた。
就職、結婚、子育て。周囲が当たり前のように思い描く未来は、自分には望めないと感じたこともあった。
支えになったのが創価学会の先輩たち。牙城会(当時)にならないかと言われた。「私でいいんですか」と何度も尋ねた。先輩は「男性とか女性とかじゃなく、一人の青年として、一緒にやりたい」と。全部は分からなくても、真剣に分かろうと寄り添ってくれた。
やがて、同じXジェンダーの仲間と沖縄のコミュニティーFMで番組を持つようになった。うちなーぐち(沖縄の言葉)と、ユーモアあふれる語り口で人気を集める。性の多様性を中心に「生きること」についての人権講演会も小・中学、高校で行ってきた。現在は、受け継いでくれる後輩に託している。
幼い頃から「男らしさ」「女らしさ」という枠に違和感を抱いていた。
小・中学校では、話し方やしぐさを理由にいじめを受けた。
転機の一つは、高校2年の冬。自身について書いた作文を、教師に頼まれ、全校生徒の前で発表したことだった。
「自分自身の性別については、男性とも女性とも言い切れません」
数百人を前にした告白。すると、先輩や後輩から、さまざまな悩みを打ち明けられるようになった。
「人のために灯をともせば、自分の前も明るくなるのよ」
幼い頃から創価学会の会合で耳にしてきた言葉を胸に、一人一人を励ました。教室の外には、相談を待つ生徒の列ができた。
就職、結婚、子育て。周囲が当たり前のように思い描く未来は、自分には望めないと感じたこともあった。
支えになったのが創価学会の先輩たち。牙城会(当時)にならないかと言われた。「私でいいんですか」と何度も尋ねた。先輩は「男性とか女性とかじゃなく、一人の青年として、一緒にやりたい」と。全部は分からなくても、真剣に分かろうと寄り添ってくれた。
やがて、同じXジェンダーの仲間と沖縄のコミュニティーFMで番組を持つようになった。うちなーぐち(沖縄の言葉)と、ユーモアあふれる語り口で人気を集める。性の多様性を中心に「生きること」についての人権講演会も小・中学、高校で行ってきた。現在は、受け継いでくれる後輩に託している。
パーソナリティーを務めるラジオ番組の収録をするまぁ~ちゃん㊧
パーソナリティーを務めるラジオ番組の収録をするまぁ~ちゃん㊧
今とこれから
今とこれから
今、まぁ~ちゃんには、共に歩むパートナーがいる。かつて性的マイノリティーの人たちが集う場で知り合った、友人の一人だった。
自身のつらい過去、今の活動に懸ける思いを語る中で、志に深く共鳴してくれた。友人は、農業を通じて、人々をつなぎたいと願っていた。
まぁ~ちゃんにとって、パートナーとは、人生の目的を共有する戦友だと考えている。やがてパートナーとなり、互いの活動を支えるようになった。
学会の信仰についても語った。まぁ~ちゃんの母が闘病していた時には、まぁ~ちゃんの祈る姿にも触れ、パートナー自らも信仰を実践するようになった。
今、まぁ~ちゃんには、共に歩むパートナーがいる。かつて性的マイノリティーの人たちが集う場で知り合った、友人の一人だった。
自身のつらい過去、今の活動に懸ける思いを語る中で、志に深く共鳴してくれた。友人は、農業を通じて、人々をつなぎたいと願っていた。
まぁ~ちゃんにとって、パートナーとは、人生の目的を共有する戦友だと考えている。やがてパートナーとなり、互いの活動を支えるようになった。
学会の信仰についても語った。まぁ~ちゃんの母が闘病していた時には、まぁ~ちゃんの祈る姿にも触れ、パートナー自らも信仰を実践するようになった。
二人が志すのは、“物事を多角的、多面的に考えられ、思考の多様性を尊重できる意識を育んでいく人”を増やすこと。今はSNSを中心に発信を続けている。
Xジェンダーという言葉は、まぁ~ちゃんを理解することを促してくれるが、まぁ~ちゃんという人間の全てではない。「あなたは何者? と聞かれた時に、『まぁ~ちゃん』ですと答えて、その答え方が通用する社会であってほしい」と。一人一人の人間性が輝く社会の作り手として奮闘する。
二人が志すのは、“物事を多角的、多面的に考えられ、思考の多様性を尊重できる意識を育んでいく人”を増やすこと。今はSNSを中心に発信を続けている。
Xジェンダーという言葉は、まぁ~ちゃんを理解することを促してくれるが、まぁ~ちゃんという人間の全てではない。「あなたは何者? と聞かれた時に、『まぁ~ちゃん』ですと答えて、その答え方が通用する社会であってほしい」と。一人一人の人間性が輝く社会の作り手として奮闘する。
■ 池田教授の語句解説――「知る」ことから始まる理解
■ 池田教授の語句解説――「知る」ことから始まる理解
対談の中で出てきた語句について、池田教授に伺った。
対談の中で出てきた語句について、池田教授に伺った。
「自分の性の在り方」を考える
「自分の性の在り方」を考える
オンライン対談中に語られた「LGBT」は、レズビアン(恋愛・性愛の対象が同性である女性)のL、ゲイ(恋愛・性愛の対象が同性である男性)のG、バイセクシュアル(恋愛・性愛の対象が同性であることも異性であることもある人)のB、トランスジェンダー(出生時に割り当てられた性別と異なる性別を生きる、あるいは生きようとする人)のTの四つを指す言葉。1980年代の末頃から「困難を抱えているという点では同じ」との認識のもと、LGBTと並べて表現し、連帯する動きが出てきた。
ただ、LGBTの四つ以外の多様な性が取りこぼされる可能性もある。池田教授は、性の在り方について、「SOGI」という考え方に言及する。「セクシュアル・オリエンテーション(SO、性的指向)」と「ジェンダー・アイデンティティー(GI、性自認)」の頭文字を組み合わせた言葉だ。性的指向は、どのような人に性的にひかれるか、性自認は、自分の性別をどう認識しているかを指す。SOGIという視点に立てば、より包括的な性の在り方を示せるという。
オンライン対談中に語られた「LGBT」は、レズビアン(恋愛・性愛の対象が同性である女性)のL、ゲイ(恋愛・性愛の対象が同性である男性)のG、バイセクシュアル(恋愛・性愛の対象が同性であることも異性であることもある人)のB、トランスジェンダー(出生時に割り当てられた性別と異なる性別を生きる、あるいは生きようとする人)のTの四つを指す言葉。1980年代の末頃から「困難を抱えているという点では同じ」との認識のもと、LGBTと並べて表現し、連帯する動きが出てきた。
ただ、LGBTの四つ以外の多様な性が取りこぼされる可能性もある。池田教授は、性の在り方について、「SOGI」という考え方に言及する。「セクシュアル・オリエンテーション(SO、性的指向)」と「ジェンダー・アイデンティティー(GI、性自認)」の頭文字を組み合わせた言葉だ。性的指向は、どのような人に性的にひかれるか、性自認は、自分の性別をどう認識しているかを指す。SOGIという視点に立てば、より包括的な性の在り方を示せるという。
池田教授の著作『LGBTのコモン・センス』(2024年、第三文明社)
池田教授の著作『LGBTのコモン・センス』(2024年、第三文明社)
結婚することと、セックスすることは一体か?
結婚することと、セックスすることは一体か?
また、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」(理解増進法)について、法律の名前が前述の「SOGI」を表記している点で、池田教授は、「同法が強調しているのは、性的マイノリティーへの温情ではなく、全ての人にとっての多様な性の理解です」と解説する。
さらに、“全ての人の多様な性の理解”の手がかりとして挙げるのが、オンライン対談中で言及された「アセクシュアル」「アロマンティック」という言葉だ。
また、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」(理解増進法)について、法律の名前が前述の「SOGI」を表記している点で、池田教授は、「同法が強調しているのは、性的マイノリティーへの温情ではなく、全ての人にとっての多様な性の理解です」と解説する。
さらに、“全ての人の多様な性の理解”の手がかりとして挙げるのが、オンライン対談中で言及された「アセクシュアル」「アロマンティック」という言葉だ。
池田教授は、それらの言葉から、社会の全ての人にとって「“結婚とか家族をつくるということと、セックスをすることと恋愛をすることっていうのは、実は必ずしも一体ではないのではないか”という問いかけ」が生まれると指摘する。
そして「『親密なパートナー』と『友人』や『知人』は何が違うのか? 長い人生を生きる中でパートナーが先に亡くなったら、残された人はその後、誰とどんな人間関係を築いていくのか? このような問いを考えながら、より自分らしく、より自由に生きていくヒントを、多様な性に関する言葉は与えてくれるのではないでしょうか」と論じている。
池田教授は、それらの言葉から、社会の全ての人にとって「“結婚とか家族をつくるということと、セックスをすることと恋愛をすることっていうのは、実は必ずしも一体ではないのではないか”という問いかけ」が生まれると指摘する。
そして「『親密なパートナー』と『友人』や『知人』は何が違うのか? 長い人生を生きる中でパートナーが先に亡くなったら、残された人はその後、誰とどんな人間関係を築いていくのか? このような問いを考えながら、より自分らしく、より自由に生きていくヒントを、多様な性に関する言葉は与えてくれるのではないでしょうか」と論じている。
■ アンケート募集
■ アンケート募集
聖教新聞の公式LINEアカウントで、本対談を読んでの感想を含め、「共に生きるということ」のアンケートを実施しています(11月6日まで)。①こちらをタップし、「友だち追加」を押して登録②トーク画面で、いくつかの質問に答えた後、アンケートにお答えください。
聖教新聞の公式LINEアカウントで、本対談を読んでの感想を含め、「共に生きるということ」のアンケートを実施しています(11月6日まで)。①こちらをタップし、「友だち追加」を押して登録②トーク画面で、いくつかの質問に答えた後、アンケートにお答えください。