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作家・佐藤優さんが語る「現代社会における教育と受験――小中学校受験の意味」 2026年8月7日

  • 『希望対話』から読み解く
  • “負けじ魂”養う創価教育
池田先生の著書『希望対話』を手に講演する佐藤さん(先月18日、東京・新宿区で)
池田先生の著書『希望対話』を手に講演する佐藤さん(先月18日、東京・新宿区で)

 女性部のコスモスセミナーが先月18日、東京・新宿区の金舞会館(創価文化センター内)で行われ、作家の佐藤優さんが講師として登壇しました。「現代社会における教育と受験――小中学校受験の意味」と題した佐藤さんの講演要旨を掲載します。

中学受験の現状

 子どもの将来のために、何ができるかと悩むお母さんは多いと思います。
 習い事は“スイミングがいいらしい”“情操を養う楽器がいい”“英語はいつから勉強させるべきか”など、“ママ友”からの情報に触れると、うちもやらせなきゃと思ってしまいますよね。そうした中で、お子さんの受験となると深く悩む人も少なくありません。
  
 小学校入試に関しては、子どもよりも主に親の姿勢が問われるので詳しくは話しませんが、どのような環境に子どもを置くのか、という点で問題となるのは中学入試です。
 今の中学入試の準備は小学3年で始めなければなりません。塾業界では“新4年生”と呼んでいて、この学年に上がるタイミングで選抜試験を行う塾も多いのです。ですが、小学2年から塾に所属していると試験が免除されることもあり、首都圏では今、受験準備が低年齢化しています。
  
 テレビドラマ化された「二月の勝者」という漫画をご存じでしょうか。中学受験に勝つには、「父親の経済力」と「母親の狂気」が必要だという言葉や、受験はステージが上がるほどお金がかかる“課金ゲーム”だといった、中学受験の実情を描いている作品です。
 下世話な話ですが、受験は本当にお金がかかります。標準的な塾に通った場合、3年間で250万円。難関校を目指すとなると、苦手科目を家庭教師で補うケースも多いです。
  
 また中学受験は、高校入試や大学入試とは全く別もので、お母さんと二人三脚です。働いているお母さんにとっては、自身のキャリアにも影響してきます。
 さらに、業界用語で“深海魚”というんですが、たとえ難関校にギリギリで入れたとしても、学校の成績がずっと下位で、学習意欲が湧かず、劣等感に苦しむケースもあります。
  
 こうしたことも踏まえた上で、勉強嫌いにさえならなければ、私は中学受験をする意味は大いにあると考えています。中学受験で学ぶことは社会に出てから役立つことが大半ですし、私自身、大学で教えていて、中学受験を経験した子の方が学力は全体的に高いとも感じますから。よく、ご家庭で相談して決めた方がいいと思います。

何のための教育か

 受験産業は、難関校に合格する生徒を何人輩出できるかが勝負です。だからこそ、勉強のできる子を広告価値のあるものとして見る傾向があります。しかし実際、難関校出身だからといって、社会で活躍できるかどうかは別の話です。
  
 古代ギリシャでは知性を巡るアプローチに、「ソフィスト(智者)」と「フィロソフィスト(哲学者)」という対照的なものがあります。この違いは、対価を求めるか否か、立身出世を目的とするか否かです。
  
 現代の受験産業をはじめとする社会の多くが「ソフィスト」の発想です。この価値観のまま人生を走ると、人間は本当の幸せをつかむことはできません。
 その一方、対価を求めない「フィロソフィスト」の精神を根本にしているのが創価教育であり、この教育を受けているかどうかで人生観は大きく変わります。
  
 だからこそ、どこかのタイミングで、お子さんに創価教育に触れさせてあげてほしいと思います。

女性部のコスモスセミナーで講演する佐藤さん(先月18日、東京・新宿区で)
女性部のコスモスセミナーで講演する佐藤さん(先月18日、東京・新宿区で)
皆が使命持つ存在

 私は創価教育のエッセンスや受験に挑む際の心構えを、池田先生の著作である『希望対話』から学ぶことができると思っています。
  
 「みんなが、違っていて、みんなが何かの『天才』なんです。それを『使命』という」
  
 子ども一人一人が使命を持っているし、親御さんにも使命がある。
 中高一貫校には、経済的な環境をはじめとして“同質的”な子どもが集まる傾向があります。だから、そこから落ちてしまうと敗北感を味わってしまう。しかし、創価学園は数少ない例外で、それぞれの能力を適性と捉える考え方を持っています。
  
 「かりに希望の高校に入れなくても、大学で志望校に入ればいい。大学がうまくいかなければ、社会人になるときに、勝てばいい。20代でできなければ、30代で挑戦すればいい。この繰り返しです、人生は。たとえ遠回りしても、最後に、勝利のテープを切ればいいのです。強くなることです。強い人が幸福の人です」
  
 大切なのは“負けじ魂”の生き方だと思います。
 私の場合、同志社大学の神学部出身です。外務省の道に進み、チェコスロバキアに行きたいと思っていましたが、かないませんでした。ロシアにいた期間は7年8カ月。そのおかげで、仕事で使えるレベルのロシア語が身に付きました。
 また当時、ソ連が崩壊し、エリツィンをはじめとする政権の幹部、ゴルバチョフとも直接知り合えました。プーチン大統領の通訳をしたこともあります。
 そうした中、ロシアに詳しい人ということで、日本に帰国すると、時の総理大臣に呼ばれて外交戦略を考えるような立場になっていったんです。
 人生というものは、どこで勝ち負けが決まるかは分からないものです。
 環境がどうあれ、自分の道を自分で切り開いていく――。創価教育には、この“負けじ魂”の生き方が息づいています。

池田先生著作の『希望対話』
池田先生著作の『希望対話』
「私は見捨てない」

 「親御さんのほうでも、できるかぎり、子どもに『私は、あなたの最大の味方なんだ』という気持ちを伝えてもらいたいと思う。(中略)『もしも、世界中の人が、あなたを非難しても、みんながあなたをいじめても、私だけは絶対に、あなたを守る! あなたは、私だけは信じていいんだよ!』と」
  
 これは、受験に挑む際の親の姿勢を教えているように思います。私の母は沖縄戦の生き残りで、池田先生と同じ価値観でした。私が東京地検特捜部に捕らえられ、東京拘置所から出てきた時に母親が言ったんです。「お母さんは、あの鉄の暴風の中で一発の弾も当たらなかったから運がいいんだよ。あなたも運がいいんだから、こんなことぐらいでへこたれたらだめだ。誰がなんと言ったって、お母さんはあなたの味方だからね」と。
 ありのままを受け入れてくれる人がいれば、自分の幸せを自分以上に喜んでくれる人が一人でもいれば、人間はそんなに大きくは道を誤らないものです。だから、お子さんを一人の人間として尊敬し、信じてあげてほしいと思うんです。
  
 「いちばん大事なことは、どんな場合でも『自分なんか、だめだ』と思わないこと。自分をいじめないこと! 自分で自分を励ますんだよ。落ちこんでしまった自分の心を、自分で『よいしょ』ともち上げるんだよ。だって、君はすばらしい人なんだから、そんなすばらしい自分をいじめちゃいけない。人が何と、けなそうが、関係ない。もしか、君が自分で自分を、だめだと思っても、私はそうは思わない。あなたが自分で自分を見捨ててしまっても、私は見捨てない」
  
 この池田先生の心を、私たちは忘れてはいけないと思います。これは、子どもたちだけでなく、教育に悩むお母さん、お父さんへの言葉でもある。
 この原点さえきちんとしていれば、どんな難しい受験でも乗り切れます。こうした池田先生の心が脈打っているのが創価教育だと私は思います。
  
  

【プロフィル】

 さとう・まさる 1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了後、専門職員として外務省に入省。在イギリス大使館、在ロシア大使館の勤務を経て、外務省国際情報局で主任分析官として活躍。『国家の罠』『自壊する帝国』など著書多数。
  
  

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