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ゼミ探訪「創大の文学部」 2022年2月27日

  • 〈創大マガジン〉

 「ゼミ探訪」の第3弾は文学部。創価大学で唯一、1・2年で入門・基礎を学び、3年の時に九つの専門分野(メジャー)から興味のある科目を選ぶ「メジャー・専修」制度を敷く同学部。多様な学びの空間で生き生きと勉学に励む創大生の姿を追った。

●森下ゼミ
「好き」を「学び」に――大衆文化から時代を読み解く

 研究室の真ん中にゴジラの模型が鎮座する。
  
 2020年春に開講した森下達講師のゼミ。テーマは「ポピュラーカルチャー(大衆文化)研究」。ポップカルチャー、サブカルチャー(サブカル)とも呼ばれ、漫画、アニメ、ゲームなど、大衆向けの文化全般が研究の対象だ。

「どんなことでも学びの対象にできるのが文学部の魅力!」と学生たち(左から渡辺さん、西谷さん、森下講師、池田さん、三國さん)
「どんなことでも学びの対象にできるのが文学部の魅力!」と学生たち(左から渡辺さん、西谷さん、森下講師、池田さん、三國さん)

 「とにかく好きなことに一直線のゼミですね」
 こう語る池田英一さん(4年)は、漫画やゲームなどの創作活動を行うクラブ団体「創作部」に所属。数人で卓を囲み対話しながら物語を進める「TRPG(テーブルトーク・ロール・プレーイング・ゲーム)」のシナリオ作成を担当し、3年生の時、同部で部長を務めた。ゼミと部活動、研究と実践の両面でポップカルチャーと向き合う。

池田英一さん(4年)
池田英一さん(4年)

 「日本のサブカルチャーは、大衆から生まれたこともあり、垣根が低く、海外でも愛好家が多い。さまざまな人と容易につながることができるコミュニケーションツールとして、大きな価値を持っています」
  
 たしかに、外務省のホームページでも、茶道、歌舞伎などの伝統文化と並んで、ポップカルチャーを「日本を代表する文化のひとつ」と紹介している。
  
 その分野は広く、学問的なアプローチも多種多様。
  
 西谷美希さん(3年)は、表現文化としてポップカルチャーを研究。中学・高校の国語科教員を目指しながら、ゼミではバーチャルシンガー「初音ミク」などを題材に「キャラクター論」を考察している。
  
 「キャラクターや物語を分析する力は、国語の学習にも生きます。以前から表現文化に興味があり、実は他大学の受験も考えましたが、創大進学の決め手は、文学部の『メジャー・専修』制度でした。多様な学びを実現できる環境は、教員と表現文化の学習という、二足のわらじを履きたい私にぴったりでした」

西谷美希さん(3年)
西谷美希さん(3年)

 社会学の視点でサブカルチャーを研究する渡辺彩華さん(4年)はこう語る。
 「サブカルの表現や消費動向には、『時代性』が色濃く反映するため、その時代を生きた人々の価値観を学ぶのに役立ちます」
  
 ポップカルチャーは時代を映す「鏡」のような存在だという。ならば学生たちは「今」をどう読み解いているのだろうか。
  
 「“努力は報われる”という漠然とした希望が描かれていた昔の作品に比べ、今は『進撃の巨人』や『呪術廻戦』のように、“差し迫った危機にどう挑むか”という話が主流になっている気がします」
  
 「個の力が問われる作品が多く、登場人物に突き付けられる『君は何ができるのか』というテーマは現代の象徴かもしれません」
  
 研究から浮かび上がるシビアな現実。だからこそ今、創価教育の重要性を実感するという。

渡辺彩華さん(4年)
渡辺彩華さん(4年)

 「私は私のままでいい。好きなことに誇りを持っていいと教えてくれたのは創価大学です。個々が持つ輝きを引き出す創価教育は、厳しい現代を照らす光だと思います」(渡辺さん)
  
 「創大生は傾聴力が高い。人の話に耳を傾けることで、新しい感性や知性を耕し、深い友情を築くことができます。自他共に充実と幸福感を得る生き方を学べるのが創価大学です」(池田さん)
  
     ◇
  
 取材を終えた後も、ゴジラを囲んだ学生たちの語らいは終わらない。
  
 「話が尽きず、気が付くと午後8時なんてこともよくあるんですよ(笑い)」
  
 「好き」を「学び」に。
  
 創大生たちは、単なる知識にとどまらない「人生の価値」を学び続けている。

【学生の声】文学部3年 三國花蓮さん

 1年の夏休みにイギリスへ、春休みにはインドへ、海外短期研修に行きました。先進国と新興国、文化も習慣も異なる二つの国で最初に話題になったのは、日本の漫画やアニメの話でした。そこから交流が生まれ、すぐに現地の人と仲良くなれたんです。
 私は幼少期から絵を描くのが好きで、母がよく絵本の読み聞かせをしてくれたこともあり、子どもたちに命の大切さを伝える「絵本作家」になるのが夢でした。
 森下ゼミの研究を通して、子どもたちに最も身近で、あらゆる差異を超えて世界に広がる漫画の魅力を再発見しました。
 今、学業の傍ら、漫画やイラストを用いたWEB上のサービスでいくつかの作品を商品化でき、絵本作家、漫画家、編集者など、進路の幅も広がりました。創価大学は自身の新たな可能性を引き出してくれる大学です。
 「新しき大文化建設の揺籃たれ」との指針のままに、文化を通じて生命の尊さを世界に発信し、多くの人の幸せに尽くす表現者に成長します。
  

●大崎ゼミ
一人一人に合った外国語の習得方法を探求

 中国語やロシア語等、語学習得や異文化理解に力を入れてきたのが、文学部の魅力の一つ。中学・高校の英語の教職課程があり、英語教員を志す学生も多い。
  
 そうした学生に人気なのが、第二言語習得論を学ぶ大崎さつき准教授のゼミ。

どうすれば、より効果的に言語を学べるか――毎回、活発な議論が行われる大崎ゼミ(左から、中谷さん、赤嶺さん、大崎准教授、辛さん、西方さん)
どうすれば、より効果的に言語を学べるか――毎回、活発な議論が行われる大崎ゼミ(左から、中谷さん、赤嶺さん、大崎准教授、辛さん、西方さん)

 「第二言語習得論とは、人が母国語以外の言語を習得するプロセスやメカニズムを実証的に解明しようとする学問です。ゼミでは特に、学習者一人一人の違いを踏まえつつ、『どんな所でつまずきやすいか』『学習意欲を高めるにはどうすればいいか』『個性に応じた多彩な学習方法』など、理論を確認し、教育実践への応用を皆で考えていきます」(大崎准教授)
  
 英語の教員採用試験に現役合格した学生に、語学を学ぶ秘訣などを聞いてみた。
  
 熊本市の試験に合格した赤嶺芽依さん(4年)の卒業研究のテーマは、英語学習における「自尊感情」。

赤嶺芽依さん(4年)
赤嶺芽依さん(4年)

 「英語力がなかなか伸びない人は、周囲と比べて劣等感を感じたり、間違えることを恐れて授業中に発言できなかったりしてしまう傾向があります。だから、他人ではなく過去の自分と比べて『これができるようになった』と実感することや、『少しくらい間違えても大丈夫』と積極的に英語に挑戦していく姿勢があれば、必ず伸びます!」
  
 さらに「英語の学習方法は一つじゃない」と言う。
  
 「音楽が好き、運動が好き、人とコミュニケーションを取るのが好きなど、人によって得意分野はさまざまです。洋楽を聴いてみるとか、体の動きと連動して覚えるとか、人と英語で話すなど、自分に合ったやり方を知ることで楽しく勉強が続けられます。学校現場に出たら、生徒たち一人一人に合った学習方法を提示してあげたいです」
  
 千葉県の採用試験に合格した中谷大成さん(4年)は、学習者の目標設定と教師の働き掛けが、どのように学習意欲や成果につながるかを研究した。

中谷大成さん(4年)
中谷大成さん(4年)

 「『テストがあるから勉強しよう』といった外から与えられた動機より、『英語を学ぶこと自体が楽しい』という内発的な動機の方が高い学習意欲を持続できるといわれています。授業を工夫し、生徒の頑張りをたたえるなど、やる気を引き出し、学ぶ楽しさを伝えられる教師になりたいです」
  
 ゼミには、英語以外の言語を学ぶ学生もいる。2019年に中国の北京第二外国語大学から留学に来た辛明さん(4年)は、中国語、英語に加え、日本語も流ちょうに操る。

辛明さん(4年)
辛明さん(4年)

 外国語を学ぶのが好きだという辛さんが、言葉の面白さを教えてくれた。
  
 「外国語を学ぶと、自然と自分の振る舞いまで変わるんですよ。例えば、英語を使うと社交的になり、日本語を使うと礼儀正しくなります。言葉は文化と密接に結び付いています。言語を通じて、価値観や世界観が広がるのが面白いです。将来は、ゼミの学びを生かし、複数の言語を使える人材を育て、東アジアの貿易振興に貢献したいです」
  
 時間があれば、韓国語やロシア語も勉強したいという辛さん。
  
 “興味の翼”は、国を超えて世界に広がっていく。

【学生の声】文学部4年 西方美佐さん

 文学部のダブル・ディグリーコース(創大と海外の大学、二つの学位が取れる留学制度)で、2・3年生の間、イギリスのバッキンガム大学で学びました。留学では、日本と異なる教え方や生活習慣を肌で感じ、現地の学校で教育実習もしました。
 そうした経験をもとに、日本の英語教育を研究しようと大崎ゼミに入りました。現在は、“英語教育における効果的なICTの活用”について研究しています。
 実は、入学時から過労死の問題や労働環境の改善に関心がありました。効果的な教育方法の研究をしようと思ったのは、そのまま教員の負担軽減につながると思ったからです。社会学から始めて、英語教育の研究に進めたのも、幅広い学びができる創大文学部ならではだと感じています。
 ゼミでは、やりたいことと学習の目標を結び付けることで学習意欲が上がると学びました。いつか、大好きなクラシック音楽を本場ドイツで聞くことを夢見て、今、ドイツ語の勉強にも力を入れています!
  
  

 キーワードに興味がある方、さらに詳しく知りたい方は、文学部のホームページ

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