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〈SDGs✕SEIKYO〉 私が世界を変えていく 2022年2月26日

  • 池田先生の思想と行動に学ぶ勇気の一歩

 企画「SDGs×SEIKYO」の連載「私が世界を変えていく」では、SDGs(持続可能な開発目標)を前進させる方途を、池田先生の思想と行動を通して考えます。今回のテーマは「SDGsに取り組む一歩の意味」です。
  

今いる場所で
一輪の花を咲かせよう
エスキベル博士と池田先生の共同声明発表を記念して行われた「青年の集い」(2018年6月、イタリア・ローマで)
エスキベル博士と池田先生の共同声明発表を記念して行われた「青年の集い」(2018年6月、イタリア・ローマで)
エスキベル博士との共同声明 

 自分一人が行動しても、何も変わらないのではないか――今、地球社会が抱えている問題の複雑さを前にして、そんな無力感を抱く人は少なくない。SDGsが掲げる17の目標の大きさばかりに目を奪われ、“今の生活を少し変えたくらいでは意味がない”と思う人もいるだろう。
 SDGsの挑戦とは一面、「諦めとの戦い」と言えるかもしれない。
  
 世界中がコロナ禍に見舞われ始めた2020年から、イタリア創価学会の友が開始した取り組みがある。その名も「私が変われば、世界が変わる」。SDGsの達成に向けて、一人一人の意識啓発を目的としたキャンペーンだ。
  
 昨年9月には地球温暖化対策を話し合う国連の会議「COP26」の準備会合に合わせ、ミラノで「生の継承」展が開催された。イタリア創価学会が同国エコロジー移行省の協賛を得て企画・制作したものである。
  
 環境活動家などの言葉や、市民の手によって緑地が整備された取り組みの例などを交えつつ、“変革の主体者”として一人一人が起こす行動こそ、地球の未来を照らす希望の一歩となることを訴える内容だった。
  
 イタリアの友の原動力は何か。それは、ノーベル平和賞受賞者のアドルフォ・ペレス=エスキベル博士と池田先生の共同声明「世界の青年へ レジリエンス(困難を乗り越える力)と希望の存在たれ!」にほかならない。2018年にローマの地で発表されたものである。
  
 両者は、声明の中で呼び掛けた。「植えたものは、必ず収穫される。自分たちの一つ一つの行動が未来に必ず実を結ぶことを信じ、『民衆と共に人生を歩む』という責任を勇んで担おうではないか」
  
 変革へと踏み出す一人の一歩は、決して無意味ではない――これが、二人に共通する信念である。
  
 エスキベル博士は1970年代、アルゼンチンにおいて圧倒的な権力をもつ軍部政府の独裁に対し、庶民の人権擁護に立ち上がった。母国のみならず中南米諸国の民衆と手を携え、逮捕・投獄されても屈することなく非暴力闘争を貫いて、民主化を実現したのである。
  
 池田先生との出会いは1995年、東京で。その後、往復書簡を重ね、対談集『人権の世紀へのメッセージ』を発刊している。
  
 先生は2017年の「SGIの日」記念提言で、エスキベル博士との語らいを振り返りつつ、SDGsの達成に向けた「一歩の意味」に言及した。その前では、法華経の「化城宝処の譬え」を紹介し、「共に歩む」ことの大切さを訴えている。
  

エスキベル博士㊨、アマンダ夫人㊥と語らう池田先生(1995年12月、都内で)
エスキベル博士㊨、アマンダ夫人㊥と語らう池田先生(1995年12月、都内で)
2017年「SGIの日」記念提言から
一緒に進む過程そのものが尊い

 「化城宝処の譬え」とは――かつて砂漠を旅する人々がいた。宝のある場所(宝処)を目指し、険路をよく知る導師の案内で進んで行く。だが途中で一行は疲れ果て、「これ以上は進めない」と諦めかけてしまう。
  
 そこで導師は神通力によって一つの城をつくり、「あの城に入れば安穏になれる」と皆を励ました。この言葉を聞いて歓喜した人々は、進んでその城に入り、十分な休息をとる。その様子を見届けた導師は、“これは皆のために現した幻の城(化城)であり、宝処はもう、すぐ近くにある。さあ、そこまで共に進んでいこう”と呼び掛けた――という話だ。
  
 池田先生は記念提言の中で、「日蓮大聖人は、ここでいう化城と宝処は決して別々のものではなく、『化城即宝処』(全732・新1021)であると説きました」と展開している。宝処にたどり着くという結果もさることながら、「共に宝所に至るべし」との心で、一緒に進む過程そのものが尊い。前に踏み出す一歩一歩が「念念の化城」と現れるだけでなく、それがそのまま、自他共に尊極の生命が輝く「念念の宝処」となっていく――と。
  
 次いで先生はSDGsの目指すべき方向性について、以前、「目標の達成はもとより、悲劇に苦しむ一人一人が笑顔を取り戻すことを最優先の課題とすることを忘れてはなりません」と訴えたことに言及する。「数値的な改善ばかりに目を奪われると、苦境に置かれた人々への配慮が後回しにされ、また、目標達成への息吹を長続きさせることも難しくなってしまうと考えたからです」
  
 さらに先生は、エスキベル博士が「人間は、人間としての共通の目的を目指して進むとき、自由や平和を志向しているとき、尋常ではない能力を発揮する」と語っていたことを振り返る。
  
 博士は民主化運動を通して、“民衆が真に望んでいること”は決して大きな物語ではなく、“一輪の花が日々咲くこと”にあると気付いたという。
  
 「その開花は、日常生活という戦いのなかにあります。つまり、人生に対して子どもが見せる笑顔のなかに咲き、希望を創り出し、希望の光で道を照らすなかに咲きます。『すべての努力は、自分たちの解放のためなのだ』と気づく瞬間のなかに咲いていくのです」(『人権の世紀へのメッセージ』から、エスキベル博士)と。
  
 先生は「非常に味わい深い言葉だと思います」と述べ、こう続けた。「SDGsの目標達成は、いずれも容易ならざる挑戦です。しかし、苦しんでいる人々に寄り添い、エンパワーメントの波を起こす中で、自分たちの身の回りから『一輪の花』を咲かせることはできるはずです」
  

Action 何ができるか――方法やアイデアは無限に

 自分が今いる場所で“一輪の花”を咲かせることなくして、持続可能な未来という“花園”を、世界に広げることはできない。何より、一輪の花を咲かせる手応えは、自らの行動が現実変革への歩みそのものであるという実感をもたらし、心に巣食い蝕んでいく諦めや無力感を押し返す力となろう。
  
 ゆえに創価学会は「一人の一歩」の重要性を一貫して訴え、行動を積み重ねてきた。2010年には、国連が定めた「持続可能な開発のための教育の10年」を推進するため、環境展示「希望の種子」を制作。世界各地で共感の輪を広げた。
  
 昨年には、新展示「希望と行動の種子」(SGIと地球憲章インタナショナルが共同制作)が完成。同展を貫くテーマも、「変革は『一人』から始まる」である。
  

環境展示「希望と行動の種子」の日本語版パネル
環境展示「希望と行動の種子」の日本語版パネル

 全25枚のパネルで構成された展示の終盤には、たくさんの葉をつけた一本の木のイラストがある。背景の色は白。その広い“空白”部分に込められた意味は、「一人一人が今いる場所で何ができるかを考え、その行動を“希望の種子”として、地域に蒔いていってほしい」とのメッセージである。
  
 方法やアイデアは、無限にある。日々の消費行動を賢明に見直すことも、そう。地域の人々と交流することも、そう。現代の課題について学ぶこと、知ることも、全てが自分にこそ可能な偉大なる「変革への一歩」だ。その一歩一歩が“希望の種子”となり、“一輪の花”を咲かせていくのである。
  
  
【ご意見、ご感想をお寄せください】
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<ファクス>03-5360-9613

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