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〈インタビュー〉 “うどん県・香川”で“そんなバナナ!”な話を聞いてきた。 2023年7月28日

  • 電子版オリジナル連載〈素材心 生産者と食す〉

こんにちは。
連載「素材心」担当の石ちゃんです。前回の「パールゴーヤ」の記事掲載後、取材をした照屋さんから「パールゴーヤ」の苗をいただいたので栽培を始めました。花が咲いたので、あと1カ月ほどで収穫できるかも⁉

(聖教公式Twitterで「パールゴーヤ」の成長模様を配信中)

今回の「素材心 生産者と食す」は、バナナを紹介します。ちなみにバナナの収穫前の様子、見たことはありますか?

ド、ドンッ!

どうでしょう、この迫力。まるでひとつの生命体のよう。フィリピン⁉︎ エクアドル⁉︎ に行ってきたわけではありません。これは、“うどん県・香川”で栽培されている「バナナ」です。

“うそだぁ〜。香川でバナナなんて栽培できるの⁉︎”と思っている、読者の皆さま!

香川で「バナナ」……栽培……できるんです!(拍手)

取材のアポイントをとるために先方に電話をかけると――。

私「香川でバナナが栽培されていると聞きました! ぜひ、たくさんお話をお聞きしたいと思っています!」

先方「もうそれはそれは、ここまで“そんなバナナ!”のような出来事の連続で。お電話では語りきれませんよ~!」

と、後日訪れたのがこちらのお店!

「DREAM Banana CAFE(ドリームバナナカフェ)」です。夢にバナナが出てきそうなくらい、バナナあふれるネーミングです(笑)。

テーブルいっぱいにバナナスイーツが。もう目がハートです。

出迎えてくれたのは、株式会社ドリームフルーツの代表取締役の小倉浩三さん=本部長=と、専務取締役を務める妻の三千世さん=女性部本部長。早速、“そんなバナナ”な話を伺いました。

南国感“半端ない”カフェですね!

でしょー。空間デザイナーの方の力添えのおかげもあって、すてきなデザインに仕上がりました。ちょうど開業から1周年。おかげさまで、大盛況です。いろんな著名人も来店されるし、後は、うどんを食べた後にデザートを食べに来られる方々が多いですね。

ここで扱っているのはもちろん香川産バナナ……?

もちろん、うちで栽培している「さぬきドリームバナナ」です。バナナジュースが一番、バナナの味が分かるので、飲んでみてください。バナナと牛乳をミキサーにかけただけですが……。

な、な、なんですか。この甘味は!

バナナのすっきりとした甘さが絶妙なんです。絶対に市販のバナナでは出せない味だと自負しています!

このバナナをディップしながら召し上がるのが、この「バナナジュース」の楽しみ方です。ちなみに、この「さぬきドリームバナナ」は、皮ごと食べてくださいね。

か、皮ごと~っ⁉ バナナを皮ごとなんて食べたこと……。

農薬を使っていないから、食べられるんですよ!
私たちも初めて皮ごと食べた時は、驚きしかありませんでした。バナナを食べたら“シャキッ”。この音だけ聞くと、果物というより野菜のようですよね(笑)。

「さぬきドリームバナナ」
「さぬきドリームバナナ」

私たちの農園では、栄養を最大限に引き出すため、化学肥料は使わず、有機肥料を使います。栄養価が高いのはもちろん、身が甘くてねっとりとした食感を楽しめるんです!

ちなみに日本で消費されているバナナの99・9%が輸入バナナ。もちろん輸入するためには農薬をたっぷりと使うので、日本では皮を食べない文化が定着しているのかもしれません。

1%に満たないんですね。それは衝撃です!

バナナは形状や性質によって品種群が分けられていて、現在、世界的に主流となっているのは「キャベンディッシュ」という品種です。スーパーに並んでいるバナナの多くはこのキャベンディッシュといってもいいんじゃないでしょうか。

バナナの花
バナナの花

(日本には「日本バナナ輸入組合」があるので、その組合が運営する「バナナ大学」には、バナナ情報盛りだくさん!)

そろそろ“ドリームバナナ”のある場所が気になってきました。

行ってみましょう!

ここなんですが、いやー、このビニールハウスを見ると、“あの頃”を思い出すなぁ~。この話聞きます?(笑)

聞きます! 手に持っているものも気になります(笑)。

バナナの葉っぱです。すごーい大きいですよね。妻が隠れるほどです。150センチくらいあるんじゃないかな。

ちなみに、このビニールハウスは私たち家族と、応援してくれている知り合いの皆さんの協力もいただきながらビニールを張って、すべて手作り。この畑の耕作も、肥料もすべて試行錯誤を繰り返してきました。

これがハウスを作っている当時の写真です。私も一緒に屋根に上がって作業をしました。この写真の屋根にいるの、長男です。すごいでしょ(笑)。怖かったなぁ~。

ビニールハウスの屋根にビニールを張る息子さん(本人提供)
ビニールハウスの屋根にビニールを張る息子さん(本人提供)
ここまで手作りなんですか! 農業経験はあったんですか?

“ド”級の“ド素人”ですよ(笑)。土がどうとか、適正温度がどうとか。専門的なことは全く分かりませんでした。主に私が携わっている仕事は、電気通信設備工事だったり、インターネットのLAN工事です。その傍ら、バナナを栽培しています。

結婚したばかりの頃は、妻に隠れてギャンブルに通い、多額の借金をつくり、仕事が不安定な時期もありました。自営で起業した事業の売上金が、給料がお金でなく、タマネギだったことも(笑)。

私は結婚を機に創価学会に入ったんですが、7年間、祈ることも学会活動もしていませんでした。“男は努力と信念でなんとかなる”と思っていたからです。思っていても、行動ができていなく、知らぬ間に借金がふくらんでいました。当時の男子部の先輩や妻から「そろそろ真剣に信心をする時じゃないの」と言われ、“本気で信心をしてみよう”と腹を決めたんです。

池田先生の行動を学ぶ中で、先生の人生は“挑戦”“挑戦”“挑戦”の連続だったことを知りました。小説『新・人間革命』にはこうつづられています。

〈妙法は、「数万の正証反証(幸不幸)の累積によつて、単なる哲学的なる抽象概念としての真理たるに留まらず、生活の実相に表はれる生活力の限りなき源泉」であることを実証したのだ。つまり、日蓮大聖人の仏法は、「百発百中の生活法則たることが何れにも何人にも証明し得ることゝなつた」のである〉小説『新・人間革命』 第27巻「正義」の章

百発百中っていうことは、祈りは必ずかなう。その言葉に背中を押され、祈る“挑戦”を始めました。やっぱりギャンブルをやっていて分かったんですが、自分の性分というものを考えたら、気を緩めたら、楽で楽しそうなところに引っ張られていってしまうんです。だから私は“挑戦”し続けました。すると、人にも恵まれ、起業した電気通信設備の会社の経営が軌道に乗っていったんです。

でも、何がきっかけで農業に携わろうと思ったんですか。

ちょうど、10年前くらいからでしょうか。毎日、犬の散歩をしていると、田んぼだった場所が少しずつ住宅地になっていきました。

高齢化が進み、田んぼを手放す方々が増えたからです。少しでも“地域の景色を残せる方法はないか”“地域発展に貢献できることはないか”と考えるようになったんです。

バナナについて妻・三千世さん(左)と語り合う
バナナについて妻・三千世さん(左)と語り合う

その頃から、夫婦で毎年開催される創価学会の農漁光部(農・漁業等に従事する会員のグループ)主催の「農魚光部ルネサンス体験主張大会」に参加しました。

〈「環境に左右されない“心”をもつことが肝要です」〉
〈「就農人口の減少が見込まれている今こそ、地域社会の平和と幸福を祈っています」〉
〈「池田先生は“食は文化、食は命”との指針を胸に地域の発展のために尽力しています」〉

バナナの子株
バナナの子株

農家さんの信心の喜びや苦悩を乗り越えた活動報告に“すごいな”って、感動しっぱなしでした。その度合いも年々、大会に参加するたびに増していったんです。

農家さん一人一人の苦労のみならず、一つ一つの作物に生産のストーリーがあることを知った時、人間からは切っても切り離せない「食」に携わる仕事がしたいと思うようになったんです。農業に携われば、地域の耕作放棄地を活用して景観を守れる。しかし、始める“きっかけ”がなかったんです。

その始める“きっかけ”がバナナだったわけですね。

そうなんです。5年前、電気通信関係の仕事仲間から「バナナ栽培でも始めてみたら?」と、声がかかったんです。最初は、「バナナ⁉」って驚いたんですが、妻はノリノリでしたね(笑)。

「バナナだったら、特長もあるし、うどんが有名な香川でも注目されるんじゃない?」って。その言葉を聞いたら、それは地域活性化にもつながるかもしれないと思い、“バナナ農家になる”って夫婦で決断したんです。

バナナの栽培は難しくなかったんですか?

畑を耕したり、機材を運搬したり、思い出すだけで筋肉痛になるような苦労話はいっぱいありますが(笑)。一番大変だったのは、バナナの色付けです。バナナは青い状態で輸入されてから、ライプナー(青いバナナを黄色く熟成させる職人技)によって黄色にして販売されます。

その黄色にする方法は、職人のみぞ知る方法。しかも国内に指で数えられるほどしか、職人がいないので、私たちにはできるはずもありません。

もしかして、黄色にする方法を独自で編み出したんですか?

バナナを黄色くするために、沖縄の泡盛を吹きかけたり、焼酎を吹きかけたり、アルコールを吹きかけたり、ただ冷蔵庫で保管だけしてみたり。それでも一向に黄色くならないんです。「そんなバナナ!」の連続でした。

バナナを廃棄するわけにはいかない、冷凍して、毎日、朝昼晩、バナナを食べた時もありました。バナナを仏壇の前に置いて、真剣に祈りました。黄色になっても甘くないバナナ、青いまま傷んでいくバナナ。毎回、毎回、うまくいかなくて「そんなバナナ。なんでうまくいかないんだ」って。

試行錯誤を重ねながらバナナを食すること1万本?(笑)。2020年、均一にきれいな黄色の色が付き、糖度25度の甘さのバナナを編み出すことに成功したんです。試行錯誤の末、編み出した技術はもちろん企業秘密です(笑)。

名前は「讃岐うどん」が有名なので、香川県発展を期して「さぬきドリームバナナ」と名付けました。諦めずに“挑戦”すれば“夢”は必ずかなう。そんな思いを「ドリーム」に込めました。その第1号のバナナを池田先生にお届けしました。後日、先生から「貴重なバナナをありがとう」とのご伝言が。“挑戦”を教えてくれた師匠に喜んでいただいたことに胸がいっぱいになりました。その後、「さぬきドリームバナナ」は口コミで全国に広がり、バナナ事業の経営も少しずつ上向きに。昨年には、「DREAM Banana CAFE」をオープンすることもできました。

今、香川県の特産品「うどん」に加えて、新たな特産品になるよう、PR活動、バナナの品質を追求しています。これが今の私たちの“挑戦”です!

ぜひ、香川に来られた際には、「うどん」だけでなく「バナナ」も食べに訪れてみてください!

「さぬきドリームバナナ」の生産者にバナナ愛を聞きました!
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4:58

先日、聖教新聞にバナナ料理レシピが掲載されました。バナナが食べたくなった人は、ぜひ、ご覧ください→【ほんのり甘い バナナスイーツ】期間限定で無料配信中!

【バックナンバーはこちら】

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