〈水害の備えに役立つ情報〉 内水氾濫とは
〈水害の備えに役立つ情報〉 内水氾濫とは
2026年8月29日
都市型水害の原因の一つとなる内水氾濫。「令和8年千葉豪雨」でも内水氾濫が多発し、被害が広がりました。1時間雨量が50ミリを超える場合、リスクが高まります。都市型水害に詳しい中央大学研究開発機構機構教授の古米弘明さんの話を再掲します。
都市型水害の原因の一つとなる内水氾濫。「令和8年千葉豪雨」でも内水氾濫が多発し、被害が広がりました。1時間雨量が50ミリを超える場合、リスクが高まります。都市型水害に詳しい中央大学研究開発機構機構教授の古米弘明さんの話を再掲します。
川が近くになくても注意
川が近くになくても注意
大雨によって河川水位が上昇し、堤防を越えたり、堤防が決壊したりして市街地や集落に河川の水が流入する「外水氾濫」に対し、「内水氾濫」は排水不良によって雨水が街にたまることを指します。発生の仕組みは大きく二つに分けられます。
一つ目が下水道の排水能力を上回る雨が降った時です。
二つ目が下水道の排水能力以下の雨量でも、河川の水位が高くなったことで川に排水できなくなった時です。
雨水は側溝などから下水管に入り、下流に流れます。しかし排水能力を超えると、マンホールから水が噴き出したり、低い場所に水が集まったりします。
内水氾濫は「川の近くでなくても起きる」という点で注意が必要です。
大雨によって河川水位が上昇し、堤防を越えたり、堤防が決壊したりして市街地や集落に河川の水が流入する「外水氾濫」に対し、「内水氾濫」は排水不良によって雨水が街にたまることを指します。発生の仕組みは大きく二つに分けられます。
一つ目が下水道の排水能力を上回る雨が降った時です。
二つ目が下水道の排水能力以下の雨量でも、河川の水位が高くなったことで川に排水できなくなった時です。
雨水は側溝などから下水管に入り、下流に流れます。しかし排水能力を超えると、マンホールから水が噴き出したり、低い場所に水が集まったりします。
内水氾濫は「川の近くでなくても起きる」という点で注意が必要です。
そして、内水氾濫は近年、増加傾向にあります。国土交通省の集計(2008年~17年の10年間)では、全国の水害被害額の約1・8兆円のうち約4割が、浸水棟数では約7割が内水氾濫によるものでした。東京都に限ると被害額の約7割が内水氾濫でした。
実際に令和元年東日本台風では、全国約4・7万戸の浸水のうち約3万戸が内水被害とされています。
内水氾濫は外水氾濫に比べると、流れの外力は弱い場合が多く、建物そのものを押し流す危険は低いといえます。
しかし、住宅の床上・床下浸水、家財の損傷、車の水没など、経済的被害などは甚大です。道路、地下鉄や地下街への浸水など、都市機能がまひするリスクもあります。
そして、内水氾濫は近年、増加傾向にあります。国土交通省の集計(2008年~17年の10年間)では、全国の水害被害額の約1・8兆円のうち約4割が、浸水棟数では約7割が内水氾濫によるものでした。東京都に限ると被害額の約7割が内水氾濫でした。
実際に令和元年東日本台風では、全国約4・7万戸の浸水のうち約3万戸が内水被害とされています。
内水氾濫は外水氾濫に比べると、流れの外力は弱い場合が多く、建物そのものを押し流す危険は低いといえます。
しかし、住宅の床上・床下浸水、家財の損傷、車の水没など、経済的被害などは甚大です。道路、地下鉄や地下街への浸水など、都市機能がまひするリスクもあります。
気候変動と都市化が影響
気候変動と都市化が影響
内水氾濫が増えている一番の要因は、気候変動の影響などで雨の降り方が大きく変わったことです。
わが国の下水道は1時間50ミリ程度の雨でも、あふれないことを目安に整備されてきました。しかし、それを上回る激しい雨が、以前より頻繁に起きるようになっています。
気象庁は、1時間に50ミリ程度の雨の頻度は約30年間で1・4~1・6倍、1時間に80ミリ以上の猛烈な雨は約1・7倍になったと説明しています。
加えて、土地の都市化も影響しています。森林や農地が減り、宅地化が進み、地面はアスファルトに舗装されてきました。舗装された地面は雨水が地下に浸透しづらく、多くの雨水が一気に下水道へ流れ込み、下水管の容量を圧迫し、浸水リスクが高まります。
内水氾濫が増えている一番の要因は、気候変動の影響などで雨の降り方が大きく変わったことです。
わが国の下水道は1時間50ミリ程度の雨でも、あふれないことを目安に整備されてきました。しかし、それを上回る激しい雨が、以前より頻繁に起きるようになっています。
気象庁は、1時間に50ミリ程度の雨の頻度は約30年間で1・4~1・6倍、1時間に80ミリ以上の猛烈な雨は約1・7倍になったと説明しています。
加えて、土地の都市化も影響しています。森林や農地が減り、宅地化が進み、地面はアスファルトに舗装されてきました。舗装された地面は雨水が地下に浸透しづらく、多くの雨水が一気に下水道へ流れ込み、下水管の容量を圧迫し、浸水リスクが高まります。
排水不良で被害が拡大した熊本市の道路(2025年8月)
排水不良で被害が拡大した熊本市の道路(2025年8月)
特にリスクが高い場所は、川のそば、低平地や窪地などです。また、周囲から雨水が集中しやすい谷底地形も注意が必要です。武蔵野台地が削られて形成された渋谷駅周辺が、2025年7月の豪雨で冠水したのは一つの例でしょう。
アンダーパス(鉄道や別の道路の下を通るために周囲より低く作られた道路や通路)は水が集まりやすく、人命に関わることもあるので注意が必要です。
さらに低い土地にある地下空間は、人命に直結する危険があります。地下鉄、地下街、地下駐車場は特に注意すべき場所で、止水板などの対策は欠かせません。
地名に「池」や「窪」「谷」などが残る場所は、昔から水が集まりやすい地域の可能性があり、土地の成り立ちを確認することも大切です。
特にリスクが高い場所は、川のそば、低平地や窪地などです。また、周囲から雨水が集中しやすい谷底地形も注意が必要です。武蔵野台地が削られて形成された渋谷駅周辺が、2025年7月の豪雨で冠水したのは一つの例でしょう。
アンダーパス(鉄道や別の道路の下を通るために周囲より低く作られた道路や通路)は水が集まりやすく、人命に関わることもあるので注意が必要です。
さらに低い土地にある地下空間は、人命に直結する危険があります。地下鉄、地下街、地下駐車場は特に注意すべき場所で、止水板などの対策は欠かせません。
地名に「池」や「窪」「谷」などが残る場所は、昔から水が集まりやすい地域の可能性があり、土地の成り立ちを確認することも大切です。
アンダーパスが冠水して車が立ち往生した(2025年8月、石川県金沢市内)
アンダーパスが冠水して車が立ち往生した(2025年8月、石川県金沢市内)
有効な備えと対策とは
有効な備えと対策とは
では有効な備えは何でしょうか。まず、ハザードマップで自宅や職場、通勤経路の土地のリスクを確認します。また、移動経路にアンダーパスなど危険な場所がないかを把握することも大切です。避難経路の安全性も調べましょう。
さらに、自宅周辺の側溝にごみがたまっていないか確認し、定期的に清掃することも大切です。また、浸水被害を防ぐ土のうや止水板を準備しておくといいでしょう。
そして自分自身の災害発生時の行動をあらかじめ定める「マイタイムライン」(いつ、何をするか)を決めておきましょう。浸水の恐れがある時は地下へ行かない、車を移動する、大切な書類や家財を上階へ上げる、といった判断を事前に決めておくべきです。
いざという時は、防災気象情報や自治体の情報などを確認し、早めの行動を心がけてください。
では有効な備えは何でしょうか。まず、ハザードマップで自宅や職場、通勤経路の土地のリスクを確認します。また、移動経路にアンダーパスなど危険な場所がないかを把握することも大切です。避難経路の安全性も調べましょう。
さらに、自宅周辺の側溝にごみがたまっていないか確認し、定期的に清掃することも大切です。また、浸水被害を防ぐ土のうや止水板を準備しておくといいでしょう。
そして自分自身の災害発生時の行動をあらかじめ定める「マイタイムライン」(いつ、何をするか)を決めておきましょう。浸水の恐れがある時は地下へ行かない、車を移動する、大切な書類や家財を上階へ上げる、といった判断を事前に決めておくべきです。
いざという時は、防災気象情報や自治体の情報などを確認し、早めの行動を心がけてください。