〈インタビュー〉 映画「ボストン1947」カン・ジェギュ監督
〈インタビュー〉 映画「ボストン1947」カン・ジェギュ監督
2024年8月29日
- 8月30日(金)から全国公開
- 8月30日(金)から全国公開
カン・ジェギュ監督
カン・ジェギュ監督
映画「シュリ」(1999年)や「ブラザーフッド」(2004年)など、壮大なスケールで感動のヒューマンストーリーを数多く生み出してきた名匠カン・ジェギュ監督。その彼が今回手がけるのは、祖国・韓国への思いを胸に命懸けのレースに挑むマラソン選手の姿を描いた映画「ボストン1947」(8月30日〈金〉から全国公開)。本作の見どころなどを聞いた。
映画「シュリ」(1999年)や「ブラザーフッド」(2004年)など、壮大なスケールで感動のヒューマンストーリーを数多く生み出してきた名匠カン・ジェギュ監督。その彼が今回手がけるのは、祖国・韓国への思いを胸に命懸けのレースに挑むマラソン選手の姿を描いた映画「ボストン1947」(8月30日〈金〉から全国公開)。本作の見どころなどを聞いた。
◆何を認識し、感じ、学ぶか――それが自分の“財産”に
◆何を認識し、感じ、学ぶか――それが自分の“財産”に
――本作は、米ボストンで行われたマラソン大会で実際にあった出来事を基にした作品ですね。
以前からマラソン映画を製作したいと思っていたんです。そんなある日、プロデューサーのチャン・ウォンソクさんが本作のシナリオを持ってきてくれました。
ボストンマラソンのことは詳しくは知らなかったのですが、物語を読んで驚きました。こんなうそみたいな話が、歴史的事実だったのかと。何の偶然か、念願のマラソン映画であり、とても興味深い内容でのオファーでしたので、幸運だったなと思っています。
――本作は、米ボストンで行われたマラソン大会で実際にあった出来事を基にした作品ですね。
以前からマラソン映画を製作したいと思っていたんです。そんなある日、プロデューサーのチャン・ウォンソクさんが本作のシナリオを持ってきてくれました。
ボストンマラソンのことは詳しくは知らなかったのですが、物語を読んで驚きました。こんなうそみたいな話が、歴史的事実だったのかと。何の偶然か、念願のマラソン映画であり、とても興味深い内容でのオファーでしたので、幸運だったなと思っています。
――タイトルにもある1947年は、激動の時期でしたね。
第2次世界大戦が終わり、朝鮮半島が解放されたものの、すぐに朝鮮戦争が起きました。そうした複雑な側面もあってか、この時期を描いた映画作品などはあまりないんです。
本作でも、スポーツ映画としての性質上、当時の背景を克明に描くことは難しいと感じていました。ですが、マラソンに懸ける情熱や時代の生活感などは、役そのものになりきってくれた俳優たちの努力もあり、表現できたのではないかなと思います。
――タイトルにもある1947年は、激動の時期でしたね。
第2次世界大戦が終わり、朝鮮半島が解放されたものの、すぐに朝鮮戦争が起きました。そうした複雑な側面もあってか、この時期を描いた映画作品などはあまりないんです。
本作でも、スポーツ映画としての性質上、当時の背景を克明に描くことは難しいと感じていました。ですが、マラソンに懸ける情熱や時代の生活感などは、役そのものになりきってくれた俳優たちの努力もあり、表現できたのではないかなと思います。
© 2023 LOTTE ENTERTAINMENT & CONTENT ZIO Inc. & B.A. ENTERTAINMENT & BIG PICTURE All Rights Reserved
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――最後に描かれるのは、15分間にも及ぶ、手に汗握るマラソンシーンです。懸命に走り続ける選手の姿から伝えたかったことは?
今、世界各地で、複雑で困難な問題が起こっています。ともすると、人生の座標、目標を喪失してしまう人たちも多いのではないでしょうか。
私が伝えたいのは、“大変ではない時代なんてない”ということです。この映画で描いた時代の人々は、今を生きる私たちよりも大変な思いをしていたはず。そんな中で、夢を失うことなく、自分の掲げた目標を成し遂げようと必死に頑張った。その姿は、今を生きる私たちに大きな希望や夢を与え、何かしらの力になると信じています。
――最後に描かれるのは、15分間にも及ぶ、手に汗握るマラソンシーンです。懸命に走り続ける選手の姿から伝えたかったことは?
今、世界各地で、複雑で困難な問題が起こっています。ともすると、人生の座標、目標を喪失してしまう人たちも多いのではないでしょうか。
私が伝えたいのは、“大変ではない時代なんてない”ということです。この映画で描いた時代の人々は、今を生きる私たちよりも大変な思いをしていたはず。そんな中で、夢を失うことなく、自分の掲げた目標を成し遂げようと必死に頑張った。その姿は、今を生きる私たちに大きな希望や夢を与え、何かしらの力になると信じています。
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――そのメッセージが、次代を担う若者に届くといいですね。
最近の若者の多くが、過去の出来事を“自分とは関係ない”と思っています。自分が何を認識し、感じ、学ぶかが、自分の財産になります。それを積み重ねることで、“自分の望む未来”をつくっていけるんだと知ってほしい。
自分たちの未来のためにも、かつて何があったのか、少しでも関心を持ってくれればと願っています。
――そのメッセージが、次代を担う若者に届くといいですね。
最近の若者の多くが、過去の出来事を“自分とは関係ない”と思っています。自分が何を認識し、感じ、学ぶかが、自分の財産になります。それを積み重ねることで、“自分の望む未来”をつくっていけるんだと知ってほしい。
自分たちの未来のためにも、かつて何があったのか、少しでも関心を持ってくれればと願っています。
【プロフィル】1962年生まれ、韓国・馬山出身。96年、映画「銀杏のベッド」で監督デビュー。朝鮮半島の南北問題を背景にした「シュリ」「ブラザーフッド」が大ヒットし、社会現象となる。映画監督のほか、映画プロデューサーや脚本家など、その活躍は多岐にわたる。
【プロフィル】1962年生まれ、韓国・馬山出身。96年、映画「銀杏のベッド」で監督デビュー。朝鮮半島の南北問題を背景にした「シュリ」「ブラザーフッド」が大ヒットし、社会現象となる。映画監督のほか、映画プロデューサーや脚本家など、その活躍は多岐にわたる。
【記事】木村英治 【写真】石川大樹
【記事】木村英治 【写真】石川大樹
◆ストーリー
◆ストーリー
1936年(昭和11年)、ベルリンオリンピックのマラソン競技で、日本代表は金メダルと銅メダルを獲得。その選手は、韓国出身のソン・ギジョン(ハ・ジョンウ)とナム・スンニョン(ペ・ソンウ)だった。
第2次世界大戦後、韓国は日本から解放されたが、36年のメダルの記録は日本のまま。二人は、有望な若手選手ソ・ユンボク(イム・シワン)に“祖国の記録”を取り戻す夢を託し、数々の試練に立ち向かっていく。
1936年(昭和11年)、ベルリンオリンピックのマラソン競技で、日本代表は金メダルと銅メダルを獲得。その選手は、韓国出身のソン・ギジョン(ハ・ジョンウ)とナム・スンニョン(ペ・ソンウ)だった。
第2次世界大戦後、韓国は日本から解放されたが、36年のメダルの記録は日本のまま。二人は、有望な若手選手ソ・ユンボク(イム・シワン)に“祖国の記録”を取り戻す夢を託し、数々の試練に立ち向かっていく。
公式ホームページはこちら
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