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〈インタビュー〉 ドラマ「わが家は楽し」 石井ふく子プロデューサー 2025年3月13日

  • TBS系 3月13日(木)午後9時
前列左から髙橋海人、主演の小日向文世、戸田恵子、後列左から山田杏奈、桜井ユキ、えなりかずき
前列左から髙橋海人、主演の小日向文世、戸田恵子、後列左から山田杏奈、桜井ユキ、えなりかずき

 御年98歳――。そう感じさせない、かくしゃくとした居住まい、明瞭な受け答え。世界最高齢の現役プロデューサーである石井ふく子さんが今回、盟友である映画界の巨匠・山田洋次さんの脚本で、新たなホームドラマ「わが家は楽し」(TBS系)を手がけた。放送は、きょう13日(木)午後9時から。同作の見どころや、ホームドラマへのこだわりなどについて聞いた。

石井ふく子プロデューサー
石井ふく子プロデューサー
◆心と心で対話する作品に

 長年にわたって「家族」をテーマに、その在り方を問うドラマを数多く世に送り出してきた希代の名プロデューサーである石井さん。今回のドラマを制作するに当たり、“現代の家族”への問題意識を強く持ったという。

 「世の中、家族のことでびっくりするような悪いニュースが多いです。『おはよう』『行ってきます』――そういった普通のあいさつが、家族の中で聞こえてこない。普通のことを普通にしない時代になってきたように思うんです。

 今の時代がいいのか、悪いのか。この判断を、ドラマをきっかけに考えてほしいです」

◆「楽し」と言い切れる

 今回のモチーフは「離婚」。石井さんが山田さんに要望したのは、“この事態を破綻させず、知恵と工夫で再生させてほしい”ということだった。

 「『しょうがないな』って言われながら(山田さんにオファーを)受けていただきました(笑)。それから何回もお話しして、このドラマが出来上がりました。離婚をきっかけに、家族であっても生き方や人に対する感情の持ち方が違うなど、世代間の格差やさまざまな差異が浮き彫りになります。

 『わが家は楽し』とのタイトルですが、本当に楽しいのか、楽しくないのか。今の時代は分かりにくいところもありますが、『わが家は楽し』と言い切れるドラマを作りたかったんです」

◆心が動く瞬間を描く

 「新しい挑戦を」と、キャストのほとんどを“石井作品”初出演メンバーでそろえた。夫婦役の小日向文世さんと戸田恵子さんも同様だ。また、登場人物の心情を巧みに投影した長ぜりふが多く登場するのも、今作の特徴となっている。

 「こう伝えたら、相手はどう思うのか。どう返してくるのか――。そういう受け答えのはっきりした、心と心で対話するドラマが少なくなってきました。だから、山田さんには“心と心のせりふ”を書いてほしいとお願いして、二人で『心を描いたドラマを絶対に作ろうね』と決めました」


 さまざまな質問にも、一つ一つ丁寧に誠実に回答を。明朗快活で、時に痛快な一言を発する。かと思えば、人を包み込むような話しぶりが印象的だった。

 「ホームドラマといっても、やっぱり人間のドラマです。人です。心が動き出す瞬間を、しっかりと場面に込めていけるかが、大切です」。大正に生まれ、昭和・平成・令和と、時代ごとの庶民の暮らしを見つめてきた石井さんの、ホームドラマに込めた思いを垣間見た気がした。

◆プロフィル

 いしい・ふくこ 東京都出身。1961年、TBSに入社。脚本家の故・橋田壽賀子さんなど、著名な作家たちと出会い、多くの大ヒットドラマを生む。代表作は「渡る世間は鬼ばかり」「肝っ玉かあさん」など。世界最高齢の現役テレビプロデューサーとして、ギネス世界記録に認定されている。

◆あらすじ

 仕事一筋で、長年勤めた会社を定年退職した幸之助(小日向文世)は、妻の史枝(戸田恵子)と穏やかな余生を送ることを楽しみにしていた。ところが、思いとは裏腹に、史枝は彼の退職金で「ブックカフェを開業したい」と言う。猛反対の幸之助と、何とか説得をしたい史枝はぶつかり、同居する長男・和夫(髙橋海人)や結婚して家を離れている長女・遥(桜井ユキ)らを巻き込んだ離婚騒動へと発展していく。

◆制作発表会見も
左から山田杏奈、髙橋海人、石井ふく子、小日向文世、戸田恵子
左から山田杏奈、髙橋海人、石井ふく子、小日向文世、戸田恵子

 放送日を間近に控えて行われた制作発表会見には、主演の小日向文世のほか、共演の戸田恵子、髙橋海人、山田杏奈らが登場した。

 主人公・平山幸之助を演じた小日向は、自身の役について「“第二の人生”をどう過ごすかと考えていた時、妻から離婚を突き付けられます。そこで、これまで当たり前のように過ごしてきた日々について、妻の存在がいかに大きかったかを知り、遅まきながら、60代半ばにして成長していく役どころです」と紹介。

 映画界の巨匠である山田洋次さんと名プロデューサーの石井ふく子さんが手がけた作品への出演に、「お二人がタッグを組んだ新作のホームドラマに声をかけていただき、光栄の一言です。見てくださる方々の心に残るような作品になればと願っています」と心境を語った。

 一方、幸之助の妻・史枝に扮した戸田は、「“ザ・ホームドラマ”と言うべき作品で、そうそうたる役者の皆さんの中に、私の名前があって、びっくりしました」と吐露。

 続けて、「主婦役は珍しく、きちんと演じるのは初めてかもしれません。本当に楽しい現場で、ここで築いた皆さんとの絆は、この先もつながっていくと思える、すごく貴重な作品でした」と明かした。

【記事】木村英治 【インタビュー写真】石川大樹

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