箱根駅伝の歴史で「幻」といわれる大会がある。1943年(昭和18年)の第22回大会。戦時下で41年(同16年)から中止となったが、精神鍛錬と戦勝祈願を名目に「靖国神社―箱根神社」間の往復で開催にこぎ着けた▼当時の走者は振り返る。一番心に残っているのは「ゴールしてくる選手たちを、大学に関係なく全員が涙と歓声で迎えたことです」と。だが、そんな選手たちの多くがその後、学徒出陣で海や空に散った(『箱根駅伝を伝える』文春文庫)▼箱根駅伝は終戦後に復活し、今に続く。一本のタスキには、記録や勝利への思いとともに、先輩から後輩へ、時代から時代へと受け継がれてきた歴史も刻まれているに違いない▼いよいよ、あす12日の出雲駅伝から、11月の全日本大学駅伝、そして明年1月の箱根駅伝へと続く駅伝シーズンが開幕する。注目の新入生を迎えた創価大学をはじめ、各大学が熱戦に挑む。先人たちがつないできた歴史に、新たな1ページを刻もうとする選手たちの活躍に期待は高まる▼若い世代の力走に手に汗を握り、声援を送る。それは平和という土台があってこそだ。戦火の中で未来を絶たれた学生たちの思いにも心を寄せながら、不戦のタスキを次代へつないでいきたい。(多)
箱根駅伝の歴史で「幻」といわれる大会がある。1943年(昭和18年)の第22回大会。戦時下で41年(同16年)から中止となったが、精神鍛錬と戦勝祈願を名目に「靖国神社―箱根神社」間の往復で開催にこぎ着けた▼当時の走者は振り返る。一番心に残っているのは「ゴールしてくる選手たちを、大学に関係なく全員が涙と歓声で迎えたことです」と。だが、そんな選手たちの多くがその後、学徒出陣で海や空に散った(『箱根駅伝を伝える』文春文庫)▼箱根駅伝は終戦後に復活し、今に続く。一本のタスキには、記録や勝利への思いとともに、先輩から後輩へ、時代から時代へと受け継がれてきた歴史も刻まれているに違いない▼いよいよ、あす12日の出雲駅伝から、11月の全日本大学駅伝、そして明年1月の箱根駅伝へと続く駅伝シーズンが開幕する。注目の新入生を迎えた創価大学をはじめ、各大学が熱戦に挑む。先人たちがつないできた歴史に、新たな1ページを刻もうとする選手たちの活躍に期待は高まる▼若い世代の力走に手に汗を握り、声援を送る。それは平和という土台があってこそだ。戦火の中で未来を絶たれた学生たちの思いにも心を寄せながら、不戦のタスキを次代へつないでいきたい。(多)