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〈子どもと学ぶ仏教説話――ミライの冒険〉 リンゴを食べて! 2026年5月14日
創作童話「子どもと学ぶ仏教説話――ミライの冒険」では、主人公のミライが、仏教説話の世界を巡る冒険に出かけます。座談会の未来部コーナーなどでご活用ください!(イラスト 逸見チエコ)
「うぅ……」
ここは町のはずれ。木の下に、倒れているおじさんがいました。
ミライは、あわてて駆け寄ります。
「おじさん、大丈夫ですか!?」
「もう何日も、何も食べていないから、動けなくなってしまった……。助けてくれるかい?」
ミライが、何かあげられるものはないかと自分のカバンの中を探すと、リンゴが出てきました。
「おじさん、これを食べて!」
「それは、なんという食べ物なんだ?」
この国では、リンゴのことは、知られていないようです。
「これはリンゴっていうんだよ! 甘くて、とっても、おいしいんだよ」
そう言って、ミライは、リンゴを渡そうとしましたが、おじさんは、なかなかリンゴを受け取ってくれません。
「おじさん、早くリンゴを食べないと、死んじゃうよ!」
すると、おじさんは言います。
「これがリンゴという食べ物なのはわかったが、じゃあなぜリンゴは赤いのか? どこの国から持ってきたのか?」
「そんなこと言ってる場合じゃないよ、おじさん!」
おじさんは、つづけて「まだまだ気になることがある。君がリンゴを手に入れるまで、どんな人が運んできたのか? リンゴは、土の中で育つのか? 木の上になるのか?」
「そんなこと、今はどうでもいいよ! ほら、リンゴはこんなにおいしいよ!」
ミライがリンゴをかじる姿を見て、おじさんもがまんできなくなり、ようやくリンゴを食べて、助かりました。おじさんは言いました。
「まず一歩、踏み出してみることが大事なんだなぁ」
(つづく。前回は4月9日付)
釈尊が説いた「毒矢の譬え」を基にしたお話です。
釈尊は、“宇宙の永遠性”など、「観念的な議論」ばかりしている弟子を戒めるために、譬えを説きました。
毒矢が刺さり、苦しむ人が、「毒矢について、あらゆることを知りたい。それまでは矢を抜いてはならない」と言っているうちに、命を落としてしまう――毒矢が刺されば、何よりもまず矢を抜くことが必要なように、苦しみを解決する現実の行動こそ重要であることを示しているのです。
この譬えについて、小説『新・人間革命』には、「人間に慈悲の光を当て、苦しみを抜き、楽しみを与えていくことを優先する、仏法の本来の在り方を鮮やかに示したもの」と、つづられています。
もしも困っている人が目の前に現れたら、まず手を差し伸べ、助けていくことが大事なのです。
















