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【創価学園NAVI】 コロナ禍と“新しい学び” 2020年11月28日

  • いかなる制約も成長の糧に

 創立者・池田先生は語る。「教育こそ、未来を創り、時代を創り、希望を創る力である」と。新企画「創価学園ナビ――未来を創る挑戦」では、学園の取り組みをさまざまな角度から紹介する。今回は“コロナ禍の中での学び”に迫った。
  
  

情報機器を活用し 主体性を引き出す

 秋も深まった今月上旬。
 東京・小平市にある創価高校の1年生の各教室では、生徒たちが真剣に授業を受けていた。

東京・創価高校の探究学習の授業で、生徒たちがノートパソコンを使い、専門用語を検索。信ぴょう性の高い情報とは何かを考える
東京・創価高校の探究学習の授業で、生徒たちがノートパソコンを使い、専門用語を検索。信ぴょう性の高い情報とは何かを考える

 検温、消毒、換気など、感染防止に留意しながらの対面授業。それぞれの机には、教科書や筆記用具に加え、ノートパソコンが置かれている。
 
 創価高校では現在、1・2年生にノートパソコンを一人1台貸与。3年生は、自前のタブレット端末などを校内のインターネットにつなげられるようにし、ほとんどの科目で積極的に使用されている。
 
 使い方はさまざまだ。画面に映し出された問題を解いたり、専門用語や英単語の意味を調べたり、研究発表の資料を作成したり。食堂のメニューの配布や、宿題の提出も、今ではオンラインで行われている。

 対面授業を再開させるに当たり、教員たちは次のように確認し合ったという。
 
 「“コロナ前の授業”に戻すのではなく、休校期間中にオンライン授業で培った技術を生かし、“新たな授業の在り方”をつくり出そう」と。

オンライン授業

 今春、全国の学校で実施された一斉休校。新年度が始まっても、学校に行くことができず、多くの児童・生徒たちが、不安な日々を過ごしていた。
 
 東京・関西の創価学園では、そうした学園生の気持ちを少しでも和らげ、学びを進めるために、4月中旬ごろから“オンライン授業”に踏み切った。
 
 授業動画の撮影・編集・配信や、ビデオ会議システムを使った双方向型の授業――すべてが初めての試みだったが、教員と学園生が力を合わせて、自宅にいながらパソコン等で学ぶ“新たな学び方”を少しずつ作り上げていった。
 
 「各家庭の通信環境の整備など、保護者の方々の理解と協力によって、前に進めることができました」

 ビデオ会議システムによる授業では、生徒たちが主体的に学べるような工夫も。例えば、生徒たちをいくつかのグループに振り分ける機能を使って2人1組のペアを作り、お互いに教え合う時間を取り入れることで、クラスの絆を強め、学びの促進を図った。
 
 「“どう教えるか”より、“どうすれば生徒が学びやすいか”に、考える視点が変わりました」
 
 授業だけでなく、ホームルームもオンラインで実施した。生徒たちの要望を受け、行事に向けた少人数の対話会も活発に行われた。
 
 受験を経て、今年から東京の創価高校に通う1年生は、こう振り返る。
 「入学直後は不安ばかりでしたが、画面越しに顔と顔を合わせて話すうちに、早く学園に通いたいとの思いがどんどん強くなっていきました」
 
 休校期間が明け、6月から始まった分散登校の初日。どの教室でも、初めて対面する生徒同士の、笑顔の語らいが弾んだ。中には“え? こんなに背が高いんだ”というオンラインでは分からなかった驚きも。
 
 画面越しから始まった友情が今、学園のあちこちで花開いている。

多くの考えを反映

 関西創価高校(大阪・交野市)では、2017年度から生徒一人に1台ずつタブレット端末を、今年度の入学生からはノートパソコンを貸与。同校でも、休校期間に取り組んだオンライン授業のノウハウを対面授業で生かしている。
 
 1年生の2クラス合同の「社会と情報」の授業は、3密を避けるため、二つの教室をオンラインで結んで実施されている。生徒たちは少人数のグループに分かれて、情報リテラシーに関する研究発表を行う。

関西創価高校の「社会と情報」の授業では、生徒たちが、クラス全員を対象に実態調査を実施。結果をもとに考察と提案を発表した
関西創価高校の「社会と情報」の授業では、生徒たちが、クラス全員を対象に実態調査を実施。結果をもとに考察と提案を発表した

 代表のグループが発表している間、聞いている生徒たちは自分のパソコンに発表者への質問を次々と打ち込んでいく。その書き込みは、リアルタイムで参加者全員に共有される。
 
 5分程度の発表時間で、100件以上の質問コメントが寄せられることも。
 
 「手を挙げることが苦手だった生徒も、たくさんの質問を書いてくれます。これまで以上に、いろんな生徒の考えを授業に反映できるようになりました」と、担当する教員は語る。
 
 ある生徒は「自分では思いつかないような観点からの質問もあり、コメントを見ているだけで、とても刺激になります」と。

 コロナ禍の休校期間によって、教育現場でのインターネットの活用が大きく促進された。生徒たちは、事前に学習範囲の講義映像を視聴したり、授業で教員が使った資料を、自宅に戻ってから自分のパソコンで見たりすることも可能になった。
 
 このようなインターネットの活用は授業の効率化を進め、“教師が一方的に生徒に教える時間”を短くし、“生徒同士の学び合いの時間”を増やすことにつながっている。

一人を大切に

 教室での対面授業が再開された後も、すぐに登校できない寮生・下宿生のため、しばらくオンライン授業も併用された。
 
 関西創価高校の髙口恵子さん(3年)も、2学期の初めまでオンライン授業を受けた。教室には彼女のためにパソコンなどが設置され、彼女は画面越しにクラスの皆と学んだ。
 
 下宿生の髙口さんは3月上旬に両親のいるアメリカ・オレゴン州に帰省。休校期間後もコロナの感染拡大に伴う出入国制限などのため、学校に戻れずにいた。
 
 日本とオレゴン州の時差は16時間(夏時間)。髙口さんの授業開始は夕方から。全ての授業が終わるのは、午後11時近くになる。通信が乱れると、教師の声が途切れたり、画面に映るホワイトボードの文字が見えづらくなったりすることもあった。
 
 それでも頑張れたのは、「教員や友達が何度も何度も励ましてくれたから」。
 
 「体調は大丈夫?」「授業の映像は、ちゃんと見えているかな」――小まめに気に掛けてくれる教員。
 
 「きょうね、こんなことがあったんだよ」「そっちはどう?」――常に連絡をくれる友達。
 
 授業中のコミュニケーションはもちろん、メールやSNS、そして手紙も送られてきた。「私は一人じゃない」と思えた。
 
 髙口さんは「この状況に負けたくない」と懸命に勉強に励んだ。そんな彼女の姿に、日本にいる同級生たちも触発を受けた。“私たちも、頑張らな!”
 
 遠く離れていても、共に苦難に立ち向かうことで絆が強くなった。
 
 髙口さんは9月、日本に戻り、成田で2週間の隔離生活を経て、関西創価高校の校舎に帰ってきた。
 
 「これまでの日常がどんなに恵まれていたのか、気付きました。私が励ましをもらったように、多くの人々を支えていける存在に成長していきたいです。制約が多い日々は続きますが、全てを成長の糧にしていきます!」
 
 苦難の時こそ、変革のチャンス――コロナ禍という試練の中、学園では日々、試行錯誤しながら、“新たな学び”への挑戦が続けられている。

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