〈クローズアップ ~未来への挑戦~〉 メキシコ 青年と共に、核兵器廃絶の運動を推進
〈クローズアップ ~未来への挑戦~〉 メキシコ 青年と共に、核兵器廃絶の運動を推進
2026年4月14日
メキシコ創価学会は2002年から、核兵器廃絶の運動を大きく推進しています。今回の「クローズアップ」では、その背景と意義に迫りました。また、OPANAL(ラテンアメリカ及びカリブ核兵器禁止条約機構)のフラビオ・ロベルト・ボンサニニ前事務局長に、学会の平和運動への評価を聞きました。(記事=木村輝明)
メキシコ創価学会は2002年から、核兵器廃絶の運動を大きく推進しています。今回の「クローズアップ」では、その背景と意義に迫りました。また、OPANAL(ラテンアメリカ及びカリブ核兵器禁止条約機構)のフラビオ・ロベルト・ボンサニニ前事務局長に、学会の平和運動への評価を聞きました。(記事=木村輝明)
大切な人を思い浮かべて
大切な人を思い浮かべて
青年は問いかける。
「あなたが大切だと思う人を頭に浮かべてください。その人をいきなり失うことになったら、皆さんはどう感じますか」
真剣な瞳。部屋の静寂を、彼の力強い声が打ち破る。
「核兵器は、瞬時にその大切な“一人”を奪うのです」
メキシコのある大学で行われた「核兵器なき世界への連帯」展。SGIとICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)が共同制作した同展を、メキシコ創価学会青年部の友が説明する一幕だ。
同国では、核兵器の悲惨さを訴える学会の諸展示が、24年にわたって開かれてきた。
核兵器廃絶の運動が続いているのはなぜか――そこには、世代から世代へと受け継がれる“魂のバトン”があった。
青年は問いかける。
「あなたが大切だと思う人を頭に浮かべてください。その人をいきなり失うことになったら、皆さんはどう感じますか」
真剣な瞳。部屋の静寂を、彼の力強い声が打ち破る。
「核兵器は、瞬時にその大切な“一人”を奪うのです」
メキシコのある大学で行われた「核兵器なき世界への連帯」展。SGIとICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)が共同制作した同展を、メキシコ創価学会青年部の友が説明する一幕だ。
同国では、核兵器の悲惨さを訴える学会の諸展示が、24年にわたって開かれてきた。
核兵器廃絶の運動が続いているのはなぜか――そこには、世代から世代へと受け継がれる“魂のバトン”があった。
青年部の代表が“連帯展”の案内を行う(22年12月、ミチョアカン大学院大学で)
青年部の代表が“連帯展”の案内を行う(22年12月、ミチョアカン大学院大学で)
“分身の弟子の天命”
“分身の弟子の天命”
青年への「遺訓すべき第一のもの」として、第2代会長の戸田先生は「原水爆禁止宣言」を発表した(1957年9月)。“核兵器は、人類の生存の権利を脅かす絶対悪”と断じた同宣言は、学会の平和運動の原点となった。
池田先生は、「核兵器の廃絶に邁進することは、分身の弟子としての生涯にわたる天命」と定め、平和への闘争に心血を注いできたのである。
核兵器のない世界の実現に向けて、重要な役割を果たしてきたのがメキシコである。62年のキューバ危機を契機に、中南米地域の非核化構想が進展。その後、メキシコの主導により、67年にトラテロルコ条約(ラテンアメリカ及びカリブ核兵器禁止条約)の署名が開始される。翌年に発効し、世界に先駆けて、非核兵器地帯条約が誕生したのだ。
青年への「遺訓すべき第一のもの」として、第2代会長の戸田先生は「原水爆禁止宣言」を発表した(1957年9月)。“核兵器は、人類の生存の権利を脅かす絶対悪”と断じた同宣言は、学会の平和運動の原点となった。
池田先生は、「核兵器の廃絶に邁進することは、分身の弟子としての生涯にわたる天命」と定め、平和への闘争に心血を注いできたのである。
核兵器のない世界の実現に向けて、重要な役割を果たしてきたのがメキシコである。62年のキューバ危機を契機に、中南米地域の非核化構想が進展。その後、メキシコの主導により、67年にトラテロルコ条約(ラテンアメリカ及びカリブ核兵器禁止条約)の署名が開始される。翌年に発効し、世界に先駆けて、非核兵器地帯条約が誕生したのだ。
メキシコ大学院大学で行われた“連帯展”の開幕式で、IPPNW(核戦争防止国際医師会議)のヤンス・フロモウ氏があいさつ(24年8月)
メキシコ大学院大学で行われた“連帯展”の開幕式で、IPPNW(核戦争防止国際医師会議)のヤンス・フロモウ氏があいさつ(24年8月)
広がる共感と称賛
広がる共感と称賛
81年3月、先生は同国を訪問し、名門グアダラハラ大学で「メキシコの詩心に思うこと」と題して記念講演した際に、同条約に言及している。先生は条約の締結と、実施機関である「OPANAL」の本部がメキシコ市に設置されたことを、「メキシコの人々の強いイニシアチブによって成った」と高く評価。「メキシコの人々がラテンアメリカ地域の非核化に努力を続けられていることに、深く敬意を表するものであります」と述べた。
海外の大学・学術機関での講演で、核兵器廃絶について初めて触れた瞬間だった。 同国の友は、池田先生の核兵器廃絶への行動と精神をどのように受け止めているのか。メキシコ創価学会で渉外責任者を務めるイバン・ラジャスさん(副本部長)が、熱く語ってくれた。
「原水爆禁止宣言から約半年後、戸田先生は病床にあって、『メキシコに行った夢を見たよ。皆、待っていてくれた』と語られました。不二の弟子としてメキシコを訪れ、その“夢”を実現した池田先生は、グアダラハラ大学での講演で核兵器廃絶への強い意志を示してくださいました。お二人の心に迫る中で、私たちは“核兵器廃絶は、メキシコ創価学会に託された使命”だと確信して、誇りを持って取り組んできました」
平和運動の転機となったのは2001年。代表が、OPANALの事務局を訪問し、バルガス事務局長(当時)と会見したのだ。
この会見がきっかけとなり、翌02年に行われた「トラテロルコ条約35周年式典」で、学会が制作した「核兵器――人類の脅威」展が、同国外務省の「ガルシア・ロブレス講堂」(当時)で開催されたのである(ガルシア・ロブレス氏は、同条約の締結に貢献し、1982年にノーベル平和賞を受賞した同国の元外務大臣)。外務省、OPANALとの共催で実現したものであった。
81年3月、先生は同国を訪問し、名門グアダラハラ大学で「メキシコの詩心に思うこと」と題して記念講演した際に、同条約に言及している。先生は条約の締結と、実施機関である「OPANAL」の本部がメキシコ市に設置されたことを、「メキシコの人々の強いイニシアチブによって成った」と高く評価。「メキシコの人々がラテンアメリカ地域の非核化に努力を続けられていることに、深く敬意を表するものであります」と述べた。
海外の大学・学術機関での講演で、核兵器廃絶について初めて触れた瞬間だった。 同国の友は、池田先生の核兵器廃絶への行動と精神をどのように受け止めているのか。メキシコ創価学会で渉外責任者を務めるイバン・ラジャスさん(副本部長)が、熱く語ってくれた。
「原水爆禁止宣言から約半年後、戸田先生は病床にあって、『メキシコに行った夢を見たよ。皆、待っていてくれた』と語られました。不二の弟子としてメキシコを訪れ、その“夢”を実現した池田先生は、グアダラハラ大学での講演で核兵器廃絶への強い意志を示してくださいました。お二人の心に迫る中で、私たちは“核兵器廃絶は、メキシコ創価学会に託された使命”だと確信して、誇りを持って取り組んできました」
平和運動の転機となったのは2001年。代表が、OPANALの事務局を訪問し、バルガス事務局長(当時)と会見したのだ。
この会見がきっかけとなり、翌02年に行われた「トラテロルコ条約35周年式典」で、学会が制作した「核兵器――人類の脅威」展が、同国外務省の「ガルシア・ロブレス講堂」(当時)で開催されたのである(ガルシア・ロブレス氏は、同条約の締結に貢献し、1982年にノーベル平和賞を受賞した同国の元外務大臣)。外務省、OPANALとの共催で実現したものであった。
メキシコ市議会議事堂で開催された「核兵器なき世界への連帯」展のオープニング(2025年5月)
メキシコ市議会議事堂で開催された「核兵器なき世界への連帯」展のオープニング(2025年5月)
以来、“未来を担う若い世代に核兵器の悲惨さを訴え、一人一人が平和の使者になってほしい”との願いから、大学等の教育機関での展示開催に注力した。
「核兵器廃絶への挑戦」展や「核兵器なき世界への連帯」展が、メキシコ国立自治大学、グアダラハラ大学、モンテレイ工科大学など、同国屈指の名門学府をはじめ、計25の大学で開かれてきた。運営には、青年部が積極的に参加。事前に展示内容や池田先生の提言の学習会を実施し、来場者の案内役を担っている。
これまで、のべ13万人が来場。見学した人からは、「長年にわたり、こうした平和活動を行っている団体は、メキシコで聞いたことがない。素晴らしい運動だ」など、称賛の声がやまない。
昨年1月には、平和・文化・教育への貢献をたたえ、アルフォンソ・ガルシア・ロブレス外交協会からSGI(創価学会インタナショナル)に「平和と核廃絶功労メダル」が授与されている。
今、核兵器使用のリスクがこれまで以上に高まっている。だからこそメキシコの同志は、師匠の分身となって、友との対話を重ねる。目の前の一人との語らいが、世界平和の扉を開くと信じて。
以来、“未来を担う若い世代に核兵器の悲惨さを訴え、一人一人が平和の使者になってほしい”との願いから、大学等の教育機関での展示開催に注力した。
「核兵器廃絶への挑戦」展や「核兵器なき世界への連帯」展が、メキシコ国立自治大学、グアダラハラ大学、モンテレイ工科大学など、同国屈指の名門学府をはじめ、計25の大学で開かれてきた。運営には、青年部が積極的に参加。事前に展示内容や池田先生の提言の学習会を実施し、来場者の案内役を担っている。
これまで、のべ13万人が来場。見学した人からは、「長年にわたり、こうした平和活動を行っている団体は、メキシコで聞いたことがない。素晴らしい運動だ」など、称賛の声がやまない。
昨年1月には、平和・文化・教育への貢献をたたえ、アルフォンソ・ガルシア・ロブレス外交協会からSGI(創価学会インタナショナル)に「平和と核廃絶功労メダル」が授与されている。
今、核兵器使用のリスクがこれまで以上に高まっている。だからこそメキシコの同志は、師匠の分身となって、友との対話を重ねる。目の前の一人との語らいが、世界平和の扉を開くと信じて。
〈インタビュー〉 OPANAL フラビオ・ロベルト・ボンサニニ前事務局長
〈インタビュー〉 OPANAL フラビオ・ロベルト・ボンサニニ前事務局長
――OPANALは、核兵器廃絶、そして核軍縮・不拡散を達成するためのラテンアメリカ・カリブ海地域の組織として、発展を遂げてきました。
現在、中南米全ての国、33カ国がトラテロルコ条約に加盟しています。OPANALの主要な役割は、締約国が受諾した義務をきちんと履行しているか、すなわち核兵器を生産したり、持ち込んだりしていないかなどを、監視することです。随時、総会をはじめとした諸会合を開き、こうした動きがないかを確認しています。
その上で、最近では三つの活動に力を入れています。
一つは、条約の意義を加盟国に浸透させ、条約を維持することです。脱退する国を出さないように、非核兵器地帯を守る活動を行っています。
二つ目は、非核兵器地帯の理念を着実に広げることです。トラテロルコ条約は、世界初の非核兵器地帯条約として産声を上げました。その歴史と経験を生かして、その後に生まれた各地の非核兵器地帯条約の実施機構に、助言やサポートを行っています。
三つ目は、軍縮教育です。各省庁と連携しながら、さまざまな研修を行っています。
――メキシコ創価学会は、OPANAL等と協力して、「核兵器なき世界への連帯」展の開催をはじめ、多様な核兵器廃絶の取り組みを展開してきました。
学会の展示は、核兵器廃絶が人類にとって急を要するテーマであることを、人々に訴える役割を担っています。これは、核兵器使用の危険性が高まる中で、学生や市民に核兵器廃絶の意義を伝える素晴らしい機会になっています。これからも手を携えて、共々に推進していきたいと思います。
――戸田先生の遺志を継ぎ、池田先生は、「SGIの日」記念提言をはじめ、数多くの機会で“核兵器は絶対悪”との思想を、世界に訴えてきました。
戸田会長の原水爆禁止宣言の理念を、池田会長は行動に変えて実践してきました。池田会長には、先見の明があり、次世代に何を残すべきなのかを常に考え、動いてきたのだと思います。池田会長の行動と、学会の平和運動に、改めて敬意を表したいと思います。
――核兵器のない世界の実現に向けて、若者世代に、どのようなことを期待されますか。
核兵器廃絶は、未来を担う青年にかかっています。青年への教育が最優先事項であり、これなくして、平和な未来は実現できないと思っています。
青年世代が国や政治家を動かす声を上げ、平和への潮流を起こしていってもらいたいと思います。
――OPANALは、核兵器廃絶、そして核軍縮・不拡散を達成するためのラテンアメリカ・カリブ海地域の組織として、発展を遂げてきました。
現在、中南米全ての国、33カ国がトラテロルコ条約に加盟しています。OPANALの主要な役割は、締約国が受諾した義務をきちんと履行しているか、すなわち核兵器を生産したり、持ち込んだりしていないかなどを、監視することです。随時、総会をはじめとした諸会合を開き、こうした動きがないかを確認しています。
その上で、最近では三つの活動に力を入れています。
一つは、条約の意義を加盟国に浸透させ、条約を維持することです。脱退する国を出さないように、非核兵器地帯を守る活動を行っています。
二つ目は、非核兵器地帯の理念を着実に広げることです。トラテロルコ条約は、世界初の非核兵器地帯条約として産声を上げました。その歴史と経験を生かして、その後に生まれた各地の非核兵器地帯条約の実施機構に、助言やサポートを行っています。
三つ目は、軍縮教育です。各省庁と連携しながら、さまざまな研修を行っています。
――メキシコ創価学会は、OPANAL等と協力して、「核兵器なき世界への連帯」展の開催をはじめ、多様な核兵器廃絶の取り組みを展開してきました。
学会の展示は、核兵器廃絶が人類にとって急を要するテーマであることを、人々に訴える役割を担っています。これは、核兵器使用の危険性が高まる中で、学生や市民に核兵器廃絶の意義を伝える素晴らしい機会になっています。これからも手を携えて、共々に推進していきたいと思います。
――戸田先生の遺志を継ぎ、池田先生は、「SGIの日」記念提言をはじめ、数多くの機会で“核兵器は絶対悪”との思想を、世界に訴えてきました。
戸田会長の原水爆禁止宣言の理念を、池田会長は行動に変えて実践してきました。池田会長には、先見の明があり、次世代に何を残すべきなのかを常に考え、動いてきたのだと思います。池田会長の行動と、学会の平和運動に、改めて敬意を表したいと思います。
――核兵器のない世界の実現に向けて、若者世代に、どのようなことを期待されますか。
核兵器廃絶は、未来を担う青年にかかっています。青年への教育が最優先事項であり、これなくして、平和な未来は実現できないと思っています。
青年世代が国や政治家を動かす声を上げ、平和への潮流を起こしていってもらいたいと思います。
※ご感想をお寄せください。
https://www.seikyoonline.com/intro/form/kansou-input-gaishin.html
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