• ルビ
  • シェア
  • メール
  • CLOSE

〈幸齢社会〉 日頃の運動で、転倒を予防 2026年1月28日

 65歳以上の方のうち、1年に1回以上転倒する人は全体の30%に上ります。転倒しない体を維持することは、健康寿命を延ばすことにもつながります。今回は、転ばないための体づくりについて、筑波大学人間系教授の山田実さんに聞きました。

筑波大学人間系教授
山田実さん

 高齢になると、毎年約1%の割合で筋力が低下します。年を重ねるほど低下率は大きくなり、特にお尻や足といった体を支える筋肉が落ちやすくなります。筋力が低下するとバランスも取りづらくなり、転ぶリスクが高まります。
 私たちの調査では、転倒の6割で何らかの外傷を伴い、全転倒の1割で骨折が発生しています。
 しかし、それ以上に深刻なのが「転倒恐怖感」です。恐怖感を抱くと「また転んでしまうのではないか」と外出を控えるようになります。動かないことで体の衰えが加速し、さらに転びやすくなる。転倒恐怖感は、こうした悪循環の入り口になってしまうのです。
 筋力を維持するには、自分に合った運動を続けることです。下記の「転倒診断フローチャート」でご自身に合った運動を見つけ、挑戦してみてください。
 全ての運動の基盤はウオーキングです。1日6000歩が一つの目安とされます。これは、ウオーキングのみを取り出した歩数ではなく、朝起きた時から夜寝るまでの1日全体の歩数として考えてください。
 私たちの調査の結果、元気な人は1日平均6500歩、フレイル(虚弱)予備軍は5500歩、フレイルの人は4200歩でした。興味深いことに、元気な人とフレイルの人の意識的なウオーキング時間の差はわずか13分でした。しかし、この13分を日常生活で増やすのは、実は非常に難しいのです。
 ぜひ紹介する運動を意識して取り入れてください。ただ運動は一生続けなければ意味がありません。運動効果は「やっている間だけ」有効で、やめれば元に戻ります。そのためにも、ちょっとずつ体を慣らしながら時間や強度を増やしていくことが大事です。
 
 運動を習慣化するコツを五つ紹介します。
 ①タイミングを決める。私は夕食後に必ず筋トレをすると決めています。このようにタイミングを決めておくと、条件反射的に運動を行うことができます。
 ②無理をしない。私は腕立て伏せ10回から始めました。いきなり100点を目指さず、5点からで構いません。徐々に増やしていけばいいのです。
 ③ゼロにしない。気分が乗らない日でも「ゼロ」にしてはいけません。通常が10回を3セットなら、最低5回だけでもやる。一度サボるとそのまま継続が途切れます。
 ④休みを設定する。私は土曜日を休みと決めています。「休み」はご褒美になります。金曜日の筋トレ中に「明日は休み」と思える喜びは大きいものです。「サボり」と「休み」は違います。
 ⑤人の力を借りる。一人で続けるのは難しいものです。誰かと一緒にやる、家族に声かけしてもらうなど、どんな手段を使ってもいいと思います。継続を最優先に考えてください。
 
 長生きできる時代に突入しました。健康で長生きしている人の特徴を調べると、社会参加している人が多くいます。平たく言えば「人生を楽しんでいる」人々です。難しく考えず、自分が楽しめる生活を追求してほしいと思います。その結果として転倒予防にもつながり、要介護も遠ざけられます。楽しんだもの勝ちですよ。

《転倒診断フローチャート》
あなたの転倒リスクと対策は?

 設問を読み「はい」「いいえ」を選びます。指定された番号に進んでいくと、あなたの転倒リスクが分かります。
 
 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
 
 1 過去1年で、転んで骨折してしまったことがありますか?
 はい →2
 いいえ →4
 
 2 外出する時、つえや歩行器などを使いますか?
 はい →3
 いいえ →6
 
 3 いすから立ち上がる時、壁やテーブルなど何か支えが必要ですか?
 はい → 「レッドゾーン」 いますぐの対策が必要!
 いいえ → 「オレンジゾーン」 要注意! 生活を改善しよう
 
 4 過去1年で、転んでしまったことがありますか?
 はい →5
 いいえ →7
 
 5 横断歩道を渡っている途中で、言号が赤になってしまうことがありますか?
 はい →2
 いいえ →6
 
 6 階段の上り下りに手すりが必要ですか?
 はい →3
 いいえ → 「オレンジゾーン」 要注意! 生活を改善しよう
 
 7 転んでしまうことが怖いと感じますか?
 はい →8
 いいえ →10
 
 8 立ったまま、靴下を脱いだりはいたりできますか?
 はい →9
 いいえ →5
 
 9 立ったり座ったり、階段の上り下りをすることに不安を感じることがありますか?
 はい →6
 いいえ → 「イエローゾーン」 歩く時には少し注意を
 
 10 外出するのは、ほぼ毎日ですか?
 はい →11
 いいえ →8
 
 11 1週間に1回以上、軽い運動(ウオーキングなど)をしていますか?
 はい →12
 いいえ →9
 
 12 1週間に1回以上、スポーツもしくは農作業をしていますか?
 はい → 「グリーンゾーン」 安心して日常を送れる
 いいえ → 「イエローゾーン」 歩く時には少し注意を

〈おすすめの対策〉
レッドゾーン
立って座って体操
目安:10回を3セット

 1、いすに浅く腰かけ、膝に手を置く

 2、そのままゆっくりと立ち上がる。手にあまり頼りすぎないようにする
 
 ★ポイント
 動作をゆっくりにするほど負荷は上がる

オレンジゾーン
いす片足立ち体操
目安:1回60秒を左右3セット

 1、いすの背面に立ち、いすの背に手を添える
 
 2、片足立ちをしてキープ(真っすぐ立ち、足は少し浮けばOK)
 
 ★ポイント
 足の指で地面をつかむようなイメージで

イエローゾーン
足踏みデュアルタスクトレーニング
目安:1セット5秒を10セット

 1、何か問題を決めて、いすに座る
 
 【メモ】 問題は、答えがたくさんあるテーマなら何でもOK。例えば、「野菜の種類」「都道府県」「しりとり」など
 
 2、足踏みしながら、できるだけ多く口に出す(手でいすをつかんでバランスを取る。足踏みはできるだけ速く)

グリーンゾーン
開脚スクワット
目安:10回を左右3セット

 1、足を一歩前に出して立つ

 2、前に出した足へ、ゆっくりと体重をかける(1の状態から、お尻を落とすイメージ)。膝が痛い時は無理をしない

 3、ゆっくりと戻る
 
 ★ポイント
 幅を広くするほど負荷は上がる

 「転倒診断フローチャート」と各対策の運動は山田実著『転ばない足腰』(東洋経済新報社)をもとに作成

 ご感想や取り上げてほしいテーマは、こちらからお寄せください。

動画

SEIKYO CAMPUS

SEIKYO CAMPUS

SDGs✕SEIKYO

SDGs✕SEIKYO

連載まとめ

連載まとめ

Seikyo Gift

Seikyo Gift

聖教ブックストア

聖教ブックストア

デジタル特集

DIGITAL FEATURE ARTICLES デジタル特集

YOUTH

劇画

劇画
  • HUMAN REVOLUTION 人間革命検索
  • CLIP クリップ
  • VOICE SERVICE 音声
  • HOW TO USE 聖教電子版の使い方
PAGE TOP