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〈SUA開学25周年特集〉 識者が語るSUA アメリカ・パデュー大学フォートウェイン校 教育学部長 イザベル・ヌニェス博士 2026年5月6日

  • 学生が自律的に学ぶ理想的な教育スタイル

 ――イザベル・ヌニェス博士は、教育学の中でも、「カリキュラム研究」を専門としています。SUAの教育環境について、どうお考えですか?
 
 ヌニェス博士 SUAの特色の一つであり、大きな強みは学生数が500人程度であるということです。これは、多くのアメリカの一般的な高校よりも小規模な大学です。この少人数教育は、学生と教員が深い絆を築く上で理想的な環境だと思います。
 
 また、SUA生の視野は常に世界へと開かれています。海外留学の機会が全学生に与えられているだけではなく、キャンパス自体が世界中から集まった留学生で構成されているからです。
 
 さらに、ほとんどの学生がキャンパス内の寮で生活し、他の学生と濃密な対話が可能です。教科書の中の知識としてではなく、目の前の友人の背景にある文化や課題を通じて世界を理解できます。この「世界を感じられる教育」こそが、SUAの真骨頂であると思います。

SUAには、学生寮10棟が完備されている。世界各国から集う学生同士が一生涯の友情を築く
SUAには、学生寮10棟が完備されている。世界各国から集う学生同士が一生涯の友情を築く

 また、伝統の「ラーニング・クラスター」は、非常に画期的で、教育学的に見ても「理想」に近い形です。通常、学生が自ら研究テーマを設定し、教員が伴走者として関わるような自律的な学習スタイルは、幼児教育の初期段階か、博士課程でしか見られません。小学校から大学までの多くは、定められた基準に沿った受動的な学習になりがちなのです。
 
 しかしSUAでは、学部生の段階でこの自律性を求めています。例えば、本年行われた「ラーニング・クラスター」では、ドイツを訪れ、第2次世界大戦や冷戦の歴史を現地で学びました。こうした実践的な学びを通じて、学生は単なる知識ではなく「生涯を通じて、いかに学び続けるか」というスキルを習得できます。これは、変化の激しい現代社会を生き抜く上で、最強の武器になります。

世界市民を育む教育の大城

 ――少人数の授業や留学制度、寮生活などが、具体的にどのような能力を育むと考えていますか。
 
 ヌニェス博士 「共感力」と「誠実に議論をする力」だと思います。少人数のクラスでは、単純に仲良くするだけでなく、時には激しい議論も交わされます。しかし、十数人の規模の授業では、異なる考えを持った相手を無視して逃げることはできません。そこで重要となるのが、「礼儀正しく異議を唱える力」です。相手への尊敬の念を忘れず、互いの異なる意見を提示していく実践は、社会に出てから非常に重要になります。
 
 また、海外留学では、「共感力」を育む機会となります。本で読むのと、実際にその地の空気を吸い、その国の食べ物を口にし、異言語の中に身を置くのとでは、情報の重みが全く違います。さらに、多様性あふれる寮生活の中で、自分とは大きく異なる文化的背景を持った友人とつながり、自国という枠を超えた「世界市民」としての自覚を芽生えさせるのです。
 
 ――博士が創価教育に興味を持った“きっかけ”は何だったのでしょうか。
 
 ヌニェス博士 2013年に、池田大作氏と歴史学者のビンセント・ハーディング博士との対談集『アメリカはこうなっていく!――希望と自由と民主主義を語る』(邦題『希望の教育 平和の行進』)に出合ったことがきっかけです。
 
 この対談では、アメリカの暗い歴史や困難な現状を美化することなく、社会的課題に真正面から向き合っています。しかし、読み進める中で、驚くほどの「希望」が湧いてきました。現実を直視しつつ、善への行動を粘り強く続ける二人の姿に、私は深い感銘を受けました。
 
 その後、私は19年に日本の創価学園や創価大学を訪れ、24年にはSUAを訪問し、学生らと交流しました。
 
 創価教育を受ける学生たちに共通していたのは、「社会に貢献したい」という情熱です。私がSUA生と懇談した際にも、学生から多くの質問が寄せられ、社会を平和の方向へと変革するために真剣に行動する姿に感動しました。

SUAの「池田図書館(ダイサク・アンド・カネコ・イケダ・ライブラリー)」。10万冊の書籍と40万冊の電子書籍を所蔵し、建物内には24時間いつでも利用可能な自習室がある
SUAの「池田図書館(ダイサク・アンド・カネコ・イケダ・ライブラリー)」。10万冊の書籍と40万冊の電子書籍を所蔵し、建物内には24時間いつでも利用可能な自習室がある

 ――博士が、教育の道に情熱を注ぐ理由を教えてください。
 
 ヌニェス博士 若い頃、私は小学校で1年生を教えていました。その際、巨大な紙に1年間のカリキュラムを書き出した時の興奮は、今でも忘れられません。子どもたちの知的好奇心を引き出す「創造的な知的作業」こそが、私の天職でした。
 
 アメリカのコロンビア大学ティーチャーズ・カレッジで講演された池田氏が、同大学の学長(当時)の信念である、「教育は、社会の変革のための最も効果の遅い手段かもしれない。しかし、それは、変革のための唯一の手段である」との言葉を引用されていました。私自身、社会変革のための重要な道が教育であると確信しています。
 
 SUAの学生たちのような「智慧」「勇気」「慈悲」を体現する世界市民があらゆる分野で活躍していく――その連鎖こそが、分断された世界を再びつなぎ合わせる希望の光になると信じています。

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