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〈インタビュー〉 ドキュメンタリー映画「満天の星」 監督:葦澤恒さん 監督・出演:寿大聡さん 2025年8月7日

  • 全国順次公開
監督の葦澤恒さん㊨と監督兼俳優を務めた寿大聡さん
監督の葦澤恒さん㊨と監督兼俳優を務めた寿大聡さん

 太平洋戦争下の1944年8月22日午後10時12分ごろ。沖縄からの学童疎開船「対馬丸」が、米軍によって撃沈された。乗っていた学童ら1788人のうち、784人の幼い命が暗い海に沈んだ――。現在公開中のドキュメンタリー映画「満天の星」では、当時の生存者へのインタビューなどを通し、戦時下最大の学童死亡事件を描く。監督の葦澤恒さんと、監督兼俳優を務める寿大聡さんに製作への思いを聞いた。

◆戦時下最大の学童死亡事件を描く

 ――寿大さんの祖父・中島髙男さんは、船員として対馬丸に乗っていました。
 
 寿大「私が幼い頃、祖父は当時の話を全くしなくて、中学3年生の時に改めて聞いた時、初めて口にしてくれました。私の通う中学校の全校生徒とほぼ同じ人数の子どもたちが、瞬く間に亡くなったのだと知った時の衝撃は、今でも忘れられません。そんな祖父の話から、この事件の真相を突き止めたいと、3年前から撮影を始めました」
  
 ――対馬丸に起こった出来事について、生存者には、かん口令が敷かれ、長きにわたり謎に包まれてきました。
 
 葦澤「寿大さんから話を聞いて、『こんな大きな事件、なんで知らないんだろう』という心境になりました。大勢の子どもばかりが犠牲になるなんてありえないですよ。溺れていくことを想像するだけでも恐ろしい。この事実を次の世代に伝えないといけない。どう伝えていくかに大きな意義があると感じました」
  
 ――本作では、ウクライナで生きる銃後の子どもとの交流も描かれています。
 
 寿大「大人が始めた戦争なのに、何も知らない子どもたちが必ず巻き込まれている。対馬丸の時から何も変わっていません。今を生きる人に“戦争が別世界の出来事”になっていないか、という問いを立ててもらいたいと思って“今の戦争”を描きました」
  
 ――子どもの笑顔を守っていくことが、私たち大人の使命ですね。
 葦澤「これまで映像の力を信じて仕事をする中で、改めて日本のあるべき姿や平和と向き合わなければならないという気持ちが膨らんでいました。そんな時に対馬丸事件を描くことができた。見てくださった方には『平和のために今の自分は何ができるのか』を少しでも考えてもらえたら本望です」
 
 寿大「今回、祖父の経験を一から詳細に追っていったことで、迷いなくこの悲劇を伝えられる礎が築けました。現在は、小学校や自治体で講演も行っています。祖父や犠牲になった子どもたちの思いを受け継ぐ語り部として、死ぬまで続けなければと思っています」
 
 記事=鈴木将大、写真=木村英治

◆プロフィル

 あしざわ・こう 1982年生まれ、大阪府出身。俳優としてさまざまな分野で活動した後、オシア ウコの名義で映画プロデューサーとしての活動を本格化。主なプロデュース作品に「神在月のこども」(2021年)など。本作が初監督作品。

 じゅだい・さとし 1981年生まれ、埼玉県出身。俳優。無名塾で芝居を学び、主演映画「地球兄弟」(2013年)がローマ国際映画祭に選出される。その他、「こはく」(19年)、ドラマ「恋はつづくよどこまでも」(20年)などに出演。
 
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