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〈授賞式〉 第48回日本アカデミー賞 2025年3月20日

 日本を代表する俳優、“映画人”が集う「日本アカデミー賞」の第48回授賞式が3月14日、東京都内で行われた。2024年の日本映画界の総決算となる同授賞式では、注目された作品や、顕著な活躍を見せた人物が表彰された。
 
 
 最優秀主演男優賞に「正体」の横浜流星、最優秀主演女優賞には「あんのこと」の河合優実がそれぞれ初めて輝いた。

◆映画界の発展に尽くしたい
「正体」で最優秀主演男優賞に輝いた横浜流星 ©日本アカデミー賞協会
「正体」で最優秀主演男優賞に輝いた横浜流星 ©日本アカデミー賞協会

 「正体」で、名前や容姿を変えて逃亡する指名手配犯を演じた横浜は、その確かな演技力が評価された。役づくりについて、横浜は「5つの顔を持つ人物を演じているけど、別人格とはならないように、“一人の人間”として生きることを大切にしました」と語った。そして、受賞の喜びを口にしながら「毎日、芝居のことを考えて、身命を賭す覚悟で作品と向き合っています。若輩者ですが、映画業界のさらなる発展のために尽力していきます」と飛躍を誓った。
 
 

◆携わった全ての人に感謝
「あんのこと」で最優秀主演女優賞を受けた河合優実
「あんのこと」で最優秀主演女優賞を受けた河合優実

 一方、河合が主演を務めた「あんのこと」は、20年に日本で起きた事件をモチーフにした作品。壮絶な家庭環境により、母親によって売春を強いられ、薬物に手を染める主人公・杏が、現実の無情さと、情に厚い刑事らによって差し伸べられた希望との間で、もがく姿が描かれている。
 
 難役を見事に演じきった河合は、「私たちが、杏の人生に触れる時には、それぞれができる限り優しく丁寧に触れようとしている現場で、彼女のきれいな魂に吸い寄せられるような感じがしていました」と撮影現場の様子を明かした。続けて「ずっと自分の心に残り続ける作品になるだろうなと思っています。『あんのこと』という映画に時間をささげてくれた全ての人へ感謝を伝えたい」と述べた。
 
 式の最後を飾ったのは、最優秀作品賞の発表。自主映画という限られた予算と人員でつくり上げ、一つの映画館での上映から始まり、全国公開へと広がった「侍タイムスリッパー」が選出された。場内から、ひときわ大きな歓声が上がる中、脚本や照明、編集など10役以上を担い、私財も投じた安田淳一監督は涙を浮かべながら、「最後まで物事を諦めないことを教えてくれた亡き父と、“頑張っていれば誰かがどこかで見ていてくれる”と言ってくれた(俳優の)福本清三さんに(賞を)見せたい」と語った。
 

最優秀作品賞の「侍タイムスリッパー」 ©2024未来映画社
最優秀作品賞の「侍タイムスリッパー」 ©2024未来映画社

 「侍タイムスリッパー」のキャストらがレッドカーペットを歩くと、会場の全員が立ち上がり、大きな拍手で称賛の気持ちを示した。それは、映画人の矜持をたたえるとともに、映画を愛する思いにあふれたひとときだった。
 
 今回から、映画に顕著な貢献をもたらしたアーティストに与えられる「主題歌賞」、製作現場を支える職能に携わる人のうち、著しい活躍を示した技術者に贈られる「クリエイティブ貢献賞」が新設された。本授賞式の充実が、日本の映画業界をさらに発展させていくことを願っている。
 

◆その他の最優秀賞

 【美術賞】
 三浦真澄 「はたらく細胞」
 
 【撮影賞】
 佐光朗 「キングダム 大将軍の帰還」
 
 【照明賞】
 加瀬弘行 「キングダム 大将軍の帰還」
 
 【録音賞】
 横野一氏工 「キングダム 大将軍の帰還」
 
 【編集賞】
 安田淳一 「侍タイムスリッパー」
 
 【音楽賞】
 世武裕子 「カラオケ行こ!」
 
 【脚本賞】
 野木亜紀子 「ラストマイル」
 
 【助演男優賞】
 大沢たかお 「キングダム 大将軍の帰還」
 
 【助演女優賞】
 吉岡里帆 「正体」
 
 【外国作品賞】
 「オッペンハイマー」
 
 【アニメーション作品賞】
 「ルックバック」
 
 【監督賞】
 藤井道人 「正体」
 
 
 
 【主題歌賞】
 Mrs.GREEN APPLE
 「ディア・ファミリー」
 
 【クリエイティブ貢献賞】
 「ゴールデンカムイ」装飾
 「ルックバック」原動画スタッフ
 

◆プロフィル

 よこはま・りゅうせい 1996年9月16日生まれ、神奈川県出身。2014年、スーパー戦隊シリーズ「烈車戦隊トッキュウジャー」で注目を浴びる。映画「愛唄 ―約束のナクヒト―」(19年)などで第43回日本アカデミー賞新人俳優賞を受ける。現在、主演を務めるNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」が放送中。
 

 かわい・ゆうみ 2000年12月19日生まれ、東京都出身。23年の映画「少女は卒業しない」で映画初主演。24年のドラマ「不適切にもほどがある!」では主人公の娘役を担いブレーク。出演映画の「悪い夏」がきょう3月20日(木)から全国公開され、「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」が来月封切り予定。

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