- ルビ
〈聖教歌壇・聖教俳壇〉 2026年7月22日
【聖教歌壇】
◆道浦母都子選
新しき本の匂ひを鼻でかぐ魅力に満ちたこの読書哉 (愛媛県) 米本攻
【評】本を読む前に、この作者は本の「匂ひ」をかぐ。本離れの今に、こんな読書家もいる。私も、本の匂いをかいでみようか。そんな気になる一首。
人は皆いびつなかたちスケッチの赤い林檎を頰張りながら (島根県) 中村浩二
【評】作者は、林檎のスケッチをしているのだろう。林檎は、どれも、「いびつなかたち」。それを見て、人間もそうだなと思ったのだろう。然り。当然。
昨日より眠れぬ夜の続く日に缶ジュース捜す春未だ浅き (広島県) 藤山五十鈴
また曇り文句言ってもしょうがないよだってあくまでも予報なんだし (大分県) 重松敏子
記憶の海浸っているのが心地よい方を選ぼう前向けるよう (大阪府) 井戸恵子
稜線がかすみて見えし霧の朝消えいるように鳥飛びたちて (広島県) 楢原信子
段々に暗くなりゆく吾のまぶた眠りにつくは難かし老いは (大阪府) 井口紀代子
◆坂井修一選
刺されたら膿もつ虫のかたちして夕焼けを飛ぶヘリコプターは (千葉県) 水須ゆき子
【評】夕焼け空を飛ぶヘリコプターが、「刺されたら膿もつ虫」に見える。作者は、ゴッホやセザンヌと同じ目を持っているのか。ちょっと恐いが、素晴らしい!
星の名は知らぬが夜空眺めてる親孝行をせずにごめんよ (埼玉県) 金内二郎
【評】星空をながめて、亡き親たちを想う。さらに転じて孝行の不足を嘆く。これは、万人共通の心理劇だろう。上句の夜空から下句呼びかけへの展開がいい。
スマホより子供の声と犬の声ニューヨークの父笑顔あふれし (神奈川県) 矢沢寿美
妻の髪いつもと違う髪の色なぜか不思議だ鼻歌が出る (千葉県) 歌野文男
ドリカムの大阪拳突き上げておばちゃんでいいこのままでいい (高知県) 栗岡律
鳳仙花鳳仙花と口ずさむ小さな種がぽんと弾ける (三重県) 木村篤良
子羊を抱いて癒さる牧場のジンギスカンに心で詫びて (埼玉県) 小田毬藻
【聖教俳壇】
◆坪内稔典選
蓬摘む昔話の出るわ出るわ (三重県) 前田まきほ
【評】「出るわ出るわ」の反復表現が蓬摘みの楽しさをよく伝えます。摘んでいる人たち、少年少女へ戻っているのでしょうか。
風光る飛べやロケットロケットよ (兵庫県) 阿部勇三郎
【評】ロケットの俳句は珍しいです。この句もロケットの反復が楽しいです。みんなが口をあけて空を見上げている感じ。いい風景です。
ふわぁふわぁと春のかき揚げ三世代 (兵庫県) 細見春子
満開の桜の枝に猫がいた (福岡県) 天野光子
草餅や句会の席に一個ずつ (富山県) 町田忠治
老いひとり一番仲のいい炬燵 (広島県) 折田文江
筋斗雲各々持ちて春休 (神奈川県) 山本拓也
◆田中亜美選
散らかす子片付ける親春疾風 (富山県) 高田圭太
【評】「春疾風」は強風。子どもの無限のエネルギーを感じます。三十代の作者も仕事に育児に「疾風」のごとく活躍されているのでしょう。
サザエさん観をはり陽あり夏近し (北海道) 大西順子
【評】「サザエさん」の放映は一部地域を除き日曜の午後六時半から七時まで。北海道であればいっそう日暮れが遅いでしょう。斬新な視点の一句。
料峭やつまらぬギャグでつい笑ふ (東京都) 土橋昇一
花パチリ入っちゃ駄目よといいながら (東京都) 渋谷憲子
風光る尻尾ぶんぶんドッグラン (青森県) 鈴木伸子
ひかる汗フルとハーフの親子ラン (大阪府) 浅野富美子
路地えんどう母の味付玉子とじ (大阪府) 髙原和子
〈投稿規定〉
選者を指定の上、未発表の自作に限り、はがき1枚かフォーム投稿1回につき3作まで。二重投稿等にならないようご注意ください。短歌と俳句の併記は不可。掲載にあたり選者が添削する場合があります。氏名、住所、電話番号、年齢、職業を明記(任意で雅号など筆名も)。はがきは〒160-8070 聖教新聞社「歌壇俳壇係」まで。フォーム投稿は、URL〈https://x.gd/qMHVY〉から。採用分には謝礼品を進呈します。紙上採用作の当社ウェブサイト掲載もご了承ください。
















