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〈ライフスタイル〉 気候変動について、同世代の人たちに伝えたい 2022年4月10日

環境活動家 露木しいなさん
撮影:竹花康
撮影:竹花康

 気候変動への対策は待ったなし。では、個人として何から始めるのか――。今回登場いただく露木しいなさんは、大学を休学し「Z世代の環境活動家」として、全国の幼稚園から大学まで講演に回っています。なぜ、そこまでして講演活動を始めたのか、その思いを聞きました。※Z世代とは1990年代中盤以降に生まれた若者たち。

 
グリーンスクールでの気付き

 露木さんは横浜市生まれ。中華街に近い都会で育ちながら自然が大好きになったのは、通った「トトロ幼稚舎」での体験が始まりだ。

 「毎日、自然の中で遊びました。水曜が休みで土日の活動が多く、家族と一緒にキャンプをするなどイベントがたくさん。幼稚園児でしたが、自転車で1時間くらいかけて通園することもありました」

 小学4年生からは自ら希望し、長野県泰阜村に2年間、山村留学。中学は地元の学校に通い、高校はインドネシア・バリ島にある「グリーンスクール」を選んだ。

 「サステナビリティー(持続可能性)教育を重視している、アメリカのインターナショナルスクールです。環境について学びたいと思って入ったわけではなく、英語を話せるようになりたくて留学先を探していた時に、たまたま見つけました。
 私が通っていた時は世界42カ国くらいから生徒が集まり、幼稚園から高校まで全体で約500人。基本的に教科書はなく、テストもほとんどない。授業は学ぶだけでなく“行動すること”が必ず入っています。
 何かやりたいと思った時にそれが形になる環境が整っている。小学校低学年でもいろんな活動をしている子がたくさんいて、行動することが当たり前なんだと学びました」

 生徒のほとんどはマイボトル、マイバッグを持参。プラスチック製品を持たないようにしたり、モノを買い過ぎないようにしたり、できることから実践していた。露木さんも「消費者として選択の大切さに気付いた」という。

 「ある姉妹はNGO団体を立ち上げ、プラスチックバッグを無くす活動を展開し、最終的にバリ島の法律を変えたんです。私も一緒にごみ拾いをしたり、店舗に働き掛けたりする中で、地球環境は誰かの問題ではなく“自分ごと”なんだと強く思えました」

バンブー(竹)で作られている、グリーンスクールの校舎の様子(撮影:甲斐昌浩)
バンブー(竹)で作られている、グリーンスクールの校舎の様子(撮影:甲斐昌浩)
グリーンスクール外観
グリーンスクール外観
 
大人になるまで待たなくていい

 その姉妹がよく言っていたのが「何かを始めるのに、大人になるまで待たなくていい」という言葉。刺激を受けた露木さんも、16歳でオーガニックコスメブランドを立ち上げる。肌が弱い妹のための、人と地球にやさしい口紅だ。1年半かけておよそ1000人以上に向けてワークショップも開催した。

 また、国連気候変動枠組み条約第24・25回締約国会議(COP24・25)では、本会議前に開催される青年会議(COY)に参加。世界中で気候変動に関心のある若者が活動をしていることを目の当たりにした。

 グリーンスクールを卒業後は帰国し、大学に入学したが、1年ほど通い休学することに。

 「こうしている間も地球環境は悪化し続けています。大学生の今しかできないこと、私にしかできないことをするため、講演活動に専念することにしました。
 現在は対象が広がりましたが、当初、中高生を対象にしたのは、今なら“同世代”として話ができるからです。10年後だと、親近感を持って話を聞いてもらうのは難しいですよね」

 露木さんが語る話は、机上で勉強したことではない。留学時代の経験や活動を通した実感だ。しかも年齢が近い。2020年11月から本年2月まで、約170校、計2万4000人に語ってきた。

 「反応はさまざまです。逗子の小学校では、牛乳を飲むストローを替えたいと思ってくれて、5年生が学校の裏庭のササの“茎”でストローを作り、皆に配布を。講演後、すぐに動いてくれたそうです。
 やがて『ストローなくても飲めるじゃん』となり、1年後に講演で訪れた時には、教室に『ストローを使わずに飲む方法』というポスターが貼ってありました。究極は“いらない”となりました」

キャンプで料理をつくる、小さい頃の露木さん
キャンプで料理をつくる、小さい頃の露木さん
 
「知ってもらう」きっかけに

 各学校のカリキュラムにより、質疑応答の時間がない場合もあるが、たとえ大勢の前では質問できなくても、個々にはきちんと意見を持っている子が多いと感じている。

 「講演後、私のところに来て質問してくれます。その後、ZoomやSNSでつながることも。ある高校では『学校の電気を再生可能エネルギーに替えたい』と、生徒たちでプロジェクトを立ち上げ、いろんなことを調べて資料を作り、校内でプレゼンしたそうです」

 中には、気候変動に興味がない人もいる。露木さんが伝えたいのは“こういう生き方もあるよ”という選択肢だ。

 「環境問題を知らなかった人もいるので、誰にとっても学びになる要素があればいいな、と。何か持ち帰ってもらいたい。
 だから、私は“大人になるまで待たなくていい”というメッセージを伝えています。これは環境問題に限りません。“○○ができてから”なんて言ってたら、たぶん一生が終わってしまう。まず行動することだと思います。私は3年間留学しただけですが、行動する同世代を見て、こういうのもアリなんだと思ったんですよね。
 両親には、小さい時からいろんな体験をさせてもらい感謝しています。健康を考えた食と教育を、惜しみなく与えてくれました」

 露木さんの最終目的は、環境活動家が必要ない世界になること。講演先にはペットボトルの飲み物は用意しないよう頼んでいる。

 「エコバッグやマイボトルを持っても、すぐに効果が出るわけではありません。それでも自分の日々の選択が、長い目で見たときに地球や動物に影響していくことを想像してもらえたらと思います。
 私は人が好きで、新しい人に出会えるから、講演活動という手段を選びました。誰でもそうだと思いますが、自分が何かに貢献し役に立っていると感じたり、感謝されたり、必要とされたりするのはとても幸せなことです。私の知識が気候変動を知るきっかけとなり、そこから何か行動を始めてもらえたら、これ以上うれしいことはありません!」

講演後、生徒たちから質問を受ける(撮影:竹花康)
講演後、生徒たちから質問を受ける(撮影:竹花康)
「Bye-Bye-Plastic-Bags」の活動でごみ拾い
「Bye-Bye-Plastic-Bags」の活動でごみ拾い
 
★★★露木さんオススメの環境問題が学べるドキュメンタリー映画★★★

●小学生向け
プラスチック汚染問題にニューヨークの小学生が立ち上がる! 
「マイクロプラスチック・ストーリー ~ぼくらが作る2050年~」(2019・アメリカ)
※日本語吹き替えあり

●中高生向け
「Cowspiracy:サステナビリティー(持続可能性)の秘密」(2014・アメリカ)
※家畜産業が地球に与える影響について

 つゆき・しいな 2001年生まれ。インドネシア「Green School Bali」に留学。在学中にオーガニックコスメブランドを立ち上げる。19年、慶應義塾大学環境情報学部に入学。20年11月から休学し、環境活動家として全国の学校で気候変動の講演を行う。

露木さんのサイトはこちらから

2018年、COY(Conference of Youth)に参加。環境活動家のグレタ・トゥーンベリさん(中央)と
2018年、COY(Conference of Youth)に参加。環境活動家のグレタ・トゥーンベリさん(中央)と

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life@seikyo-np.jp



【編集】加藤瑞子
【写真】露木さん提供

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