• ルビ
  • シェア
  • メール
  • CLOSE

連載ルポ〈チェンジ 今ここから〉 平和研修会「ヒロシマ『い×ま×こ=そ』フェスタ」 2024年8月19日

  • 若い世代から、主体的な平和学習を
原爆死没者慰霊碑前から見える原爆ドーム(広島市の平和記念公園で)
原爆死没者慰霊碑前から見える原爆ドーム(広島市の平和記念公園で)

 連載ルポ「チェンジ 今ここから」は、若い世代が進める新しい取り組みを紹介していきます。今回は池田先生の平和思想を学び、核兵器なき世界を誓い合う総広島青年部の平和研修会「ヒロシマ『い×ま×こ=そ』フェスタ」に光を当てます。

原爆死没者慰霊碑へ献花する青年たち
原爆死没者慰霊碑へ献花する青年たち
■青年リーダーの課題意識

 8月3日、総広島青年部主催の「ヒロシマ『い(祈る)×ま(学ぶ)×こ(行動する)=そ(創価哲学の体現者)』フェスタ」が、広島市内の「広島平和記念資料館」で開催されました。渡部総広島青年部長は「被爆の当事者世代の方々が高齢化する中、戦争、そして原子爆弾による惨禍の記憶を継承していくにはどうしたらよいか、青年リーダーで語り合いました」と。目指したのは次の3点です。
    
 ①“自分ごと”へとアップデート
 信仰の実践や、日常生活での行動が、「世界平和」につながっていると感じることは、なかなか難しい。だからこそ、信心を貫いてきた被爆者の先輩に、戦争の記憶と信心の確信を語っていただくことで、「信仰と平和」を“自分ごと”にしていきたい。
   
 ②家族参加で継承
 青年世代で「親」になっているメンバーもいる。未来部員、未就学児も含めて、家族で参加できる行事に。幼い子どもには“難しい話”でも、参加したことが記憶に残り、将来の平和の担い手になっていく。そして、平和学習といっても、身構えるものではなく、家族で動いた思い出の一つとしてほしい。
   
 ③平和学習の機会を平等にシェア!
 被爆地「ヒロシマ」の名は世界的に有名だが、県内でも広島市内と市外では、“平和学習の取り組みの質や量にばらつきがある”と指摘されている。特に、「平和記念公園」でのフィールドワークの機会が少ない。そこで、見て、聞き、歩き、考えながら学ぶ。そんな機会をシェアしたい。

■行事に参加してみた!
被爆証言に臨んだ前川さん夫妻(右から弘子さん、寛信さん)
被爆証言に臨んだ前川さん夫妻(右から弘子さん、寛信さん)

 フェスタ当日は、猛暑の中、青年世代はもちろんのこと、赤ちゃんを連れて参加する親御さんの姿も見られました。
 冒頭、渡部総広島青年部長が、平和宣言について言及しました。これは、2009年8月5日、総広島青年部が発表したもの。師匠・池田先生から“絶対に核兵器を世界からなくすのだという宣言をつくろう”との提案を受け、広島の青年部が考え抜き、決議したのでした。渡部さんは「広島の青年から平和へのアクションを起こそう」と呼びかけました。
   
 続いて、創価学会員である前川寛信さん・弘子さん夫妻が登壇。2人はこの日、人生で初めて被爆体験を語りました。「思い出したくなく、つらいことばかりなので言葉を濁し、被爆者であると打ち明けることを避けてきました。しかし、これからの世界平和を担う青年部に伝えたいと考えを改め、証言させていただきます」と(講演要旨は、8月6日付本紙と電子版に掲載)。
 また、創価学会の南青年平和会議議長が、本年9月に行われる国連の「未来サミット」など、青年の存在がこれまで以上に重要視されている状況を踏まえ、「私たち青年が、核廃絶への取り組みを継承し、行動したい」と語りました。
   
 その後、参加者全員で原爆死没者慰霊碑に献花。さらに「ピースボランティア」の方々の案内で、フィールドワークを行いました。平和記念公園内には、原爆ドーム、広島平和記念資料館ほか、数々のモニュメントがあり、その中には、「SGI(創価学会インタナショナル)世界平和の樹」も。さらに参加者は「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」や「原爆の子の像」なども巡りました。

■参加者の感想と決意
フィールドワークで、ピースボランティアの説明に聞き入る参加者
フィールドワークで、ピースボランティアの説明に聞き入る参加者

 参加した方々に、感想を伺いました。
 広島市出身の20代女性は小・中学・高校と、平和学習の機会は多かったそうですが、「平和学習を“押し付け”られている」と感じたことも。しかし大学卒業後、かつて凄惨な地上戦が行われた沖縄で働いた経験もあり、平和を求める大切さを再認識しました。さらに、今回のフェスタに参加したことで、「平和を学ぶ意義が身に迫って感じられた」と語りました。
   
 別の30代女性は「漠然とした平和意識ではいけないと危機感を持ちました」と。彼女は広島市内で医療関係の仕事に従事しており、前川さん夫妻の被爆証言にあった“人に知られることを恐れ、長年、原爆手帳を取得していなかった”という内容に胸が痛んだといいます。「原爆被害のむごさを語っていただいた思いを受け止め、私から発信していきたい」と決意していました。
   
 30代の男性は「私は被爆3世で、特別支援学級の教員です。教育現場でも、主体的に学ぶ平和学習を充実させたい」と抱負を。「周囲の人へ笑顔であいさつすることが、平和へ向けた一歩であると日々心がけています。平和は、どこか遠くにあるものではなく、身近なところにあると伝えていきたいです」とも語ってくれました。
   
 広島県内の大学に通う学生は「今後、就職等で広島を出たとしても、出会う人たちと平和を語り合う自分でありたい」と。繰り返してはいけない歴史の記憶を継承するのも、悲劇を防ぐために行動できるのも、これからを生きる私たち青年――そのことを皆で確認できたフェスタでした。

動画

SDGs✕SEIKYO

SDGs✕SEIKYO

連載まとめ

連載まとめ

Seikyo Gift

Seikyo Gift

聖教ブックストア

聖教ブックストア

デジタル特集

DIGITAL FEATURE ARTICLES デジタル特集

YOUTH

三井住友銀行が、閉鎖した出張所を改装した施設「アトリエ・バンライ」のプレオープンイベント。子どもたちが金融経済教育を体験した=3月26日、東京都板橋区

劇画

劇画
  • HUMAN REVOLUTION 人間革命検索
  • CLIP クリップ
  • VOICE SERVICE 音声
  • HOW TO USE 聖教電子版の使い方
PAGE TOP