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〈Seikyo Gift〉 軽度認知障害から対策を〈介護〉 2024年9月28日

 厚生労働省の推計によると、2040年には認知症の高齢者の数が584万人を超えます。これは、およそ「高齢者の7人に1人」に当たる数です。認知症に関する今後の課題や早期発見の重要性について、横浜市立大学保健管理センターのセンター長・教授の小田原俊成さんに聞きました。(8月7日付)

横浜市立大学 保健管理センター センター長・教授
小田原俊成さん
 
1人暮らしの孤立を防ぐ

 今後、1人暮らしの認知症の方が増加すると見込まれる中で、そうした方の社会的孤立が大きな課題となってきます。
 今年1月に施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」(通称・認知症基本法)では、認知症の方の尊厳が守られ、自分らしく暮らし続けることができる社会を目指すことが記されています。
 実現には、専門家による介護支援だけでは限界があります。単身高齢者にとって、地域住民による支えは不可欠です。だからこそ、元気なうちから近隣とのつながりを強め、顔なじみの関係をつくっておくことが重要です。
 加えて、個人でできる認知症予防の努力も続けていきたいものです。特に、運動不足の改善、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病の予防、社会参加活動による孤立解消を心がけてください。
 

チームオレンジの浸透を

 地域の取り組みとして期待したいのは、「チームオレンジ」の浸透です。
 チームオレンジというのは、近隣の「認知症サポーター」がチームを組み、認知症の方や家族を支援する取り組みです。
 自治体や企業・職域団体が実施する「認知症サポーター養成講座」(90分)を受講すれば、誰でも認知症サポーターになることができます。認知症の方もメンバーに加わることができるのも特長でしょう。支えられるだけでなく、支える側になることで、社会参加の機会が得られます。
 しかし、まだまだ全国的には導入が進んでいない現状もあります。
 このような、地域で支え合う取り組みが浸透することが大切です。認知症の方を皆で支えていける社会となることを願っています。
 

一人での生活ができるか

 認知症の予防・改善には、早期発見が必要ですが、特に、認知症予備軍ともいうべき「軽度認知障害(MCI)」の段階での発見が大切です。
 MCIは、健常と認知症の“中間の状態”です。認知症は、「一人での生活に支障を来した状態」と定義されています。つまり、食事の準備やお金の管理、薬の内服など生活を維持することが一人では困難な状態です。
 一方、MCIの多くの場合、物忘れをしやすくなったなどの自覚があるものの、一人での生活ができます。この段階では、対策次第で改善することもあります。
 MCIの時点で発見するためにお勧めしたいのが、「コグニチェックリスト」(別掲)の活用です。これは、2022年度に愛知県の委託事業として、国立長寿医療研究センターが開発したもので、認知機能低下のリスクを確認するリストです。ぜひチェックしてみてください。
 

コグニチェックリスト

 下記の10個の質問に「はい・いいえ」で答え、水色の数を数えてください。

 2個以上、水色の項目が当てはまる場合、認知機能低下のリスクがあります。物忘れ外来や認知症外来などで、より詳しい検査を受けることができます。早期発見のきっかけにしてください。

 ※主に65~74歳の方を対象にしたデータを基に作られているリストなので、それ以外の年代の方が実施した場合は、精度が異なる可能性があります。
 

 おだわら・としなり 横浜市立大学保健管理センターのセンター長・教授。横浜市立大学付属市民総合医療センター部長を経て、2015年から現職。認知症からリエゾン精神医学、精神科救急など幅広い領域の精神科臨床に取り組み、現在は大学で学生・教職員の保健管理業務に従事している。

 ▲「軽度認知障害」の原因や早期発見のメリットなどについては、こちらから

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