〈医療〉 胃がんは、日本人の罹患数3位、死亡数4位の悪性腫瘍です。日本胃癌学会の前理事長に聞きました。
〈医療〉 胃がんは、日本人の罹患数3位、死亡数4位の悪性腫瘍です。日本胃癌学会の前理事長に聞きました。
2026年5月18日
- 感染したピロリ菌が粘膜を傷つけ発症
- 《今日のポイント》50歳からは胃カメラ検査を
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大腸、肺に次いで罹患数3位の悪性腫瘍である胃がん(死亡数は肺、大腸、膵臓に次いで4位)。日本胃癌学会の掛地吉弘前理事長(神戸大学大学院教授)に聞きました。
大腸、肺に次いで罹患数3位の悪性腫瘍である胃がん(死亡数は肺、大腸、膵臓に次いで4位)。日本胃癌学会の掛地吉弘前理事長(神戸大学大学院教授)に聞きました。
〈原因〉98%がピロリ菌、乳幼児期に感染
〈原因〉98%がピロリ菌、乳幼児期に感染
――胃がんの原因は?
「塩分の取りすぎ」「喫煙」なども挙げられますが、日本人がかかる胃がんの約98%はピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)が原因とされます。
――ほとんどの原因は、ピロリ菌なのですね。
ピロリ菌は、強力な胃酸の中で生き残れる特殊な菌です。胃に炎症を起こし、長年かけて粘膜を傷つけたり、薄くしたりして、がんや潰瘍を発生させます。
――どこでピロリ菌に感染するのですか。
5歳未満の乳幼児期に、菌の入った井戸水を飲んだり、保菌する大人が飲食物を口移ししたりして感染します。一度胃に入って生き残ったピロリ菌は、治療で除去しない限り、ずっと胃にすみ続けます。
現在は、主に上下水道が整備されて飲み水が清潔になったことで、若い保菌者が激減しています。罹患数は今がほぼピークで、今後はどんどん減っていくと推測されています。
なお、免疫や胃酸分泌などの機能が発達した5歳以降で、胃にピロリ菌が入っても生き残ることはほぼありません。
――胃がんの原因は?
「塩分の取りすぎ」「喫煙」なども挙げられますが、日本人がかかる胃がんの約98%はピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)が原因とされます。
――ほとんどの原因は、ピロリ菌なのですね。
ピロリ菌は、強力な胃酸の中で生き残れる特殊な菌です。胃に炎症を起こし、長年かけて粘膜を傷つけたり、薄くしたりして、がんや潰瘍を発生させます。
――どこでピロリ菌に感染するのですか。
5歳未満の乳幼児期に、菌の入った井戸水を飲んだり、保菌する大人が飲食物を口移ししたりして感染します。一度胃に入って生き残ったピロリ菌は、治療で除去しない限り、ずっと胃にすみ続けます。
現在は、主に上下水道が整備されて飲み水が清潔になったことで、若い保菌者が激減しています。罹患数は今がほぼピークで、今後はどんどん減っていくと推測されています。
なお、免疫や胃酸分泌などの機能が発達した5歳以降で、胃にピロリ菌が入っても生き残ることはほぼありません。
〈除菌〉飲み薬で可能、保険も適用
〈除菌〉飲み薬で可能、保険も適用
――すでにピロリ菌を保菌していた場合は、どうすればよいですか。
3種類の薬を1週間飲み、除菌します。成功率は1次除菌で約75%、2次除菌で約90%です。2次までは保険が適用されます。
除菌に成功した人は症状改善はもちろん、胃がんの発症リスクは大幅に下がります。ただし、除去前に粘膜を傷つけられた分のリスクは残ります。
除菌後の再感染もまれにありますので、胃カメラ(内視鏡)による検診は定期的に受けましょう。
――すでにピロリ菌を保菌していた場合は、どうすればよいですか。
3種類の薬を1週間飲み、除菌します。成功率は1次除菌で約75%、2次除菌で約90%です。2次までは保険が適用されます。
除菌に成功した人は症状改善はもちろん、胃がんの発症リスクは大幅に下がります。ただし、除去前に粘膜を傷つけられた分のリスクは残ります。
除菌後の再感染もまれにありますので、胃カメラ(内視鏡)による検診は定期的に受けましょう。
〈症状〉進行するまで現れにくい
〈症状〉進行するまで現れにくい
――胃がんの症状は?
食欲低下やみぞおちの痛み、胃の粘膜からの出血による貧血が起きたり、黒っぽい便(タール便)が出たりします。
これらは、胃炎や胃潰瘍でも起こる症状です。胃炎と思って検査を受けて、がんが見つかるケースもあります。ただし、胃がんは、進行するまではあまり症状が出ません。
――症状が出た時は、すでに進行した段階だということですね。
はい。胃がんは、胃の粘膜で発生し、徐々に胃の壁に浸潤していきます。ですので、検診等で早期に発見できるほど、治療効果が高くなります。胃がんの進行度を表すステージ(病期)はI~Ⅳ期に分けられますが、5年生存率の差は明らかです(別掲)。
なお、スキルスと呼ばれるタイプの胃がんがあります。発生後すぐに粘膜の下に潜り込み、胃壁を硬くします。胃カメラで見つけにくく、多くは進行後に発見されるため、治りにくいがんです。
――胃がんの症状は?
食欲低下やみぞおちの痛み、胃の粘膜からの出血による貧血が起きたり、黒っぽい便(タール便)が出たりします。
これらは、胃炎や胃潰瘍でも起こる症状です。胃炎と思って検査を受けて、がんが見つかるケースもあります。ただし、胃がんは、進行するまではあまり症状が出ません。
――症状が出た時は、すでに進行した段階だということですね。
はい。胃がんは、胃の粘膜で発生し、徐々に胃の壁に浸潤していきます。ですので、検診等で早期に発見できるほど、治療効果が高くなります。胃がんの進行度を表すステージ(病期)はI~Ⅳ期に分けられますが、5年生存率の差は明らかです(別掲)。
なお、スキルスと呼ばれるタイプの胃がんがあります。発生後すぐに粘膜の下に潜り込み、胃壁を硬くします。胃カメラで見つけにくく、多くは進行後に発見されるため、治りにくいがんです。
ステージごとの5年生存率
ステージごとの5年生存率
※ネット・サバイバル(純生存率)で計算。他の死因の影響を取り除いて比較できるため国際的に広く用いられている指標
※ネット・サバイバル(純生存率)で計算。他の死因の影響を取り除いて比較できるため国際的に広く用いられている指標
〈治療〉早期なら内視鏡、通院で薬物投与
〈治療〉早期なら内視鏡、通院で薬物投与
――治療法は?
病期やがんの種類、患者の状態によって変わりますが、大きく分ければ、ステージⅠの早期であれば、体の負担の少ない内視鏡による腫瘍切除です。
内視鏡が難しいケースでは主に、外科手術と薬物治療(化学療法)を組み合わせて治療します。
外科手術は、体の負担の少ない腹腔鏡手術が主流で、開腹手術の割合は減っています。切除する範囲も、全摘を回避し、一部を温存する術式が増えています。2018年に保険適用されたロボット支援下の腹腔鏡手術は、さらに細かい動きが可能です。
その上で、一定の経験や技術、内視鏡による病状の見極めが必要になります。日本胃癌学会が認定する施設であれば、適切な医療体制が期待できます(認定施設は、同学会のホームページhttps://www.jgca.jp/facility/ninteishisetsu/から確認できます)。
――薬物治療について教えてください。
従来の抗がん剤に加え、近年は分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤といった新薬を、転移した部位やがんのタイプに合わせて投与します。効果が高く、病状をコントロールしやすくなりました。手術前の薬物投与で、がん細胞がなくなったケースもあります。
また、入院が多かった以前と異なり、外来通院による薬物投与が基本です。2~3週間に1度の通院でよいため、社会生活を営みながらの治療が可能です。
なお放射線は、切除不能な進行胃がんに対して、補助療法として使います。
――治療法は?
病期やがんの種類、患者の状態によって変わりますが、大きく分ければ、ステージⅠの早期であれば、体の負担の少ない内視鏡による腫瘍切除です。
内視鏡が難しいケースでは主に、外科手術と薬物治療(化学療法)を組み合わせて治療します。
外科手術は、体の負担の少ない腹腔鏡手術が主流で、開腹手術の割合は減っています。切除する範囲も、全摘を回避し、一部を温存する術式が増えています。2018年に保険適用されたロボット支援下の腹腔鏡手術は、さらに細かい動きが可能です。
その上で、一定の経験や技術、内視鏡による病状の見極めが必要になります。日本胃癌学会が認定する施設であれば、適切な医療体制が期待できます(認定施設は、同学会のホームページhttps://www.jgca.jp/facility/ninteishisetsu/から確認できます)。
――薬物治療について教えてください。
従来の抗がん剤に加え、近年は分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤といった新薬を、転移した部位やがんのタイプに合わせて投与します。効果が高く、病状をコントロールしやすくなりました。手術前の薬物投与で、がん細胞がなくなったケースもあります。
また、入院が多かった以前と異なり、外来通院による薬物投与が基本です。2~3週間に1度の通院でよいため、社会生活を営みながらの治療が可能です。
なお放射線は、切除不能な進行胃がんに対して、補助療法として使います。
〈患者〉多くは75歳以上、男女比は2対1
〈患者〉多くは75歳以上、男女比は2対1
――発症しやすい人は?
ピロリ菌は長期間かけてがんを引き起こすため、患者の多くは高齢者です。75歳以上が過半数を占めます。高齢者は女性が多いのにもかかわらず、男女比はおよそ2対1で、男性に多く発症します。
発症リスクが上昇する50歳を超えたら、症状の有無にかかわらず定期的に胃カメラなどの検査を受けて、見えない胃の内部をチェックしましょう。発症リスクに結びつく粘膜の薄さも、簡単に確認できます。
――発症しやすい人は?
ピロリ菌は長期間かけてがんを引き起こすため、患者の多くは高齢者です。75歳以上が過半数を占めます。高齢者は女性が多いのにもかかわらず、男女比はおよそ2対1で、男性に多く発症します。
発症リスクが上昇する50歳を超えたら、症状の有無にかかわらず定期的に胃カメラなどの検査を受けて、見えない胃の内部をチェックしましょう。発症リスクに結びつく粘膜の薄さも、簡単に確認できます。
ご感想や取り上げてほしいテーマはこちらからお寄せください。
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