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〈聖教取材班が見た! 創価大学駅伝部〉第2回 陸上競技経験“ゼロ”の記者が、菅平合宿に密着 2025年8月12日

 今月からスタートした「聖教取材班が見た! 創価大学駅伝部」。記者目線で創大駅伝部の魅力と情報を伝える連載の第2回は8月上旬、長野・菅平高原で行われた1次合宿の模様を電子版でお届けします。〈5日付で掲載した第1回はこちらから〉

菅平合宿で練習に励む創大駅伝部
菅平合宿で練習に励む創大駅伝部

 記者に陸上競技の経験はない。創価大学が箱根駅伝などに出場するまで、駅伝をテレビで視聴したこともなかった。
 
 注目するようになってからは、創大駅伝部のみならず、必死に走る多くの選手たちの姿に胸躍らせるようになった。経験の有無にかかわらず、駅伝のドラマは人々を熱くさせる。
 
 テレビで走っている姿からは知ることのできない、チームや選手の実情、一人一人の夢や葛藤にも迫れるのが、ここ数年で何度か足を運んだ合宿取材の醍醐味だ。今回は特に、虎視眈々と“次期エース”の座を狙う1、2年生を中心に取材した。

●すぐに練習終了!? シャッターチャンスがない……
駅伝部の合宿が行われた長野・菅平高原
駅伝部の合宿が行われた長野・菅平高原

 今月4日の朝、東京から新幹線や車を使って1次合宿地の長野・菅平高原に到着した。東京と比べて8度ほど涼しい。高校生や大学生など、多くの学校や団体の合宿先として人気を集める菅平は、この日も多くのアスリートたちでにぎわっていた。
 
 菅平に到着した時、創大駅伝部はちょうど午前練習を始めようとしていた。全員がストレッチを開始し、私もおもむろにカメラを構えた。しかし、ストレッチを終えると短いミーティングを行い、すぐに解散。それぞれがジョグを始め、別々の場所へと散り散りになってしまった。
 
 シャッターチャンスが全然ない……。がっくりと肩を落とす私に、マネジャーが、駅伝部の練習事情を教えてくれた。
 
 この日の午前は自主練習。選手自身がメニューを組み、筋力トレーニングやジョグなどに時間を使う。一人一人の課題が違うため、強くなるためには監督やコーチにアドバイスを求めながら“自分で考える”ことが重要となる。創大駅伝部には、こうした自主練習の時間が多いという。

●“自分で考える”のが創大駅伝

 「自分はいわゆる“直感”で動くタイプだったのに、創大に入ってからは、めっちゃ考えるようになりました(笑)」
 
 そう語ってくれたのは山瀬美大選手(2年、熊本・熊本工業高校出身)。
 
 山瀬選手は、食事や睡眠時間など、私生活においてもコンディションを保てるよう工夫を重ねていると強調する。
 
 昨年12月にけがをして、数カ月間、走れない期間を過ごした。皆が練習を重ねる中、自分だけが走れないもどかしさと悔しさに苦しんだ。だからこそ人一倍、体のケアの重要性を実感している。
 
 「先輩や強い選手に勝つためには、同じことをやっていても差は縮まらないので。練習以外でも、できる努力は全部するんです」と、気合十分だ。

●入部を後押しした意外な理由
練習前のミーティング
練習前のミーティング

 山瀬選手に「なぜ、創大駅伝部に入部したのか」と尋ねてみると、意外な理由が返ってきた。榎木和貴監督の誠実な姿勢や、駅伝部の雰囲気などにも好感を抱いたが、同郷の浦川栞伍選手(2年、熊本・開新高校出身)の存在が後押しになったという。
 
 同じ大会で競い合うなど、以前から親交があった浦川選手が創大駅伝部に入部すると聞き、「同じチームでライバルとして、高め合いたい」――そんな気持ちが芽生えた。

●応援してくれる人が多い

 その浦川選手は、学年主任として2年生のまとめ役を担う。毎月末に学年全員でミーティングを行い、目標を決める。落ち込んでいる選手がいれば、励ましの言葉をかける。
 
 「チームメイトと話す時は、選手としての接し方、友達としての接し方に“メリハリ”をつけています。でも、これが本当に難しいんです」と語り、悩みながら前に進んでいる様子が伝わってきた。
 
 浦川選手は今年1月の箱根駅伝で、1年生(当時)ながらメンバー入りを果たし、同期の石丸修那選手の付き添いを務めた。
 
 「創大を応援してくれる人は、付き添いの自分にまで『頑張れ』ってエールを送ってくれました。その時、本当に多くの人に応援してもらっているチームなんだと感じました」と振り返る。

●緊張のポイント練習

 話を戻して、4日の午後練習。記者は“今度こそ写真をしっかり撮らないと東京に帰れない”と焦っていた。
 
 午後4時頃、集合場所に続々と集まる選手たちを見て、思わず「おお!」と声を出してしまった。全員、赤と青を基調としたウェアを身に付けている。めちゃくちゃかっこいい。
 
 この日は、山道を上っては下る「ポイント練習」の日。選手ごとに目標の走行距離があり、20キロや30キロを走る。午前の自主練習とは全く違う緊張感があった。
 
 集中した表情の選手たちが、スタート地点から出発。複数の集団をつくり、先頭でペースをつくる選手は、ローテーションで交代していく。
 
 気合十分でカメラを構える私に救いの手を差し伸べてくださったのが、コーチやマネジャーたち。「この地点から良い写真が撮れますよ」と、さまざまなアドバイスをいただいた。おかげで、なんとか集団走の模様を写真に収めることができた(その節は、大変ありがとうございました)。

ポイント練習の様子
ポイント練習の様子
●走行距離を管理し、戦略的に成長

 選手たちが着けている腕時計を見せてもらった。走行距離や脈拍などを測ることができるもので、計測データは携帯のアプリで確認。月間走行距離が一目瞭然となる。
 
 “ハイテク”な機能に驚いたが、陸上に詳しい先輩記者によると、いまやどの大学でも取り入れているとのこと。
 
 高速化する大学駅伝は今、強豪校の座が次々と入れ替わる“戦国時代”を迎えている。長期計画を立て、戦略的にトレーニングに取り組まなければ、他校を上回ることはできない。
 
 創大駅伝部の特長として、入部後に大きく力を伸ばす選手が多い。それを実感する一人が、齋藤一筋選手(2年、福島・学法石川高校出身)だ。普段はチームの盛り上げ役。しかし、大学三大駅伝への思いは人一倍強い。
 
 今年の箱根駅伝はメンバー入りしたものの、走ることはできなかった。今年こそは「山下りの6区を走りたい」と意気込む。その原動力を聞くと「親孝行がしたいんです」と。3兄弟を育ててくれた母親や、祖父母への感謝を込めて練習を重ねる。

●朝からそんなに走るんですか!?
早朝練習に真剣に取り組む創大駅伝部
早朝練習に真剣に取り組む創大駅伝部

 ポイント練習を終えた選手たちには、次の日の早朝練習が待っていた。
 
 密着取材の2日目となる5日、午前5時半には集合場所に選手やスタッフがそろっていた。
 
 恐る恐る「なんの練習をするんですか?」と聞いてみると、「12キロ走ります」と、安達隆志主務(4年)が答えてくれた。
 
 「昨日、あれだけ走ったのに、早朝からこんなに走るんですか!?」と思わず口にしてしまった。
 
 「合宿って感じですよね!」と笑顔で話す安達主務だったが、そんな彼もしれっと12キロ走に混ざっていた。そういえば、昨日の自主練習の時も、選手と一緒に筋力トレーニングしていた。マネジャーも心身を鍛えるのが、強さの秘訣なのだろうか……。

●1年生は創大駅伝部をどう感じたか

 この後、早朝練習に加えて午前練習もあった。その合間に、何人かの選手にインタビューをさせてもらった。
 
 特に1年生の創大駅伝部への印象が新鮮で、面白かった。
 
 例えば、大倉凰來選手(1年、岡山・倉敷高校出身)は、全国高校駅伝にも出場したことがある実力者。当初は、創大駅伝部の「仲の良さ」に驚いたという。強いチームは、おのずから競争も激しくなり、ピリッとした空気が流れる。しかし創大では、選手同士が互いを応援し合う。大会に出る選手を、皆で見送ることもあるほどだ。
 
 「最初はこんなに仲が良くて勝てるのかなって思っちゃいました(笑)」(大倉選手)
 
 しかし、ただの“仲良し集団”ではないことに気付いていく。オンとオフをしっかり切り替え、練習では全員が集中する。私生活でのケアも徹底していて、先輩と後輩、同期同士などでアドバイスし合う環境も整っていた。
 
 大倉選手は「日本のトップ選手を目指し、まずは先輩を超える走りができるよう、成長していきます!」と決意は固い。

●全員で戦うために、自分ができることから

 今回の合宿には、けがから復帰したものの、まだ本調子ではない選手も参加していた。
 
 メニューは違っても、同じ場所で練習を重ねていく中で、次第に目の色が変わっていく。それぞれが「チームに貢献したい」との思いを抱え、自分ができることから積極的にトライしていた。
 
 一部の選手が力を伸ばすだけでは、大学三大駅伝で勝つことはできない。全選手が一丸となって勝利を目指すことが重要になってくる。
 
 菅平合宿と時を同じくして、ケニアでも合宿が行われている。互いの練習の模様は、SNSなどを通じて毎日共有している。そうやって刺激し合うことで、練習の質も上がっているという。
 
 今回の取材を通して、創大駅伝部がさらに大きく進化しようと、一人一人が高い意識で練習に取り組んでいることを実感した。特に、三大駅伝に出場したことがないような“次期エース”たちの、ひたむきな姿が印象的だった。
 
 これからも陸上経験“ゼロ”らしい視点で、韋駄天たちのはつらつとした姿を伝えていきたい。(橋)

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