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【言語化特集】言葉と歩む若者たち〈2〉――世界を目指す若手ラッパー
【言語化特集】言葉と歩む若者たち〈2〉――世界を目指す若手ラッパー
2025年5月12日
“生まれ変わった自分”で戦う
“生まれ変わった自分”で戦う
ラッパー・愛我(内田心愛さん=神奈川県綾瀬市、圏池田華陽会サブキャップ)は、もがき苦しんできた。“自分って何”“人生って何”“生きるって何なんだ”。暗闇の中にたった一人。何もない“空っぽ”の自分。悩みの淵で、一つ一つ言葉をつむぎ出すことから、ラッパーの活動を始めた。愛我がつくった渾身のリリックがある。「この自己紹介ラップに、私の全てが詰まっている」。4行のリリックから、愛我の歩みをひもとく――。
ラッパー・愛我(内田心愛さん=神奈川県綾瀬市、圏池田華陽会サブキャップ)は、もがき苦しんできた。“自分って何”“人生って何”“生きるって何なんだ”。暗闇の中にたった一人。何もない“空っぽ”の自分。悩みの淵で、一つ一つ言葉をつむぎ出すことから、ラッパーの活動を始めた。愛我がつくった渾身のリリックがある。「この自己紹介ラップに、私の全てが詰まっている」。4行のリリックから、愛我の歩みをひもとく――。
〽愛我色が好きな色
幼い頃から「自己愛というか、こだわりが強かった」。ネックレスにハマり、家でも学校でもいつも身に着けていた。お気に入りのピンク色のTシャツ。洗濯中でも、濡れたまま手に持って出掛けた。10代の頃は黒、その後は赤。好きな色で自分を彩るけれど、「いつもどこか物足りなかった」。“本当に自分が好きな色って何? 自分色って?”。悶々とした思いが、頭の中をぐるぐる回った。
〽自由に色どるへんちき自画像
高校時代、悩みは一段と深まった。周りの友達は学校にバイト、部活と、高校生活を謳歌している。そして、当たり前のように、“いい大学”を目指し、その先の人生へと進んでいく。“私はそれでいいのか……”。
「決まってる人生の形って、私でなくても生きられるじゃん。心愛って名前、すごく好きだけど、ココネとかココアとか、似た名前の子もたくさんいる。私らしさとか、私が生きる意味って何だろうって考え始めたら、体が動かなくなって」
高校3年の夏、心身のバランスを崩した。“これからどうやって生きていこう”と考え、死への不安がよぎることもあった。そんな時は、祖母や両親が支えてくれた。「幼い頃から私の存在を認め、何をやるにもほめてくれた」。家族で集まると、自然と池田先生の話になった。“祖母、両親が心から尊敬する池田先生がつくった大学に行けば、何か変わるかもしれない”
自分の直感を信じて、創価大学に進学した。入学式に贈られた創立者のメッセージが心に突き刺さった。
「歴史の転換点に立つ皆さんに、時代の烈風は一段と厳しいことでしょう。しかし、だからこそ、偉大な使命を自覚して勇敢に立ち向かうならば、艱難をも飛翔の力へ変えて、計り知れない高みへ上昇することができます」
〽愛我色が好きな色
幼い頃から「自己愛というか、こだわりが強かった」。ネックレスにハマり、家でも学校でもいつも身に着けていた。お気に入りのピンク色のTシャツ。洗濯中でも、濡れたまま手に持って出掛けた。10代の頃は黒、その後は赤。好きな色で自分を彩るけれど、「いつもどこか物足りなかった」。“本当に自分が好きな色って何? 自分色って?”。悶々とした思いが、頭の中をぐるぐる回った。
〽自由に色どるへんちき自画像
高校時代、悩みは一段と深まった。周りの友達は学校にバイト、部活と、高校生活を謳歌している。そして、当たり前のように、“いい大学”を目指し、その先の人生へと進んでいく。“私はそれでいいのか……”。
「決まってる人生の形って、私でなくても生きられるじゃん。心愛って名前、すごく好きだけど、ココネとかココアとか、似た名前の子もたくさんいる。私らしさとか、私が生きる意味って何だろうって考え始めたら、体が動かなくなって」
高校3年の夏、心身のバランスを崩した。“これからどうやって生きていこう”と考え、死への不安がよぎることもあった。そんな時は、祖母や両親が支えてくれた。「幼い頃から私の存在を認め、何をやるにもほめてくれた」。家族で集まると、自然と池田先生の話になった。“祖母、両親が心から尊敬する池田先生がつくった大学に行けば、何か変わるかもしれない”
自分の直感を信じて、創価大学に進学した。入学式に贈られた創立者のメッセージが心に突き刺さった。
「歴史の転換点に立つ皆さんに、時代の烈風は一段と厳しいことでしょう。しかし、だからこそ、偉大な使命を自覚して勇敢に立ち向かうならば、艱難をも飛翔の力へ変えて、計り知れない高みへ上昇することができます」
これまで書きためた「自分ノート」
これまで書きためた「自分ノート」
〽愛我が生きてることが芸術
“自分の生きる意味を見つけたい”――2年前から、自分の“スキ”をノートに書き始めた。好きな色、メーク、ファッション、性格。内側に秘めていたものを解きほぐし、一つずつ吐き出すように「言葉」にした。
〈好きな色=ピンク、黒、赤……全部好き。一つになんか決められない。一つに決めなくてよくない? 自分色は何個あってもいいじゃん。全部、自分色。私の好きな色は「愛我色」だ!〉
言葉にすることで、誰かが思う“当たり前”や、自らがつくった“完璧”とは異なる「自分」が見えた。それはまだまだ不完全な自分。けれど、そこに並んだ言葉は、「むしろ自分の限りない可能性」に見えた。「今は“完璧”でないことが、人間としての“完璧”なんだって思えます」
“スキ”を書きためた「自分ノート」は先月、4冊目に入った。振り返ってみると、そこには自身に投げかけた「問い」がたくさん綴られていた。
〽愛我が生きてることが芸術
“自分の生きる意味を見つけたい”――2年前から、自分の“スキ”をノートに書き始めた。好きな色、メーク、ファッション、性格。内側に秘めていたものを解きほぐし、一つずつ吐き出すように「言葉」にした。
〈好きな色=ピンク、黒、赤……全部好き。一つになんか決められない。一つに決めなくてよくない? 自分色は何個あってもいいじゃん。全部、自分色。私の好きな色は「愛我色」だ!〉
言葉にすることで、誰かが思う“当たり前”や、自らがつくった“完璧”とは異なる「自分」が見えた。それはまだまだ不完全な自分。けれど、そこに並んだ言葉は、「むしろ自分の限りない可能性」に見えた。「今は“完璧”でないことが、人間としての“完璧”なんだって思えます」
“スキ”を書きためた「自分ノート」は先月、4冊目に入った。振り返ってみると、そこには自身に投げかけた「問い」がたくさん綴られていた。
〽人生こそが最高傑作
あなたが「心」から「愛」するものは?――もがいた末にたどり着いた答え。「愛」するものは「私自身(我)」。自分を見失いそうな時、「自分ノート」を読み返す。もがき苦しみながら「言語化」してきたノートの言葉が、自分に“生きる意味”を教えてくれる。
「たくさんの人の支えがあって、今の『愛我』があります。人は一人では生きられないんだなあって痛感してます。と同時に、どんな悩みも乗り越える力は『一人』の中にあるとも思う。だから愛我は、これからも悩むけど、悩まない」。今春から、愛我は若手ラッパーが競い合うオーディションの舞台に立っている。
〽人生こそが最高傑作
あなたが「心」から「愛」するものは?――もがいた末にたどり着いた答え。「愛」するものは「私自身(我)」。自分を見失いそうな時、「自分ノート」を読み返す。もがき苦しみながら「言語化」してきたノートの言葉が、自分に“生きる意味”を教えてくれる。
「たくさんの人の支えがあって、今の『愛我』があります。人は一人では生きられないんだなあって痛感してます。と同時に、どんな悩みも乗り越える力は『一人』の中にあるとも思う。だから愛我は、これからも悩むけど、悩まない」。今春から、愛我は若手ラッパーが競い合うオーディションの舞台に立っている。