〈子どもと学ぶ仏教説話――ミライの冒険〉 土のモチ作り
〈子どもと学ぶ仏教説話――ミライの冒険〉 土のモチ作り
2024年12月12日
創作童話「子どもと学ぶ仏教説話――ミライの冒険」では、主人公のミライが、仏教説話の世界を巡る冒険に出かけます。座談会の未来部コーナーなどでご活用ください!(イラスト 逸見チエコ)
創作童話「子どもと学ぶ仏教説話――ミライの冒険」では、主人公のミライが、仏教説話の世界を巡る冒険に出かけます。座談会の未来部コーナーなどでご活用ください!(イラスト 逸見チエコ)
真心こそ最高のプレゼント
真心こそ最高のプレゼント
ミライの今回の冒険の舞台は、むかしの街の中のようです。
遠くに、人だかりが見えました。
「なにごとだろう?」
ミライの今回の冒険の舞台は、むかしの街の中のようです。
遠くに、人だかりが見えました。
「なにごとだろう?」
近寄ってみると、人々の中心に、話をしている人がいます。
「どんな人も幸せにする教えを伝えるために、旅をしているんです」
その人の輝くような笑顔と、さわやかなあいさつに、人々は皆、心を動かされていました。
近寄ってみると、人々の中心に、話をしている人がいます。
「どんな人も幸せにする教えを伝えるために、旅をしているんです」
その人の輝くような笑顔と、さわやかなあいさつに、人々は皆、心を動かされていました。
「こんなにりっぱな人に、初めて出会った」
「ぜひ、この食べものを受け取ってください!」
街の人たちは、旅人への応援の気持ちで、さまざまな物を手渡していました。
ミライも、“あの素晴らしい人のために、何かできることはないかな”と考えました。
「こんなにりっぱな人に、初めて出会った」
「ぜひ、この食べものを受け取ってください!」
街の人たちは、旅人への応援の気持ちで、さまざまな物を手渡していました。
ミライも、“あの素晴らしい人のために、何かできることはないかな”と考えました。
その時、人だかりから、少しはなれたところに、二人の子どもがいるのを見つけました。
「こんにちは! 何をしているの?」
二人は、答えました。
「ボクらも、あの人に何かあげたいなって思って。でも、ボクらは何も持ってないんだ」
「だから、せめて、土で、まあるいおモチを作って、それをプレゼントすることにしたんだ!」
その時、人だかりから、少しはなれたところに、二人の子どもがいるのを見つけました。
「こんにちは! 何をしているの?」
二人は、答えました。
「ボクらも、あの人に何かあげたいなって思って。でも、ボクらは何も持ってないんだ」
「だから、せめて、土で、まあるいおモチを作って、それをプレゼントすることにしたんだ!」
「それはステキだね! ミライもいっしょに作っていい?」
三人は、土に水を加えて、こねこね。手で丸く固めて、土のモチを作りました。
「食べられないモチだけど、受け取ってくれるかな」
三人は少し不安そうです。
「それはステキだね! ミライもいっしょに作っていい?」
三人は、土に水を加えて、こねこね。手で丸く固めて、土のモチを作りました。
「食べられないモチだけど、受け取ってくれるかな」
三人は少し不安そうです。
そこへちょうど、旅人が通りかかりました。
「あの……お渡ししたいものがあるんです!」
三人が勇気を出して声をかけ、土のモチを差し出すと、旅人は言いました。
「こんなにうれしい、最高のプレゼントはないよ。君たちの真心はしっかり受け取ったよ」
そこへちょうど、旅人が通りかかりました。
「あの……お渡ししたいものがあるんです!」
三人が勇気を出して声をかけ、土のモチを差し出すと、旅人は言いました。
「こんなにうれしい、最高のプレゼントはないよ。君たちの真心はしっかり受け取ったよ」
三人は、「やったー!」と、とび上がって喜びました。
やがて、二人の子どもは、人々にしたわれる、りっぱなリーダーになるのです。
(つづく。前回は11月14日付)
三人は、「やったー!」と、とび上がって喜びました。
やがて、二人の子どもは、人々にしたわれる、りっぱなリーダーになるのです。
(つづく。前回は11月14日付)
今回のお話の解説
今回のお話の解説
真心こそ、最高のプレゼント――今回は、釈尊に土の餅をささげた徳勝童子と無勝童子の説話を基にしたお話です。説話では、釈尊が修行のため、街を訪れます。
徳勝童子と無勝童子は、土で家を作るなどして遊んでいましたが、釈尊の素晴らしい姿に心を打たれ、土の餅を作り、ささげました。
その二人の“真心の功徳は計り知れない”と、釈尊がたたえたのです。
童子らは、生まれ変わり、歴史に名を刻んだアショーカ王(=阿育王)になった等と伝えられています。
真心こそが、最も尊いものであり、計り知れない価値があります。そこに功徳も輝くのです。
池田先生は教えています。「心は見えない。しかし、心は伝わる。心は心を動かす。真心こそ、何ものにも代えられない最高の価値である」
真心こそ、最高のプレゼント――今回は、釈尊に土の餅をささげた徳勝童子と無勝童子の説話を基にしたお話です。説話では、釈尊が修行のため、街を訪れます。
徳勝童子と無勝童子は、土で家を作るなどして遊んでいましたが、釈尊の素晴らしい姿に心を打たれ、土の餅を作り、ささげました。
その二人の“真心の功徳は計り知れない”と、釈尊がたたえたのです。
童子らは、生まれ変わり、歴史に名を刻んだアショーカ王(=阿育王)になった等と伝えられています。
真心こそが、最も尊いものであり、計り知れない価値があります。そこに功徳も輝くのです。
池田先生は教えています。「心は見えない。しかし、心は伝わる。心は心を動かす。真心こそ、何ものにも代えられない最高の価値である」