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〈世界の体験〉 台湾 障がい者打楽器団のベース奏者 2026年4月17日

  • 〈TOMORROW〉
台湾SGI 李 諺泯 さん

 昨年2月、大阪・関西万博に向けたプロジェクトの一環として、滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールで「障害者の文化芸術国際フェスティバル」が開催された。
 
 イベントの2日目、3日目の2回にわたって演奏を披露したのが、台湾で初めて自閉症者だけで構成された「星星プリンス打楽器団」。9人のメンバーの中で、ベースを担当したのが李諺泯だ。
 
 かつては人との意思疎通が苦手だったが、音楽を通じてのコンビネーションはぴったり。笑顔で演奏を終えた。
 
 「この信心のおかげです。幼い頃からの夢を実現し、自分らしく使命を果たすことができました!」

祖母・林錦盆さん㊨と
祖母・林錦盆さん㊨と

 2002年、親戚の勧めで祖母と父が入会した時、諺泯は2歳だった。軽度の自閉症と診断されたのは、幼稚園の年長の時。クリニックの感覚統合療法や、小学校の特別支援学級には、いつも祖母が付き添ってくれた。
 
 学会活動も一緒に参加した。会場に着くと御本尊の前にまっしぐら。そんな諺泯を、地区のメンバーは温かく包み込んでくれた。

星星プリンス打楽器団でベースを演奏する李諺泯さん〈左から3人目)
星星プリンス打楽器団でベースを演奏する李諺泯さん〈左から3人目)
勇気を出して一歩を踏み出す

 “なぜ自閉症で生まれたのだろうか?”。祖母や父は、いつも「諺泯が自閉症だから、私たちは信心できたんだよ」と感謝を口にしてくれた。でも、望んで自閉症になったのではない……という思いもあった。
 
 中学校に上がると、台湾SGIのサマーキャンプなどに参加。青年部の担当者が語ってくれたのは“夢を持つことの大切さ”。「どんな夢でもいい。勇気を出して、一歩、前に踏み出そう」という言葉が心に残った。
 
 中学2年の時には、担任の先生を悩ませるクラスメートに出会う。担任は、勉強嫌いで反抗的な態度をとる彼を、英語の成績が良かった諺泯の隣に座らせ、勉強を手伝ってくれないかと言った。

基金会が運営する児童劇団にも加入
基金会が運営する児童劇団にも加入

 「今までずっと、誰かに支えられてきた自分でも、他人を助ける力があるんだ!」と、うれしくなった。仲良くなるにつれ、彼は他人の悪口を言わなくなり、成績も見る見る上昇。いい友達になった。“たとえ自閉症があっても何でもできるんだ”という自信がついた。
 
 ずっと憧れていた「星星プリンス打楽器団」を目指そうと決めたのは高校に上がってから。わずか9人の“狭き門”。だが、池田先生の「夢があれば、どこまでも成長できる。夢は、自らの可能性を最大限に発揮し、未来を開く“宝の鍵”なのです」という言葉を支えに、一歩を踏み出した。

劇には、李諺泯さんをよく知る学会員も駆けつけた 
劇には、李諺泯さんをよく知る学会員も駆けつけた 
夢は、未来を開く“宝の鍵”

 家族もとても喜び、専門の音楽レッスンに通わせてくれた。高校2年の時から毎週土曜日、重いベースを背負って講師の家に向かう。父が車で送れない時は、祖母が一緒に電車に乗り、駅から10分間の道のりを歩いてくれた。
 
 感覚過敏や自律神経の不調から、暑さが苦手な諺泯。「特に夏は途中で諦めたくなる時もありました。でも、耳元で池田先生が“頑張れ! 粘り強さが大切なんだよ”と励ましてくれるようで、負けずに、やり抜くことができたんです」
 
 高校卒業後も含めて、3年以上通い続け、2019年、ついに「星星プリンス打楽器団」への入団を勝ち取った。学校など、各地で行う公演では、とりわけ障がいのある子を持つ家族に、エールを送る思いで演奏を届けてきた。
 
 うれしいことに昨年は、大阪・関西万博の招へいを受け、来日。諺泯にとって初めての海外渡航になった。

社会福利基金会で作業をする李諺泯さん
社会福利基金会で作業をする李諺泯さん

 もう一つ、ずっと抱いてきたのは、自分に合う仕事に就くという夢。唱題だけでなく、勤行も一人でできるようになった一昨年、それは現実のものとなった。
 
 就職した社会福利基金会は、皆の仲が良い、温かい雰囲気で、通勤もしやすい職場環境。思い描いた夢が一つ一つ実現し、改めて妙法の力を確信している。
 
 また、同基金会が運営する児童劇団にも加入。昨年の地域での公演には学会員も駆けつけ、幼い頃からの諺泯の成長をとても喜んでくれた。
 
 “なぜ自閉症で生まれたのか”――。自分だけが果たせる使命を、題目と努力で実現するため。そして皆に希望を送るためなんだ。今、諺泯はそう確信している。

取材協力/台湾「創価新聞」

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