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〈子どもが伸びる家庭の習慣〉~夏休み編~ AIを宿題に使う 2025年8月21日

一般社団法人「教育デザインラボ」代表理事 石田勝紀

 【Q】AI(人工知能)が日常的に使えるようになり、文章作成や情報収集が手軽にできる時代になりました。子どもが夏休みの宿題に取り組む際、AIを使って調べ物をしたり、作文のアドバイスを受けたりすることに問題はないでしょうか? 便利な一方で、子どもの思考力が十分に育たないのではないかという心配もあります。(小学生の保護者)

“相談相手”にするのが理想的

 【A】学習においてAIを活用することには、確実にメリットが存在します。これまでの調べ学習と言えば、図書館での資料調査から始まり、近年ではインターネット検索が主流でした。
 インターネット検索では、検索結果の上位に表示される情報が必ずしも求めている内容とは限らず、複数のページを閲覧しながら手動で情報を選別する作業が必要でした。
 一方、AIは適切な質問(プロンプト)を投げかければ、知りたい情報を直接提供してくれます。もし最初の回答が期待と異なる場合でも、追加の質問を重ねることで、AIが学習し、より的確な回答を返してくれるようになります。
 これは従来の検索方法とは根本的に異なる“革新的なツール”と言えるでしょう。
 今年は、実質的な「AI普及元年」とも位置付けられそうです。多くの人々が、日常的にAIを使い始めているからです。この状況を考えると、今夏の宿題では相当数の家庭でAIが活用されるでしょう。
 自由研究や作文において、アイデアの整理や構成に関するアドバイスを得ることで、子どもたちの創造性が刺激される可能性は十分にあります。
 しかし、懸念されている「自分で考える力への影響」は見過ごせない課題です。AIに依存しすぎると、試行錯誤を通じた学びや、困難な状況での問題解決能力が十分に養われない危険性があります。
 重要なのは、「AIをいかに活用するか」という点です。作文では完成品を作成してもらうのではなく、「このテーマでは、何について書けばよいでしょうか」といった“相談相手”として利用することが理想的です。
 つまり、結果を出すためにAIを使うのではなく、プロセス(過程)で利用するということです。調べ学習においても、AIが提供する情報が常に正確とは限らないため、盲信せずに他の情報源と比較検討する習慣を身に付けましょう。
 AIを使用しても、その内容の正確性や適切性を判断するのは人間の役割であり、人間の読解力や思考力が不可欠なのです。
 現在の小学生が成人する頃には、AIとの協働作業が社会の標準となっていることでしょう。そのため、AIを適切に活用しながらも、人間固有の創造性や批判的思考力を育成することが極めて重要です。
 AIの使用を単純に禁止するのではなく、正しい活用方法を指導するのです。禁止しても多くの人が使用する可能性が高く、禁止に実効性はないと考えられます。
 技術を有効活用しつつも、自立した思考力を育てる――このバランスを見つけることを念頭に置いて考えてみてください。

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