〈教育〉 新しい環境になじめるだろうか…「精神科医さわ」さんに聞く 子育てにまつわる不安との向き合い方
〈教育〉 新しい環境になじめるだろうか…「精神科医さわ」さんに聞く 子育てにまつわる不安との向き合い方
2026年4月16日
精神科医さわ
精神科医さわ
「ちゃんと育てられているのだろうか」「この子にとって一番良い選択なのだろうか……」。親としての漠然とした不安、また進路や友達関係といった子どもを取り巻く環境への不安を感じることはありませんか。子育てにおける不安との向き合い方について、YouTubeなどでも活躍する塩釜口こころクリニック院長の「精神科医さわ」さんに聞きました。
「ちゃんと育てられているのだろうか」「この子にとって一番良い選択なのだろうか……」。親としての漠然とした不安、また進路や友達関係といった子どもを取り巻く環境への不安を感じることはありませんか。子育てにおける不安との向き合い方について、YouTubeなどでも活躍する塩釜口こころクリニック院長の「精神科医さわ」さんに聞きました。
■親と同じとは限らない
■親と同じとは限らない
子育てというのは、誰からも習わないため、「これでいいのだろうか」と不安になって当然です。SNSで検索すると、際限なくさまざまな情報が出てきて、正解が分からず、不安を強めてしまうこともあるでしょう。
不安を抱えていると、“早く解放されたい”と思うかもしれません。しかし、不安は、ゼロにはできませんし、ゼロにする必要もありません。人は不安があるから、事故や事件など不測の事態に備えることができます。
ただ、子育てにおける不安について気を付けたいのは、“その不安は誰にとってのものなのか”ということです。
例えば、いじめをめぐる相談では、親御さんが「子どもが深く傷ついているので診断書を書いてほしい」と受診されることがあります。親御さんは強い不安の中で症状を訴えますが、本人に話を聞くと、語られた状態とはやや異なることがあります。もちろん、子どもが傷ついていないわけではありません。ただ、つらい出来事に直面した時、本人の苦しみと親の受け止め方の間に、ずれが生じることは少なくないのです。
子育てというのは、誰からも習わないため、「これでいいのだろうか」と不安になって当然です。SNSで検索すると、際限なくさまざまな情報が出てきて、正解が分からず、不安を強めてしまうこともあるでしょう。
不安を抱えていると、“早く解放されたい”と思うかもしれません。しかし、不安は、ゼロにはできませんし、ゼロにする必要もありません。人は不安があるから、事故や事件など不測の事態に備えることができます。
ただ、子育てにおける不安について気を付けたいのは、“その不安は誰にとってのものなのか”ということです。
例えば、いじめをめぐる相談では、親御さんが「子どもが深く傷ついているので診断書を書いてほしい」と受診されることがあります。親御さんは強い不安の中で症状を訴えますが、本人に話を聞くと、語られた状態とはやや異なることがあります。もちろん、子どもが傷ついていないわけではありません。ただ、つらい出来事に直面した時、本人の苦しみと親の受け止め方の間に、ずれが生じることは少なくないのです。
■具体化すると行動が変わる
■具体化すると行動が変わる
子どものことで不安になった時、「どこまでが親の不安で、どこからが子どもの悩みや問題なのか」と冷静に考える必要があります。親は経験が豊富な分、「学校に行けなくなったら……」「勉強が遅れていく」など、先回りして考え、子ども以上に不安を強めてしまいがちです。不安は焦りを生み、焦りは平常心を失わせます。感情的になって、親の気持ちを子どもにぶつけたり、振り回したりすると、子どもは心を閉ざして本音を言えなくなってしまいます。
まず親自身が「何が不安なのか、その不安はどこから来るのか」を考えてほしいと思います。紙に書き出す、パートナーや信頼できる人に話すといったことをしてみましょう。スクールカウンセラーや児童精神科医などに相談するのも、一つの方法です。
不安の中身を具体化することで、冷静に受け止められるようになったり、気持ちが楽になったりします。「勝手に不安になっていただけ」「これは心配しても仕方がない」と思うこともあるでしょう。子どもの問題ではなく、自分自身の考え方や捉え方の問題だったと気付けば、対処の仕方や子どもに対する行動も変わってきます。
子ども自身が解決するべき悩みや問題については、子どもの気持ちに寄り添い、不安や悩みを理解しようとする姿勢が大切です。
その上で、子どもに「お母さん(お父さん)に何かできることはある?」と聞いてみてください。具体的にやってほしいことを言われたら、できることは実行する。「何もない」と言われたら、「困ったことがあったら、いつでも言ってね」「そばについているよ」と伝え、見守りましょう。
子どものことで不安になった時、「どこまでが親の不安で、どこからが子どもの悩みや問題なのか」と冷静に考える必要があります。親は経験が豊富な分、「学校に行けなくなったら……」「勉強が遅れていく」など、先回りして考え、子ども以上に不安を強めてしまいがちです。不安は焦りを生み、焦りは平常心を失わせます。感情的になって、親の気持ちを子どもにぶつけたり、振り回したりすると、子どもは心を閉ざして本音を言えなくなってしまいます。
まず親自身が「何が不安なのか、その不安はどこから来るのか」を考えてほしいと思います。紙に書き出す、パートナーや信頼できる人に話すといったことをしてみましょう。スクールカウンセラーや児童精神科医などに相談するのも、一つの方法です。
不安の中身を具体化することで、冷静に受け止められるようになったり、気持ちが楽になったりします。「勝手に不安になっていただけ」「これは心配しても仕方がない」と思うこともあるでしょう。子どもの問題ではなく、自分自身の考え方や捉え方の問題だったと気付けば、対処の仕方や子どもに対する行動も変わってきます。
子ども自身が解決するべき悩みや問題については、子どもの気持ちに寄り添い、不安や悩みを理解しようとする姿勢が大切です。
その上で、子どもに「お母さん(お父さん)に何かできることはある?」と聞いてみてください。具体的にやってほしいことを言われたら、できることは実行する。「何もない」と言われたら、「困ったことがあったら、いつでも言ってね」「そばについているよ」と伝え、見守りましょう。
■不完全さを受け入れ合い、安心を育てる
■不完全さを受け入れ合い、安心を育てる
「子どものことで必要以上に不安になるのはやめよう。子どもは、親に心配してもらいたいんじゃない。笑顔で幸せでいてほしいものなんだ」――これは、私が自分自身の子育てを通じて感じていることです。
私は現在、シングルマザーで2人の子どもを育てています。長女は発達障がいがあり、不登校です。不安に押しつぶされそうになった時期もありました。2、3年の歳月をかけて、子どもが学校に行かない選択もあるということを少しずつ受け入れていきました。今も長女は学校に行っていません。けれど、私も娘たちも、毎日笑って過ごしています。
子どもができない部分も受け入れること。何かができるから価値があるとか、できないから価値がないと決め付けないこと。そして、親自身も自らの未熟さや弱さを受け入れること――不完全さを受け入れ合うことで、子どもの心に「安心」という根っこが育まれていきます。
「子どものことで必要以上に不安になるのはやめよう。子どもは、親に心配してもらいたいんじゃない。笑顔で幸せでいてほしいものなんだ」――これは、私が自分自身の子育てを通じて感じていることです。
私は現在、シングルマザーで2人の子どもを育てています。長女は発達障がいがあり、不登校です。不安に押しつぶされそうになった時期もありました。2、3年の歳月をかけて、子どもが学校に行かない選択もあるということを少しずつ受け入れていきました。今も長女は学校に行っていません。けれど、私も娘たちも、毎日笑って過ごしています。
子どもができない部分も受け入れること。何かができるから価値があるとか、できないから価値がないと決め付けないこと。そして、親自身も自らの未熟さや弱さを受け入れること――不完全さを受け入れ合うことで、子どもの心に「安心」という根っこが育まれていきます。
【お悩みQ&A】
【お悩みQ&A】
Q 今月、長男が小学校に入学しました。「勉強についていけるだろうか」「新しい環境になじめなかったらどうしよう」と、次から次に心配事が出てきます。
Q 今月、長男が小学校に入学しました。「勉強についていけるだろうか」「新しい環境になじめなかったらどうしよう」と、次から次に心配事が出てきます。
A 親御さんの中に「ちゃんと適応しないといけない」「みんなと同じように行かなきゃいけない」という“べき思考”があるのかもしれませんね。そう考えるのは、親御さん自身が学校や職場で適応しようと頑張ってきた証しでもあります。自分の“べき思考”を責めるのではなく、「自分の時代はそれで良かったけれど、わが子も同じように育てた方がいいのか」と考え直す機会にできるといいですね。
A 親御さんの中に「ちゃんと適応しないといけない」「みんなと同じように行かなきゃいけない」という“べき思考”があるのかもしれませんね。そう考えるのは、親御さん自身が学校や職場で適応しようと頑張ってきた証しでもあります。自分の“べき思考”を責めるのではなく、「自分の時代はそれで良かったけれど、わが子も同じように育てた方がいいのか」と考え直す機会にできるといいですね。
Q 「子どもに失敗させたくない」という思いから、友達関係や進路などについつい口を出してしまいます。
Q 「子どもに失敗させたくない」という思いから、友達関係や進路などについつい口を出してしまいます。
A 全てを先回りして失敗させないようにしていたら、子どもは失敗する経験をしないまま、社会に出ることになります。そうなると、親がいない状態では、何もできなくなってしまいます。場合によっては、たった一度の失敗で自分の存在価値が揺らぎ、精神的に追い詰められることもあります。親の役目は子どもから失敗を遠ざけることではなく、失敗をどう乗り越えるかを教えること。そして、「失敗しても絶対にあなたの味方だよ」と伝えることではないでしょうか。
A 全てを先回りして失敗させないようにしていたら、子どもは失敗する経験をしないまま、社会に出ることになります。そうなると、親がいない状態では、何もできなくなってしまいます。場合によっては、たった一度の失敗で自分の存在価値が揺らぎ、精神的に追い詰められることもあります。親の役目は子どもから失敗を遠ざけることではなく、失敗をどう乗り越えるかを教えること。そして、「失敗しても絶対にあなたの味方だよ」と伝えることではないでしょうか。
※なお、本文中の事例は、患者さんのプライバシーに配慮し、臨床経験をもとに複数の相談例を再構成したものです。
※なお、本文中の事例は、患者さんのプライバシーに配慮し、臨床経験をもとに複数の相談例を再構成したものです。
精神科医さわ著『子どもが本当に思っていること』(日本実業出版社)
精神科医さわ著『子どもが本当に思っていること』(日本実業出版社)
ご感想や取り上げてほしいテーマはこちらからお寄せください。
https://x.gd/C5zE6
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