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〈介護〉 読者の体験談 こころの絆 2025年11月5日

 今回の「介護」のページは、読者の皆さまから寄せられた体験談を「こころの絆」として紹介します。
 

母と私のケア

 奈良市
   勝浦 美穂
   (主婦 65歳)
 1年前、米寿のお祝いをした母は、とても元気でした。ところが、今年3月、胃がんが見つかり、突然の闘病生活が始まりました。
 妹は仕事の休暇を取り、1カ月半の間、徳島に住む母の介護を引き受けてくれました。
 その後、母は入院。しかし、高齢のため、手術や抗がん剤治療はできません。食事や水分を制限され、日に日に弱っていきました。3カ月ほどたった頃、回復の見込みがないことを悟ってか、母が「家に帰る!」と言い出しました。
 私は“母の願いをかなえてあげたい”と決意し、母と一緒に実家に戻ることにしました。
 自分の部屋に帰った母は、窓から見えるいつもの景色に安心したようで、穏やかな表情になりました。
 弱っていく母の介護は、頭で考えていたほど簡単ではありませんでした。おむつ交換も悪戦苦闘。夜中に呼ばれて排せつケアをするなど、私のメンタルも崩れそうになり、看護師さんに電話したこともありました。毎日の訪問看護が、母のためだけでなく、私のケアでもあったことに気付き、優しく寄り添ってくださった看護師さんに涙があふれました。
 昼夜問わず、母の命と向き合った8日間は、私に大切なことを教えてくれました。
 「庭にブドウがなっとうけん、取ってきて味見させて」と言われた日――小さい方の1粒を母の口へ。「甘い」と、ゆっくりゆっくり味わった母。あの時、大きい方をあげたらよかったかなあ……。
 

“人生の半分”

 福島県会津若松市
   寺田 禎子
   (主婦 88歳)
 19年間寝たきりの夫、夫の両親、実家の両親。1978年から34年間は、介護と見送りの繰り返しでした。
 私がパートで働いていた時は、日中、元気だった義父と訪問看護師さんが夫の介護をしてくれました。
 長い介護期間中、私自身が入院したこともあります。その時も、子ども2人に助けられながら、介護を続けることができました。
 介護生活の中でも、3年に1度は旅行に出かけました。友達と旅行したり、1人で大阪に住む娘の元へ足を運んだりして、思い出をつくりました。そんな時には、ショートステイを利用させていただきました。
 介護を支えてくださった皆さまには、大変お世話になり、感謝しています。病院、介護福祉サービス、家族との連携がしっかりしていたおかげで、つらいことも困ったことも、乗り越えることができました。
 “人生の半分”が介護生活でしたが、現在は次女夫婦や孫たちと幸せな毎日を送っています。
 

母を独り占め

 相模原市中央区
   中井 百合子
   (58歳)
 「迷惑かけてごめんね」
 「お母さんが、私を育ててくれたことに比べたら、まだまだ足りないよ。もっと親孝行させてね」
 「もったいない言葉。ありがとう」
 ――これが、母との最後の会話。
 「お母さんの介護、頑張っているね」って、周りの人に言われたけど、介護できるのは、お母さんが生きている証し。だから、私は負担に思ったことはなかったよ。
 むしろ、うれしかった。お母さんを独り占めできる時間だったよ。ずっと、ずっと続いてほしかった。
 いとおしい赤ちゃんのオムツを替えたり、食事を食べさせたりするのと一緒。大切なお母さんのお世話をできるのが、私の喜びだったよ。
 車いすでたくさんお出かけしたね。私はリュックサックを背負ってスニーカー。スーツを着た時もスニーカー。「ちぐはぐだよ」って、言われたけれど、私は全く気にならなかった。
 車いすは、どこへでも一緒に行ける魔法の乗り物。思い出をたくさん残してくれてありがとう。
 13年間、介護の時間は母がくれた宝物。
 

「さすが親子」

 大阪市旭区
   柳 厚子
   (主婦 66歳)
 91歳で認知症の母は、3年前から施設でお世話になっています。昨年は、排尿障害と心房細動で緊急入院。シルバーカーから車いすになり、普通食から介護食に変わり、介助してもらうことが増えました。
 入院から3カ月後に施設へ戻ることができ、母に穏やかな日々が戻って、安心していました。
 そんな時に、私自身、定期健診で乳がんが判明。2月に手術することになりました。
 入院の前日、ケアマネジャーと一緒に母に会いに行くと、いつもは「明日帰れる?」と尋ねるのですが、その時は「私のことは心配しなくていいから頑張りや」と励ますのです。母に悲しい思いをさせたくなくて、病気のことは一切言っていなかったのですが、その言葉を聞いて涙があふれました。
 ケアマネジャーは「何も言わなくても全て分かってるね。さすが親子やね」と言ってくれました。私が退院した後、母に会うと、私の右腕をずっとさすってくれ、「もう体、大丈夫か? 元気になったんか?」と心配してくれました。そんな母がいとおしくてたまりません。
 守り支えてくださっている皆さまに感謝し、母との大切な時間を、これからも楽しく過ごしていきたいと願っています。
 

〈原稿募集〉
こころの絆

 読者の体験談「こころの絆」では、皆さまの介護体験を募集しています。内容は自由です。“わが家流”の介護の取り組みなど、皆さまの体験談を聞かせてください。
  

介護のホンネ
かたくなに拒まれて困る…

 介護の負担を少しでも軽減するために、デイサービスやショートステイ、訪問サービスなどを上手に使いたいところです。しかし、介護される本人が、かたくなに利用を拒んで困る……。そんな体験をしたこともあるのではないでしょうか。皆さんのエピソードをお寄せください。
 

〈要項〉

 ■応募するコーナー(「こころの絆」か「介護のホンネ」のいずれか)、氏名、住所、年齢、性別、職業、電話番号を明記してください。
 ※介護のホンネは、匿名希望でも応募できます。
 ■字数の目安は400字程度。氏名入りで掲載された方に、図書カードを進呈します。
 ■趣旨を変えない範囲で添削させていただく場合があります。
 ■原稿が当社のウェブサイトに掲載されることもご了承ください。
 ■原稿は返却しません。同内容のものを他紙誌に送ることは、ご遠慮ください。
  

〈宛先〉

 [郵送] 〒160-8070 聖教新聞「介護」のページ係
 [メール] dokusha@seikyo-np.jp
 [ファクス] 03(5360)9610
  

 ▶紙面への感想や、介護について知りたいテーマなども、ぜひお送りください。
 

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