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小説「新・人間革命」に学ぶ 第26巻 解説編 池田主任副会長の紙上講座 2021年2月24日

  • 連載〈世界広布の大道〉
イラスト・間瀬健治
イラスト・間瀬健治

 今回の「世界広布の大道 小説『新・人間革命』に学ぶ」は第26巻の「解説編」。池田博正主任副会長の紙上講座とともに、同巻につづられた珠玉の名言を紹介する。

紙上講座 池田主任副会長
5:00
ポイント
①同志を守り抜く決心
②広布第2章の「支部制」
③弟子の大成を見届ける

 第26巻は、1977年(昭和52年)9月、山本伸一が、第2代会長・戸田城聖先生の故郷である北海道・厚田村(現在の石狩市厚田区)を訪問する場面からスタートします。恩師の名を冠した「戸田記念墓地公園」が完成し、10月2日に開園式が行われます。
  
 墓園の構想は、「わが同志と一緒に、どこかで静かに眠りに就きたいものだな」(24ページ)との戸田先生の一言に由来しています。
  
 恩師の言葉は、生死不二の原理に照らしていえば、「再び新たなる生命を蘇らせ、共々に広宣流布に戦っていこう」(25ページ)との意味であり、墓地公園は「その永遠の広布旅、師弟旅の象徴ともいうべきもの」(同)です。
  
 伸一は、恩師の言葉を心に刻み、墓園の構想を実現させました。そして、「創価学会の基盤も、これで完璧に出来上がった」(同)と宣言したのです。
  
 広布の基盤が完成する一方で、顕在化しつつあったのが、伸一を排斥しようという宗門の謀略でした。77年は、第1次宗門事件前夜ともいうべき状況にありました。
  
 72年(同47年)秋に「広布第2章」が開幕した後、学会は本格的に会館建設に着手します。それまで、宗門の外護を優先し、寺院の建設などに力を入れていたのです。
  
 また、教学運動についても、大聖人の仏法を世界へと広げるため、新しい展開を開始しました。ところが、宗門の僧は、「広布第2章」の学会の運動を理解できず、それどころか、宗門から“独立しようとしている”と曲解。77年ごろから寺の行事などで、執拗に学会批判を繰り返すようになります。それでも、伸一は「僧俗和合」を願い、宗門を大きく包み込もうとします。
  
 戸田墓園の開園式で、伸一はこう訴えます。「何があろうが、驚いたり、臆してはいけません。どのような厳しい烈風に対しても、私が屋根となり、防波堤となっていきます」(55ページ)
  
 彼の心には、いかなる状況になっても、同志を守り抜こうとの、揺るがない決心がみなぎっていたのです。
  
 「法旗」「勇将」の章では、伸一の50歳の節目について言及されています。50歳は、日蓮大聖人が、竜の口の法難佐渡流罪に遭われた年齢(数え年)でした。大聖人の御境地に思いを馳せ、伸一は「わが人生の、さらに、新しい創価学会の発迹顕本といえる戦いを開始せねばならない」(218ページ)と誓います。
  
 私たちにとって、「発迹顕本」とは、「広宣流布を、人生の至上の目的、使命と定め、その果敢なる実践を、現実生活のなかで展開していくこと」(217ページ)です。大切なことは、日々、「地涌の使命」に燃え、広布拡大に挑んでいくことです。
  

春の陽光に包まれる瀬戸内海。美しい花を咲かせる桜木に、新緑が芽吹く(池田先生撮影。1985年4月、香川・四国研修道場で)。第26巻では四国での激励行がつづられる
春の陽光に包まれる瀬戸内海。美しい花を咲かせる桜木に、新緑が芽吹く(池田先生撮影。1985年4月、香川・四国研修道場で)。第26巻では四国での激励行がつづられる
リーダーの自覚

 広布第2章の「支部制」の実施が発表されたのは、78年(同53年)の新春本部幹部会でした。それまでの「総ブロック」を「支部」とし、総ブロック長は支部長、総ブロック委員は支部婦人部長、男女青年部の総ブロック長は部長として新出発を切りました。
  
 支部制という“新しい流れ”がスタートする中で、伸一は、学会活動が多元的になるほど、「基本を疎かにしてはならない」(255ページ)と訴えます。
  
 リーダーの基本的な実践について、伸一は次の点を強調します。
  
 1点目は、会合での指導と個人指導を「2対8」の比率にしていくことです。「二対八を目標にしていけば、もっと人材が育ちます。学会も強くなっていきます。また、何よりも、幹部の皆さんが大きく成長していくことができます」(221ページ)と述べています。
  
 2点目は、“折伏精神”を学会の隅々にまで燃え上がらせることです。支部のリーダーには、「常に自分と同じ心で、“折伏精神”をたぎらせ、あらゆる活動の先陣を切ってほしかった」(310ページ)のです。
  
 3点目は、支部組織は本部と同等の責任と使命を担っており、「支部は地域における学会本部であると決めて、各人が地域に仏法を打ち立て、展開して」(329ページ)いくことです。
  
 先月、学会創立100周年への第一歩を刻む第1回本部幹部会とともに、第1回青年部幹部会が開催されました。コロナ禍の中にあって、会合や激励の方法も多様化し、世界広布への“新しい流れ”が加速しています。
  
 学会活動の在り方は、時代に相応した変化を遂げていかねばなりません。しかし、根本は決して変わりません。危機の今こそ、『新・人間革命』から学会精神を学び、活動に取り組んでいく姿勢が肝要です。
  
 「組織を活性化させ、地域広布を推進する根本は、人間の一念の転換にこそある」(127ページ)と記されている通り、広布推進の原動力は、どこまでいっても、リーダーの一念です。
  
 師が示した指針の実践――その繰り返しの中で、新時代を開く広布の堅固な基盤が築かれていくのです。
  

総仕上げの指針

 第26巻では、「総仕上げ」という言葉が一つのテーマとなっています。
  
 「厚田」の章では、“人生の総仕上げ”について、「老い」は終局を待つ日々ではなく、「今世の人生の総仕上げであるとともに、次の新しき生への準備期間なのである」(81ページ)と述べられます。
  
 さらに同章では“広布の総仕上げ”の指針として、①自身の人間革命、②友好活動の継続、③一家の信心継承、の3点が示されています。
  
 「奮迅」の章では、57年(同32年)の「夏季ブロック指導」の模様を通して、“師匠の総仕上げの戦い”についてつづられています。
  
 この年、戸田先生の生涯の願業である75万世帯の達成が見え始めていました。夏季ブロック指導で東京・荒川区の指揮を執った伸一は、友の激励に奔走し、1週間で、区の会員世帯の1割を超す弘教を成し遂げます。
  
 伸一は、その戦いを通して、「師匠の総仕上げの戦いというのは、弟子の大成を見届けることなんです。つまり、弟子が、『先生! わが勝利を、ご覧ください!』と、師匠に胸を張って報告できる実証を示すことなんです。それが、師弟不二です。私は、そう心を定めたからこそ、力が出せた」(350ページ)と語ります。
  
 弟子が受け身ではなく、「師の指導を深く思索し、わがものとして、人びとの幸せのため、広宣流布のために、勝利の旗を打ち立てていく」(367ページ)。ここに、「師弟不二」の戦いがあります。“総仕上げ”の指針を心に刻みながら、一人一人が、「勝利の旗」を打ち立ててまいりましょう。
  

明日香文化会館での奈良支部結成20周年を記念する自由勤行会(81年11月20日)。78年1月24日、同会館を初訪問する様子が「勇将」の章に描かれている
明日香文化会館での奈良支部結成20周年を記念する自由勤行会(81年11月20日)。78年1月24日、同会館を初訪問する様子が「勇将」の章に描かれている
名言集
●希望

 心が敗れてしまえば、希望の種子は腐り、芽が出ることはない。希望は、豊かで、強い心の大地から生まれるんだ。自分の心の外にあるものじゃないんだ。(「厚田」の章、8ページ)

●組織

 強靱な組織、無敵の組織とは、功徳の体験の花が、万朶と咲き誇る組織である。(「法旗」の章、119ページ)

●心の共有

 人間主義とは、何か特別な生き方をすることではない。奮闘している人や苦労している人がいたら、声をかけ、励ます。喜んでいる人がいたら、共に手を取って喜び合う――その心の共有のなかにこそあるのだ。(「法旗」の章、170ページ)

●信仰者

 御本尊への真剣な祈りに始まり、祈りに終わる。それが信仰者の生き方である。祈り、題目を忘れて勝利はない。(「勇将」の章、223ページ)

●持続

 持続とは、単に、昨日と同じことをしていればよいという意味ではありません。それでは惰性です。“さあ、出発しよう”と、日々、新たな決意で、自分を鼓舞して戦いを起こし続けていくのが、本当の持続の信心なんです。(「奮迅」の章、374ページ)

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