〈暮らし〉 水族館の楽しみ方
〈暮らし〉 水族館の楽しみ方
2024年7月25日
- “異世界”に飛び込もう
- “異世界”に飛び込もう
多くの人が一度は足を運んだことのある水族館。日本は人口当たりの水族館数が世界一といわれるほど、たくさんの水族館があります。『大人のための水族館ガイド』(養賢堂)の編著者で、葛西臨海水族園の園長である錦織一臣さんに、水族館が何十倍も面白くなる方法について聞きました。
多くの人が一度は足を運んだことのある水族館。日本は人口当たりの水族館数が世界一といわれるほど、たくさんの水族館があります。『大人のための水族館ガイド』(養賢堂)の編著者で、葛西臨海水族園の園長である錦織一臣さんに、水族館が何十倍も面白くなる方法について聞きました。
葛西臨海水族園
園長 錦織一臣さん
葛西臨海水族園
園長 錦織一臣さん
陸で生きる私たちにとって、水族館はまさに“異世界”と言えるでしょう。人は、水中で呼吸できず、酸素ボンベなどがなければ、数分しか耐えられません。また、日常の中で海や川を見ることはあっても、それはほぼ上から見た水面です。
一方、水族館では、地上にいながらにして“水の世界”を断面から見ることで、水中を自在に泳ぐ魚や生き物を横から、時に下から見上げたりする特殊な体験ができます。
水の中で生活することのできない人間が非日常的な異世界に飛び込む――これが水族館の魅力であると思っています。
今回は、身近にある水族館がこれまでの何十倍にも面白くなる方法を紹介します。
陸で生きる私たちにとって、水族館はまさに“異世界”と言えるでしょう。人は、水中で呼吸できず、酸素ボンベなどがなければ、数分しか耐えられません。また、日常の中で海や川を見ることはあっても、それはほぼ上から見た水面です。
一方、水族館では、地上にいながらにして“水の世界”を断面から見ることで、水中を自在に泳ぐ魚や生き物を横から、時に下から見上げたりする特殊な体験ができます。
水の中で生活することのできない人間が非日常的な異世界に飛び込む――これが水族館の魅力であると思っています。
今回は、身近にある水族館がこれまでの何十倍にも面白くなる方法を紹介します。
ガイドを利用してみる
ガイドを利用してみる
まず、オススメしたいことは、スポットガイドやガイドツアーを利用することです。観察する視点をヒントとして提供してくれます。
例えば、常に泳ぎ続けるマグロは、水の抵抗を少なくするために隠しているヒレがあるのをご存じでしょうか。まっすぐ泳ぐ時には使わないヒレを、曲がる時やブレーキをかける時に出して、泳いでいるのです。
これを知ると、「他の魚はどうなんだろう?」というような疑問が湧きませんか。ガイドに教わった視点を生かして、他の生き物と見比べてみることで、より面白さが増すでしょう。生態などへの興味もより深まっていくと思います。
水族館によって、ガイドの有無がありますので、ホームページを見るか、直接電話で確認してみてください。
まず、オススメしたいことは、スポットガイドやガイドツアーを利用することです。観察する視点をヒントとして提供してくれます。
例えば、常に泳ぎ続けるマグロは、水の抵抗を少なくするために隠しているヒレがあるのをご存じでしょうか。まっすぐ泳ぐ時には使わないヒレを、曲がる時やブレーキをかける時に出して、泳いでいるのです。
これを知ると、「他の魚はどうなんだろう?」というような疑問が湧きませんか。ガイドに教わった視点を生かして、他の生き物と見比べてみることで、より面白さが増すでしょう。生態などへの興味もより深まっていくと思います。
水族館によって、ガイドの有無がありますので、ホームページを見るか、直接電話で確認してみてください。
時間や季節を変えて
時間や季節を変えて
水族館には、一度行っただけでは分からない魅力があります。「同じ水族館に何度も行くのは、もったいない」。そういう方にオススメしたいのは、時間帯を変えて行ってみることです。
同じ魚や水生生物でも、昼と夜で違う行動を取ります。例えば、睡眠。多くの魚には、まぶたがないため、目は開いたまま岩陰や水草の間で寝ているのです。一方、マグロのように生きるために泳ぎ続けることが必要な魚は、ゆっくりと泳ぐことで体を休めています。こういった生き物の不思議について、実際に自分の目で確かめてみてほしいと思います。夏の時期など夜間も開園している水族館があるので、ぜひ行ってみてください。
また、季節ごとで見られる魚の生態も変わります。例えば、繁殖の時期には求愛行動が見られます。生まれたての赤ちゃんの成長を追って楽しむのもいいでしょう。
年間パスポートを購入して通うのも、賢い楽しみ方かもしれません。
水族館には、一度行っただけでは分からない魅力があります。「同じ水族館に何度も行くのは、もったいない」。そういう方にオススメしたいのは、時間帯を変えて行ってみることです。
同じ魚や水生生物でも、昼と夜で違う行動を取ります。例えば、睡眠。多くの魚には、まぶたがないため、目は開いたまま岩陰や水草の間で寝ているのです。一方、マグロのように生きるために泳ぎ続けることが必要な魚は、ゆっくりと泳ぐことで体を休めています。こういった生き物の不思議について、実際に自分の目で確かめてみてほしいと思います。夏の時期など夜間も開園している水族館があるので、ぜひ行ってみてください。
また、季節ごとで見られる魚の生態も変わります。例えば、繁殖の時期には求愛行動が見られます。生まれたての赤ちゃんの成長を追って楽しむのもいいでしょう。
年間パスポートを購入して通うのも、賢い楽しみ方かもしれません。
だるまさんが転んだ
だるまさんが転んだ
皆さんが、一つの水槽の前に立ち止まる時間はどのぐらいでしょうか。20~30秒の方もいれば、立ち止まらず、さーっと歩きながら見る方もいるでしょう。私は3分間、難しければ1分間だけでも、見入ってほしいと思っています。
気に入った生き物がいたとして、動きを見たければ、自分はじっとして動かずに我慢して見続ける努力も必要です。これはフィールドでの観察にも通じますが、生き物によっては警戒して動かない場合もあります。諦めて、離れたら動き出す、まさに“だるまさんが転んだ”のようです。
写真を撮りたい方も同様で、近くに寄ってきたり、顔を出したりするタイミングを待って、あなたにしか撮れないベストショットを狙ってみましょう。かわいい魚や水生生物の写真を、家族や友人と共有し合うのもいいでしょう。
皆さんが、一つの水槽の前に立ち止まる時間はどのぐらいでしょうか。20~30秒の方もいれば、立ち止まらず、さーっと歩きながら見る方もいるでしょう。私は3分間、難しければ1分間だけでも、見入ってほしいと思っています。
気に入った生き物がいたとして、動きを見たければ、自分はじっとして動かずに我慢して見続ける努力も必要です。これはフィールドでの観察にも通じますが、生き物によっては警戒して動かない場合もあります。諦めて、離れたら動き出す、まさに“だるまさんが転んだ”のようです。
写真を撮りたい方も同様で、近くに寄ってきたり、顔を出したりするタイミングを待って、あなたにしか撮れないベストショットを狙ってみましょう。かわいい魚や水生生物の写真を、家族や友人と共有し合うのもいいでしょう。
高級魚や水生昆虫も
高級魚や水生昆虫も
これらの方法を使って、身近な水族館での時間を充実させてみてください。また、旅行や用事のついでに、全国に数ある魅力的な水族館にも訪れてほしいと思います。
「新潟市水族館マリンピア日本海」では、高級魚ノドグロの名で知られる「アカムツ」(標準和名)の稚魚の育成に成功。世界初の水族館生まれのアカムツの展示が見られます。
水族館というと、規模に目が行ったり、魚やイルカをイメージしたりしがちですが、福島県の「アクアマリンいなわしろカワセミ水族館」では、県内に生息するゲンゴロウを中心とした約40種類もの水生昆虫を展示しています。小さな水族館がこれだけの生き物を飼育、管理するのは大変なことです。
“〇〇水族館にしかいない生き物”の限定グッズを集めるというのも、一つの楽しみ方です。水族館めぐりのきっかけにしてみてください。
これらの方法を使って、身近な水族館での時間を充実させてみてください。また、旅行や用事のついでに、全国に数ある魅力的な水族館にも訪れてほしいと思います。
「新潟市水族館マリンピア日本海」では、高級魚ノドグロの名で知られる「アカムツ」(標準和名)の稚魚の育成に成功。世界初の水族館生まれのアカムツの展示が見られます。
水族館というと、規模に目が行ったり、魚やイルカをイメージしたりしがちですが、福島県の「アクアマリンいなわしろカワセミ水族館」では、県内に生息するゲンゴロウを中心とした約40種類もの水生昆虫を展示しています。小さな水族館がこれだけの生き物を飼育、管理するのは大変なことです。
“〇〇水族館にしかいない生き物”の限定グッズを集めるというのも、一つの楽しみ方です。水族館めぐりのきっかけにしてみてください。
葛西臨海水族園では、「大洋の航海者 マグロ」水槽でクロマグロの群泳を展示しており、レストランでは、種は異なりますが同じマグロ類のキハダを使ったメニューが人気です。生きている魚を目にすることが少ないスーパーやおすし屋さんでは感じることのできない、命のつながりを感じることができる場となっています。
葛西臨海水族園では、「大洋の航海者 マグロ」水槽でクロマグロの群泳を展示しており、レストランでは、種は異なりますが同じマグロ類のキハダを使ったメニューが人気です。生きている魚を目にすることが少ないスーパーやおすし屋さんでは感じることのできない、命のつながりを感じることができる場となっています。
葛西臨海水族園のホームページはこちら
葛西臨海水族園のホームページはこちら
写真提供/(公財)東京動物園協会
写真提供/(公財)東京動物園協会
●ご感想や取り上げてほしいテーマをお寄せください。
life@seikyo-np.jp
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