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〈子どもと学ぶ仏教説話――ミライの冒険〉 二人の王さま 2025年6月12日

 創作童話「子どもと学ぶ仏教説話――ミライの冒険」では、主人公のミライが、仏教説話の世界を巡る冒険に出かけます。座談会の未来部コーナーなどでご活用ください!(イラスト 逸見チエコ)

“心”こそ勝利のカギ

 ミライは、兵士たちの輪の中にいました。
 「何をしているの?」
 「私たちは、シュウという国の兵士です。となりの、インという国にいる、悪い王を倒したいのです」
 「あの王は、自分のことしか考えていない。そのせいで、多くの国民が苦しんでいる!」
 「しかし、倒そうにも、インの兵士は、私たちよりも、はるかに多い……」
 悩む兵士たちに、ミライは言いました。
 「心を合わせれば、きっと大丈夫! できないことはないよ」
 その時、声がしました。

 「その子の言う通りだ! みんな、インの苦しんでいる人たちを助けるために戦うぞ!」
 兵士たちの顔が明るくなります。
 「ミライよ、みんなを励ましてくれてありがとう。私はシュウの王です。あの悪い王を倒さなければ、多くの人が不幸なままだ。みんな、必ず勝つぞ!」
 兵士たちは「オー!」と声をあげ、戦の準備を始めました。

 そして、戦の日がやってきました。ミライは岩かげで見守っています。
 シュウの兵士たちは、ものすごいやる気です。困っている人たちを助けたい思いにあふれているからです。

 いっぽう、インの兵士たちは、人数は多くても、やる気がありません。
 あちこちから「こんな戦、負けてもいい」「インなんて、なくなってしまえばいいのに」と聞こえてきます。みんな、自分勝手なインの王のことを良く思っていないようです。
 「あんなに心がバラバラじゃ、何をやっても成功しないよ」
 岩かげのミライは、あきれてしまいました。

 「向かえー!」――いざ、戦が始まると、勝負が決まるのに時間はかかりませんでした。とても少ない人数でしたが、シュウが勝ったのです。
 シュウの兵士は、心を合わせて戦いましたが、インの兵士は心がバラバラだったからです。

 こうして、シュウの王によって、すべての人たちが、平和に暮らすことができるようになりました。
 (つづく。前回は5月8日付)

今回のお話の解説

 皆が心一つに前進できているかどうかが、勝負を決める――今回のお話の基になったのは、中国の歴史書『史記』等に記されている殷の紂王と周の武王の話です。
 紂王は、人々の意見に耳を傾けず、自分勝手な振る舞いで民衆を苦しめていました。
 一方、民衆の苦しみをなくすために立ち上がり、悪王を打ち破ったのが武王です。
 “民衆を救う”という志で団結した周の軍は少数ながら、紂王の悪政に嫌気が差して団結できなかった殷の大軍に勝利を収めたのです。
 池田先生は、この殷と周の話に触れ、「団結があり、勢いがあれば、必ず『道』は開ける」「『断じて勝つ!』執念が天をも動かす」と語っています。
 どんな挑戦も、勝負も、大事なのは「心」です。“必ず勝つ”と誓う心に、勝利のカギがあるのです。

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