師走に入り、年賀状を買った後、那覇市の沖縄郵政資料センターを訪れた。琉球王国時代から近年までの郵政や通信の歴史が展示されており、時間を忘れて見入った▼王国時代の海上の通信手段は「のろし」だった。諸外国の船が接近すると、のろしを上げて王府へ伝達したという。琉球で郵便事業が始まったのは、近代郵便制度が創設された明治時代。激動期のさまざまな困難を乗り越え、事業が発展した様子がうかがえた▼だが、その後の沖縄戦によって事業は壊滅。焦土の中から再建が始まった。その象徴として展示されていた「酸素ボンベポスト」が、ひときわ目を引いた。米軍が廃棄したボンベを再利用して作ったものである。苦境に負けまいと奮起する先人たちの姿が目に浮かび、胸が熱くなった▼今ある日常は、決して当たり前ではないと改めて思った。学会もまた、三代会長と草創の同志の苦闘によって築かれた。その歴史を断じて忘れてはならない▼米国の歴史学者ハーディング博士は、より良い世界を残してくれた先人への感謝があれば「自分たちも、次の世代に、より良い世界を残そう」と思うはずだと語った。行く年も来る年も、感謝の心を胸に、自分にできることを実践しよう。(壹)
師走に入り、年賀状を買った後、那覇市の沖縄郵政資料センターを訪れた。琉球王国時代から近年までの郵政や通信の歴史が展示されており、時間を忘れて見入った▼王国時代の海上の通信手段は「のろし」だった。諸外国の船が接近すると、のろしを上げて王府へ伝達したという。琉球で郵便事業が始まったのは、近代郵便制度が創設された明治時代。激動期のさまざまな困難を乗り越え、事業が発展した様子がうかがえた▼だが、その後の沖縄戦によって事業は壊滅。焦土の中から再建が始まった。その象徴として展示されていた「酸素ボンベポスト」が、ひときわ目を引いた。米軍が廃棄したボンベを再利用して作ったものである。苦境に負けまいと奮起する先人たちの姿が目に浮かび、胸が熱くなった▼今ある日常は、決して当たり前ではないと改めて思った。学会もまた、三代会長と草創の同志の苦闘によって築かれた。その歴史を断じて忘れてはならない▼米国の歴史学者ハーディング博士は、より良い世界を残してくれた先人への感謝があれば「自分たちも、次の世代に、より良い世界を残そう」と思うはずだと語った。行く年も来る年も、感謝の心を胸に、自分にできることを実践しよう。(壹)