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〈信仰体験〉 伴走ボランティア魂 2026年5月13日

  • 伴に走る。共に生きる。
  • 「励まし合ってゴールする喜びを知った」
互いの歩幅を合わせて伴走する小野さん㊨。触手話で景色なども伝え、2人で楽しみながら(先月19日、かすみがうらマラソン兼国際ブラインドマラソン2026で)
互いの歩幅を合わせて伴走する小野さん㊨。触手話で景色なども伝え、2人で楽しみながら(先月19日、かすみがうらマラソン兼国際ブラインドマラソン2026で)

 【名古屋市天白区】ひと際目立つ、ピンク色のかつら。決して、仮装レースではない。視覚に障がいのあるランナーとの二人三脚。42.195キロを走破するブラインドマラソンだ。伴走する小野豪生さん(55)=副支部長(地区部長兼任)=は、他のランナーや沿道の応援者に、「カーヨも頑張ってまーす!」と、隣で走る彼女の奮闘を猛アピール。そこには、伴走ボランティアの魂が脈打っている。

 国内唯一ともいわれるブラインドマラソンの国際大会。例年、開催地は茨城県。小野さんは伴走者として、この春にもエントリーした。
 
 大会前は名古屋から駆け付け、都内の公園でランニングクラブの仲間と練習を。白杖をつく人や健常者と腕を組む人、盲導犬を連れた人など、さまざまな視覚障がい者と、その伴走者が集まった。

ぶんたさん㊧と
ぶんたさん㊧と

 この日の練習は、長年ペアを組んできた、ぶんたさんと。互いの手をつなぐ「伴走ロープ」を頼りに、園内を走り始めた。
 
 「右に曲がるよー。3、2、1」。小野さんの声かけに応じて、ぶんたさんが向きを変える。まるでコースが見えているかのよう。しかも速い。一心同体のような力走。小野さんは断言する。「伴走者に必要なのは、実は走力に加えて、思いやりと信頼関係なんです」

伴走する新人ランナーにアドバイスも
伴走する新人ランナーにアドバイスも

 目の見えないランナーが安心して安全に走るには、状況を的確に伝える伴走者の心遣いが必要だ。だからこそ、ロープは別名“絆”とも呼ばれている。

ありのままの姿で朗らかに進む“創価家族”の同志と共に(最後列左端が小野さん)
ありのままの姿で朗らかに進む“創価家族”の同志と共に(最後列左端が小野さん)

 大学時代の小野さんは、自身の適性が分からず、就職活動に難航した。そんな時、出会って間もない妻・ユカさん(56)=女性部員=に誘われ、創価学会の座談会へ。老若男女が生き生きと語り合っている様子に、素直に感動した。“俺も自分らしく生きたい!”
 
 1990年(平成2年)、20歳で創価学会に入会。祈るうち、天職と思える商社マンになった。人が好きで誰とでも打ち解ける、特技に気付いた結果だ。

にぎやかな小野家の一家団らん(左から小野さん、妻・ユカさん、長女・菜々さん、長女の夫・ブバカさん)
にぎやかな小野家の一家団らん(左から小野さん、妻・ユカさん、長女・菜々さん、長女の夫・ブバカさん)

 そんな小野さんが、コミュニケーション能力を一段と高める出来事があった。ある障がい者施設を何度か訪ねた時のこと。それまでのような会話では、利用者と思うように意思疎通を図れない。自宅で唱題に励むと、相手と心を通わす交流の糸口が見えてきた。「サポートよりも、共に生きるという思いが僕の中に芽生えた瞬間でした」

 7年ほど前に始めた伴走ボランティアも、全く同じだった。
 多くの障がい者は、自立している。支える側と支えられる側、そう簡単には区別できない。伴走者は、障がい者ランナーを引っ張る走りをしない。助力を与えないルール。“伴に走る”ことに徹する。
 
 「ランナーを支えているようで、僕の方が勇気をもらっている」――その思いを一層強めたのが、カーヨさんとの出会いだ。視覚と聴覚に障がいがある彼女。それでも子育てをやり遂げ、マラソンにも挑んできた。
 「外出をためらいがちな盲ろう者の仲間に、希望を送りたい!という、カーヨの願いを実現したくて」

 小野さんとのペアは3年ほど前から。直接、手をつないで伴走し、指の動きで解読してもらう触手話で、段差などの情報を伝える。ピンク色のかつらは、注目を集めるようにと、小野さんのアイデアだ。
 
 「人のために火をともせば、我がまえあきらかなるがごとし」(新2156・全1598)が信条である。
 東京マラソンをはじめ、2人でフルマラソンを3回完走。メディアにも取り上げられるようになった。

スタート直前の様子
スタート直前の様子

 4月19日。4回目の完走を目指した今大会。人々から「ナイスラン!」と拍手され、序盤は順調だった。しかし、初夏を思わす高い気温が2人の前に立ちはだかる。
 
 10キロ過ぎ。ペースが落ち始めた。苦しい表情のカーヨさんは、手話で何度も小野さんに伝えた。「ごめんね」
 20キロ過ぎ。熱中症のリスクを避けるため、やむなく棄権することに。彼女は“ギブアップ”でリタイアするのが初めてで、泣いていた。

 コースを離れる前に、再び笑顔を取り戻せたのは、小野さんの一言があったからという。「今日は半分まで走ったから、今度はハーフマラソンで盲ろう者をアピールしようよ」
 
 今のカーヨさんにとって、走ることは、生きている意味に等しい。ならば「力になりたい」と、小野さんは思った。心の柱に据えた、池田先生の言葉がある。
 「自発能動の戦士」
 自ら勇んで、汗を流す決意がみなぎる。
 
 「2人で走るのは、励まし合ってゴールする喜びを知ったから」
 完走の喜びは2倍、リタイアの悔しさは半分に分かち合う、尊き伴走者がここにいる。

壮年部の友と意気高く(中央が小野さん)
壮年部の友と意気高く(中央が小野さん)

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