〈SDGs×SEIKYO〉 事例編 多様な生物のすみか「サンゴ礁」を守り育てる
〈SDGs×SEIKYO〉 事例編 多様な生物のすみか「サンゴ礁」を守り育てる
2026年7月21日
「SDGs×SEIKYO」の事例編「ちーちゃんと訪ねる ミライの現場」。今回は、「有限会社 海の種」が運営するサンゴ養殖施設「さんご畑」(沖縄県読谷村)を紹介します。サンゴの養殖・移植に取り組む同社の金城浩二代表は2007年、青年版国民栄誉賞「人間力大賞」でグランプリを受賞。10年には、自伝「てぃだかんかん―海とサンゴと小さな奇跡―」が映画化されました。
「SDGs×SEIKYO」の事例編「ちーちゃんと訪ねる ミライの現場」。今回は、「有限会社 海の種」が運営するサンゴ養殖施設「さんご畑」(沖縄県読谷村)を紹介します。サンゴの養殖・移植に取り組む同社の金城浩二代表は2007年、青年版国民栄誉賞「人間力大賞」でグランプリを受賞。10年には、自伝「てぃだかんかん―海とサンゴと小さな奇跡―」が映画化されました。
父さん、今年の夏休みは、みんなで海に行きたいな! 色とりどりのサンゴを見てみたい!
父さん、今年の夏休みは、みんなで海に行きたいな! 色とりどりのサンゴを見てみたい!
それはいい案だね。実はサンゴ礁があるのは、地球表面の約0・1%だけなんだ。でも、そこで生活する海の生き物たちは全体の約4分の1にもなる。
それはいい案だね。実はサンゴ礁があるのは、地球表面の約0・1%だけなんだ。でも、そこで生活する海の生き物たちは全体の約4分の1にもなる。
サンゴ礁は、そんなにたくさんの生き物の家にもなってるんだね! でも最近は、すごく暑くて、サンゴたちも元気がないって聞いたけど、本当なの?
サンゴ礁は、そんなにたくさんの生き物の家にもなってるんだね! でも最近は、すごく暑くて、サンゴたちも元気がないって聞いたけど、本当なの?
うん、本当だ。100年前と比べて、海水温が約5度も上昇している地域がある。だから、大切なサンゴを守り、育てている人たちがいるんだよ。
うん、本当だ。100年前と比べて、海水温が約5度も上昇している地域がある。だから、大切なサンゴを守り、育てている人たちがいるんだよ。
「さんご畑」は入場料を払えば誰でも見学でき、サンゴの苗づくり体験もできる
「さんご畑」は入場料を払えば誰でも見学でき、サンゴの苗づくり体験もできる
沖縄県読谷村の海岸沿いに位置するサンゴ養殖施設「さんご畑」。ここでは現在、120種類を超えるサンゴを養殖し、海への植え付けやサンゴの幼生の放流を行っている。
サンゴは一見、植物のようにも見えるが、実は動物。褐虫藻という藻と共生している。この褐虫藻が、海水温上昇などのストレスを受け、サンゴから排出されることで白化現象が起き、そのまま放置されるとサンゴは死に至ってしまう。
「有限会社 海の種」の金城浩二代表は、小さい頃から癒やしを与えてくれた色とりどりのサンゴが、海の埋め立てや白化現象で減っていく様子に、涙が出るほど心を痛め、サンゴの養殖を決意した。
当時、「サンゴを養殖する」という発想は、一般的ではなかったという。専門家やメディアからの批判もあった。
沖縄県読谷村の海岸沿いに位置するサンゴ養殖施設「さんご畑」。ここでは現在、120種類を超えるサンゴを養殖し、海への植え付けやサンゴの幼生の放流を行っている。
サンゴは一見、植物のようにも見えるが、実は動物。褐虫藻という藻と共生している。この褐虫藻が、海水温上昇などのストレスを受け、サンゴから排出されることで白化現象が起き、そのまま放置されるとサンゴは死に至ってしまう。
「有限会社 海の種」の金城浩二代表は、小さい頃から癒やしを与えてくれた色とりどりのサンゴが、海の埋め立てや白化現象で減っていく様子に、涙が出るほど心を痛め、サンゴの養殖を決意した。
当時、「サンゴを養殖する」という発想は、一般的ではなかったという。専門家やメディアからの批判もあった。
サンゴを植え付ける金城代表 ©有限会社 海の種
サンゴを植え付ける金城代表 ©有限会社 海の種
手探りで研究を重ね、ついに2003年、養殖サンゴの移植に成功。サンゴが成長すると産卵も観測された。だが、養殖には多額の費用がかかり、数千万円の借金を抱えた時期もある。
「それでも、理屈抜きにサンゴを好きっていう感情があったから、この取り組みに夢中になれたし、へこたれなかったんだろうなって思います」
その後も毎年、海への植え付けを行ったが、サンゴ絶滅への不安は拭えなかった。
“もし海がダメになっても、いつかまた海の環境が良くなったら、サンゴを戻すことができる、「ノアの箱舟」のようなサンゴの供給源を陸上につくりたい”――そんな思いから09年に「さんご畑」が誕生した。
手探りで研究を重ね、ついに2003年、養殖サンゴの移植に成功。サンゴが成長すると産卵も観測された。だが、養殖には多額の費用がかかり、数千万円の借金を抱えた時期もある。
「それでも、理屈抜きにサンゴを好きっていう感情があったから、この取り組みに夢中になれたし、へこたれなかったんだろうなって思います」
その後も毎年、海への植え付けを行ったが、サンゴ絶滅への不安は拭えなかった。
“もし海がダメになっても、いつかまた海の環境が良くなったら、サンゴを戻すことができる、「ノアの箱舟」のようなサンゴの供給源を陸上につくりたい”――そんな思いから09年に「さんご畑」が誕生した。
サンゴの植え付け海域における変化の様子(上が2009年、下が2023年)。現在までに8万株以上の植え付けを行った ©有限会社 海の種
サンゴの植え付け海域における変化の様子(上が2009年、下が2023年)。現在までに8万株以上の植え付けを行った ©有限会社 海の種
養殖作業ではまず、サンゴの枝から苗のようなものをつくり、育てる。その苗が大きくなると産卵し、受精して幼生となる。毎年、100万匹以上も誕生するサンゴの幼生は、研究機関に提供したり、施設の前にある海域に放出したりする。
近年、サンゴの減少に伴い生息域がまばらになったことにより、卵の受精が困難になっているという。「さんご畑」では、同じ種類で異なる遺伝子を持つサンゴを隣り合わせに植えて受精率を上げることで、“赤ちゃんの供給源”となることを目指している。
養殖作業ではまず、サンゴの枝から苗のようなものをつくり、育てる。その苗が大きくなると産卵し、受精して幼生となる。毎年、100万匹以上も誕生するサンゴの幼生は、研究機関に提供したり、施設の前にある海域に放出したりする。
近年、サンゴの減少に伴い生息域がまばらになったことにより、卵の受精が困難になっているという。「さんご畑」では、同じ種類で異なる遺伝子を持つサンゴを隣り合わせに植えて受精率を上げることで、“赤ちゃんの供給源”となることを目指している。
サンゴが産卵可能な大きさになるまで飼育をする水槽。成熟したサンゴは「マザーコーラル」と呼ばれている
サンゴが産卵可能な大きさになるまで飼育をする水槽。成熟したサンゴは「マザーコーラル」と呼ばれている
また、養殖の一連の作業に欠かせないのが、一風変わった“従業員”である海の生き物たちだ。ウニやナマコ、コケを食べる貝、サンゴの枝を食べる魚など、サンゴ礁に住む生き物たちが、一つの生態系として、バランスよく共生している。
サンゴを食べてしまう生き物も一緒に飼育していると聞くと驚いてしまうが、金城代表によると、そうやって育ったサンゴの方が、海での耐性が高いという。
「そこに暮らす生き物たち全てが、互いに関わり合って生きています。自然の状況に倣った関わり合いをつくることで、サンゴの養殖が、どんどんうまくいくようになりました」
自然に倣った工夫は、施設の設備にも。白い多孔質の外壁が、太陽光を乱反射させたり、壁に生えたコケや植物が蒸散時に熱を奪ったりすることで、冷却装置なしでも海水温を下げることができている。
また、養殖の一連の作業に欠かせないのが、一風変わった“従業員”である海の生き物たちだ。ウニやナマコ、コケを食べる貝、サンゴの枝を食べる魚など、サンゴ礁に住む生き物たちが、一つの生態系として、バランスよく共生している。
サンゴを食べてしまう生き物も一緒に飼育していると聞くと驚いてしまうが、金城代表によると、そうやって育ったサンゴの方が、海での耐性が高いという。
「そこに暮らす生き物たち全てが、互いに関わり合って生きています。自然の状況に倣った関わり合いをつくることで、サンゴの養殖が、どんどんうまくいくようになりました」
自然に倣った工夫は、施設の設備にも。白い多孔質の外壁が、太陽光を乱反射させたり、壁に生えたコケや植物が蒸散時に熱を奪ったりすることで、冷却装置なしでも海水温を下げることができている。
自然に倣い、工夫を凝らした「さんご畑」の外壁
自然に倣い、工夫を凝らした「さんご畑」の外壁
現在、世界のサンゴの種の44%が絶滅の危機にあるといわれる。24年に沖縄県で実施された調査では、調査範囲の約9割で白化が確認された地点もあった。
「“ストップ温暖化”みたいなセリフを見ると、もうそんなレベルじゃないって思います。気候変動はどんどん進むから、それに適応しないといけない」
そうした環境の変化に適応を始めているのが、「さんご畑」で養殖されている「ミラクルコーラル(奇跡のサンゴ)」だ。
現在、世界のサンゴの種の44%が絶滅の危機にあるといわれる。24年に沖縄県で実施された調査では、調査範囲の約9割で白化が確認された地点もあった。
「“ストップ温暖化”みたいなセリフを見ると、もうそんなレベルじゃないって思います。気候変動はどんどん進むから、それに適応しないといけない」
そうした環境の変化に適応を始めているのが、「さんご畑」で養殖されている「ミラクルコーラル(奇跡のサンゴ)」だ。
「ミラクルコーラル」の説明をする金城浩二代表
「ミラクルコーラル」の説明をする金城浩二代表
施設では当初、太陽光の影響を受けにくい、水深の深いところでサンゴを養殖していた。しかし、ある時、子どもたちから「サンゴがよく見えない」との声が寄せられた。
どうにか浅瀬でも養殖できないかと試行錯誤。すると、水面ぎりぎりで育て、海に植え付けたサンゴのうち、白化現象の中でも生き残っているものがいくつかあった。こうした、高水温に耐性を持つ「ミラクルコーラル」に関する論文は、オックスフォード大学出版局でも紹介され、研究が続いている。
施設では当初、太陽光の影響を受けにくい、水深の深いところでサンゴを養殖していた。しかし、ある時、子どもたちから「サンゴがよく見えない」との声が寄せられた。
どうにか浅瀬でも養殖できないかと試行錯誤。すると、水面ぎりぎりで育て、海に植え付けたサンゴのうち、白化現象の中でも生き残っているものがいくつかあった。こうした、高水温に耐性を持つ「ミラクルコーラル」に関する論文は、オックスフォード大学出版局でも紹介され、研究が続いている。
サンゴの植え付けを行っている海域。「さんご畑」の目の前に位置する
サンゴの植え付けを行っている海域。「さんご畑」の目の前に位置する
「海の種」社には、サンゴ研究に熱心な、金城代表に言わせると世界中の“サンゴオタク”たちからの問い合わせが来るという。取材時も、フランスの大学から来た研究者が作業をしていた。
「たぶん、地球を救うのは“オタク”だと思いますよ。気候変動とか、悲しいことはいっぱいあるけど、夢中で立ち向かえる“オタク”たちと、楽しみながら解決策を探していくのが、僕らの役割かなと思っています」
15年に国連でSDGsが採択されて以降、企業やメディアからの注目度も高まった。SDGs研修としてサンゴの苗づくりを行ったり、対象商品の購入に応じてサンゴの植え付けを支援したりする企業も出てきた。
インターネット上にあふれる“行動を伴わない批判の声”に惑わされるのではなく、具体的な行動を起こしている企業や団体を素直にたたえることが、私たち一人一人にできることではないか、と金城代表は力を込める。
「“昔の海はもっときれいだった”って、口で言うだけじゃなくて、“こんなにきれいな海があるんだ”って、実際に子どもたちに見せてやりたい。そのために1本でも多く、サンゴを増やしていきたいんです」
「海の種」社には、サンゴ研究に熱心な、金城代表に言わせると世界中の“サンゴオタク”たちからの問い合わせが来るという。取材時も、フランスの大学から来た研究者が作業をしていた。
「たぶん、地球を救うのは“オタク”だと思いますよ。気候変動とか、悲しいことはいっぱいあるけど、夢中で立ち向かえる“オタク”たちと、楽しみながら解決策を探していくのが、僕らの役割かなと思っています」
15年に国連でSDGsが採択されて以降、企業やメディアからの注目度も高まった。SDGs研修としてサンゴの苗づくりを行ったり、対象商品の購入に応じてサンゴの植え付けを支援したりする企業も出てきた。
インターネット上にあふれる“行動を伴わない批判の声”に惑わされるのではなく、具体的な行動を起こしている企業や団体を素直にたたえることが、私たち一人一人にできることではないか、と金城代表は力を込める。
「“昔の海はもっときれいだった”って、口で言うだけじゃなくて、“こんなにきれいな海があるんだ”って、実際に子どもたちに見せてやりたい。そのために1本でも多く、サンゴを増やしていきたいんです」
この取り組みに関わるSDGsの主な目標
この取り組みに関わるSDGsの主な目標
●ご感想をお寄せください
https://www.seikyoonline.com/intro/form/kansou-input-sdgs.html
●聖教電子版の「SDGs」特集ページが、以下のリンクから閲覧できます。
https://www.seikyoonline.com/summarize/sdgs_seikyo.html
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