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〈ブラボーわが人生 信仰体験〉第155回 102歳のイケイケドンドン 2025年4月5日

  • 「バカ言うて、笑うていこうやあ」
食卓で「ばあさんの言うことだから、訳が分からんじゃろ」と笑う浜野ミツノさん
食卓で「ばあさんの言うことだから、訳が分からんじゃろ」と笑う浜野ミツノさん

  
 【広島市中区】あっけらかんとした陽気こそ、人生に必要だ。浜野ミツノさん(102)=地区副女性部長=はいつも福々しいお顔で、笑いをまいていらっしゃる。
  

取材の日、たまたま子ども、孫、ひ孫、やしゃごがミツノさんの家に集まっていた。とてもにぎやかだった
取材の日、たまたま子ども、孫、ひ孫、やしゃごがミツノさんの家に集まっていた。とてもにぎやかだった
  
くるりんぱ

  
 どなたさん? 聖教新聞の人? 信心しとるん? 同志? なら良かった。どこの人か思うた。
 浜野でございます。よろしくね。むさ苦しい所じゃけど、上がりんさい。(台所の食卓で向かい合う)
 102歳の何がすごいん? おだててもダメ。あんまり冗談言うたら、転げるよ。(同居の三女・啓子さん〈75歳、副白ゆり長〉に)コーヒー入れたげて。
 そうよ、元気よ。いつもテレビ見ちゃあ、バカ言うて笑うとる。あんまりクヨクヨせんけえねえ。
 三食きっちり食べるよ。好きなのは牛肉じゃね。豚肉もええよ。♪肉~、肉~、焼き肉だいすき~。くるりんぱ。(こう言って明るく手のひらを返すしぐさを、よくやる)
 好きな御書? 急に聞いたらダメ。緊張する。サイダー飲も(ストローでチュウチュウ)。おいしっ。
 漢字習っとらんでしょ。字が分からんから、ノートに何回も書いたり、電信柱に貼ってある広告の字を見たりして覚えたよ。それで御書を読むんが大好きになった。
  

若かりし頃のミツノさんの写真を……
若かりし頃のミツノさんの写真を……
啓子さんと見る。「あんまりキレイじゃないねえ」「キレイなよ、お母さん」
啓子さんと見る。「あんまりキレイじゃないねえ」「キレイなよ、お母さん」

  
 朝晩の勤行は欠かさんよ。100歳超えて何にも分からんが、信心だきゃあ、やっていかにゃあ。信心は最高だからね。(記者に)あなたもやんなさいよ。やりよる? なら、ええわ。
 いつ信心したんか、覚えとらん。忘れた。(啓子さんによると、にぎやかな街の一角で八百屋をしていた1961年〈昭和36年〉に、餅屋から信心の話を聞き、素直に入会したらしい)
 うん、八百屋しよった。「いらっしゃい」「安いよ」。よう売れた。でも近くにスーパーができて、お客が来んけえ、閉めたんよ。なんで恨むんね。信心しよる者が、そんな細い心でどうするの。あなた、ほんまに信心しとるん? くるりんぱ。
  

  
命躍る師との出会い

  
 日銭がないじゃろ。お父さん(夫)が廃品回収したよ。夕方は折伏に歩いてからね。折伏できた時は、最高じゃね。この人を信心につかせたことが、うれしいんよ。
 お会いしとるよ、池田先生と。昭和44年(1969年)かいね。班長・班担当員(当時)の記念撮影会。素晴らしいよね。もったいないよね。尊敬する。
 池田先生の話をしたら、命が躍るねえ。「威風堂々の歌」の指揮を(映像で)見るたんび、胸がズキーンと熱うなる。
  

ひ孫からのプレゼント
ひ孫からのプレゼント
  
9歳の記者登場

  
 (ここで、やしゃごの陽登さん(9)=小学4年=が登場。たまたまミツノさんの家に泊まっていて、公園から帰ってきた。陽登さんは102歳と記者のやりとりに興味津々。なので、9歳の記者にバトンタッチした。
 「じゃあ聞くよ」
 「ええよ」
 「最近楽しかったことは?」
 「いつも楽しいよ」
 「好きな食べ物は?」
 「焼き肉とタケノコ」
 「つらかったことは?」
 「つらいことはない」
 「好きなスポーツは?」
 「野球。カープ」
 「一番きれいだったの何歳?」
 「今よ」
 「うそー!」
 「ほんま」
 笑い声の交じったラリーが楽しい)
  

何の話題だったか忘れたが、ミツノさんは、ぼやいていた。それもまた、楽しい
何の話題だったか忘れたが、ミツノさんは、ぼやいていた。それもまた、楽しい
  
人生、笑っていこうよ!

  
 ほうじゃね。これからは、笑いがなきゃダメよ。真面目くさっとったらダメ。笑うところに人が集まるけえね。笑うことよ。
 え、笑うんが私の学会活動? うまいこと言うねえ。くるりんぱ。(ミツノさんは足を組んで話す。それがかっこいい。かっこいいのだが、スリッパの先端が記者の脛に当たって、ちょっと痛い)
 いつも楽しいよ。最高の幸せつかんでるよ。信心を真面目にやったからね、今があるんよ。
 題目しかないね。題目あげていかにゃあ。「心こそ大切なれ」(新1623・全1192)じゃろ。御本尊様が(胸に手を当て)ここから離れんよ。
  

この計算問題を……
この計算問題を……
やしゃごと解く
やしゃごと解く

  
 一回も疑わん。疑うちゃあいけんよ。
 (つらい時は、信心を疑いたくなりますか?という質問を遮って)だから信心やるのよ。真っすぐ向いて行かにゃあ。何もすごうない。当たり前。
 つらかったら、空を見んさい。上向いたら、胸が開いて、ガンバロウいう気持ちになるよ。
 (啓子さんが「母はずっと心の中で題目をあげてるんだと思います」と感心する隣で、ミツノさんが耳打ちしていた。「この人、誰なん?」)
 最後の質問、何でしょう。これからの目標? 朝、目を開けること。ああ、今日も生きとる。御本尊様が、一日をくれたんじゃね。そう思うよ。
 まだ息止めんよ。
 まだ生きるよ。
 ……お邪魔?
 とにかくバカ言うて、笑うていこうやあ。
 え、今日帰るの? お愛想なしでごめんね。なんでここ来たん? 取材? 誰の?
  

2:02
後記

  
 誰にでもやってくる「老い」というものを、明るく楽しく受け止める。とぼけた語りと、とっておきのスマイルが武器。
 ミツノさんにとって題目とは?
 「命」と即答した。
 貧しさに耐えた過去。廃品回収をしていた頃、家族でインスタントラーメンだけの日が続いた。いばらの道。落ち込んで、ため息をつき、隣家の明るさをうらやんで……とはならなかった。
 信心していれば、絶対に幸せになる。その気持ちがずっとあった。
 貧しいのは、へっちゃら。学会活動が楽しくて、楽しくて。仕事が終われば「行ってくるよ!」と、スキップして玄関を出ていく。
 その姿を見て育った子どもたちは、父と母と同じ人生哲学を持った。
 

やしゃごを抱っこ。「おお、よしよし。かわいいねえ」
やしゃごを抱っこ。「おお、よしよし。かわいいねえ」

  
 勉強が今も大好き。地元紙に挟んである算数の計算問題を解く。掛け算。割り算。たまに間違える。食卓で頭をくっつけるようにして、やしゃごに教えてもらっている。
 この記事を書きながら、ふとミツノさんの声が聞きたくなった。電話すると啓子さんが出た。ちょうど陽登さんがいるというので、代わってもらった。
 明るい声で「おばあちゃん、まだ生きてるよ」。話芸は受け継がれているようだ。
 102歳なのに、いや、102歳だから元気ハツラツ絶好調。学会創立100周年のその先へ、ミツノさんの視界は良好。
 イケイケドンドン、くるりんぱ。(天)
  

陽登さんがタブレットで撮影したミツノさんの写真をにぎやかに確認。ミツノさんの周りには、笑い声がたくさんありました
陽登さんがタブレットで撮影したミツノさんの写真をにぎやかに確認。ミツノさんの周りには、笑い声がたくさんありました

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