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〈信仰体験〉 82歳のストリートピアニスト
〈信仰体験〉 82歳のストリートピアニスト
2025年1月9日
- 今日も元気で!
- 笑う門には
- 出会いが来たる
- 今日も元気で!
- 笑う門には
- 出会いが来たる
【埼玉県戸田市】駅でピアノを弾くおばあちゃんがいると聞き、JR戸田公園駅へ。すると駅構内に、リズミカルなメロディーが響いている。改札近くに置かれた、誰でも演奏できる“ストリートピアノ”。そこに、鍵盤の上で指を踊らせる小峰律子さん(82)=支部副女性部長=の姿があった――。
【埼玉県戸田市】駅でピアノを弾くおばあちゃんがいると聞き、JR戸田公園駅へ。すると駅構内に、リズミカルなメロディーが響いている。改札近くに置かれた、誰でも演奏できる“ストリートピアノ”。そこに、鍵盤の上で指を踊らせる小峰律子さん(82)=支部副女性部長=の姿があった――。
戸田公園駅のコンコースにあるピアノを弾く小峰律子さん
戸田公園駅のコンコースにあるピアノを弾く小峰律子さん
時折、道行く人が足を止め、その演奏に聴き入っている。
少しつっかえながら、最後の一音までたどり着いた。テクニックを超えた温かみが、その音色にはある。
弾き終えた小峰さんは会心の笑み。観衆に「聴いてくれてありがとね!」と、あめ玉をサービスしては大笑いしている。
「面白いおばあちゃんでしょ?(笑)」。そう言ってはまた、アッハッハ。寒さもなんのその。ほとんど毎日、通っているという。
弾いていたのは、学会歌「今日も元気で」。その曲名を地で行くような小峰さんは、この歌に何度も背中を押されてきた。
信心と巡り合ったのは20代。夫・登さん(83)=副支部長=と結婚し、戸田市に越してきた頃のこと。
当時の登さんは仕事が安定せず、二人はその日暮らし。借家の大家が創価学会員だった。二人の様子を見かね、「一度やってみてごらんよ」と。
1965年(昭和40年)、夫婦で入会。当初は御本尊に背を向けていた登さんも、男子部の先輩と意気投合し、学会活動に励むように。
しばらくして、「会社をやる!」と登さんが言い出し、建築金物の工場を始めた。
「こっからが大変だったのよ(笑)」
ゼロからのスタート。経営のノウハウもなく、赤字続き。不渡り手形も。
小峰さんの心は沈んだ。「こんなはずじゃなかったのに」と。夫婦の間にも、見えない溝が広がっていた。
その頃、婦人部(当時)の同志の間では、発表から間もない「今日も元気で」が、よく歌われていた。
時折、道行く人が足を止め、その演奏に聴き入っている。
少しつっかえながら、最後の一音までたどり着いた。テクニックを超えた温かみが、その音色にはある。
弾き終えた小峰さんは会心の笑み。観衆に「聴いてくれてありがとね!」と、あめ玉をサービスしては大笑いしている。
「面白いおばあちゃんでしょ?(笑)」。そう言ってはまた、アッハッハ。寒さもなんのその。ほとんど毎日、通っているという。
弾いていたのは、学会歌「今日も元気で」。その曲名を地で行くような小峰さんは、この歌に何度も背中を押されてきた。
信心と巡り合ったのは20代。夫・登さん(83)=副支部長=と結婚し、戸田市に越してきた頃のこと。
当時の登さんは仕事が安定せず、二人はその日暮らし。借家の大家が創価学会員だった。二人の様子を見かね、「一度やってみてごらんよ」と。
1965年(昭和40年)、夫婦で入会。当初は御本尊に背を向けていた登さんも、男子部の先輩と意気投合し、学会活動に励むように。
しばらくして、「会社をやる!」と登さんが言い出し、建築金物の工場を始めた。
「こっからが大変だったのよ(笑)」
ゼロからのスタート。経営のノウハウもなく、赤字続き。不渡り手形も。
小峰さんの心は沈んだ。「こんなはずじゃなかったのに」と。夫婦の間にも、見えない溝が広がっていた。
その頃、婦人部(当時)の同志の間では、発表から間もない「今日も元気で」が、よく歌われていた。
女性部の仲良し“戸田姉妹”が町を行く(中央が小峰さん)
女性部の仲良し“戸田姉妹”が町を行く(中央が小峰さん)
〽あかるい朝の
陽をあびて
今日も元気に
スクラムくんで
“とても、元気でいられるような気分じゃない”。周囲の楽しそうな表情を、うらやましいとも思った。
だがメンバーと接していく中で、ふと気が付いた。経済苦、家族や自身の病気……友の誰もが、悩みの渦中にあった。乗り越えた人だけが、明るいわけではなかった。「乗り越えるために、明るくなろうとしていた」。その生命の根っこには、池田先生がいた。
「人間革命」――入会した当初、小峰さんの心のひだに触れた言葉が胸に迫った。
一家の太陽に。小峰さんは毎朝、笑顔で夫を送り出すようにした。初めは、空元気だった。それでも日に日に、登さんと交わす言葉数が戻っていった。
さらに家計を支えるため、書道にも本格的に打ち込む。
教室を開き、地域の子どもたちを受け入れた。作品も少しずつ評価され、やがて雅号を持つまでに。
「こんなはずじゃなかったのにね(笑)」
喜寿を迎えると、小峰さんは教室を閉めた。「小峰先生」と呼ばれる環境に「慣れてしまっている自分」を、薄々感じてはいた。
自宅の玄関には、自身の筆で書写した池田先生の詩の一節が飾られている。
「私は/雨に打たれても/毅然と 咲く花だ!/仲間たちに/微笑みを分けてあげよう!」
いかなる時も、惜しみない励ましを送る師の心。
「私の方から人に感謝を伝えることが、少なくなってたのね」
そして思い立った。お世話になった方に手紙を書こう、と。
〽あかるい朝の
陽をあびて
今日も元気に
スクラムくんで
“とても、元気でいられるような気分じゃない”。周囲の楽しそうな表情を、うらやましいとも思った。
だがメンバーと接していく中で、ふと気が付いた。経済苦、家族や自身の病気……友の誰もが、悩みの渦中にあった。乗り越えた人だけが、明るいわけではなかった。「乗り越えるために、明るくなろうとしていた」。その生命の根っこには、池田先生がいた。
「人間革命」――入会した当初、小峰さんの心のひだに触れた言葉が胸に迫った。
一家の太陽に。小峰さんは毎朝、笑顔で夫を送り出すようにした。初めは、空元気だった。それでも日に日に、登さんと交わす言葉数が戻っていった。
さらに家計を支えるため、書道にも本格的に打ち込む。
教室を開き、地域の子どもたちを受け入れた。作品も少しずつ評価され、やがて雅号を持つまでに。
「こんなはずじゃなかったのにね(笑)」
喜寿を迎えると、小峰さんは教室を閉めた。「小峰先生」と呼ばれる環境に「慣れてしまっている自分」を、薄々感じてはいた。
自宅の玄関には、自身の筆で書写した池田先生の詩の一節が飾られている。
「私は/雨に打たれても/毅然と 咲く花だ!/仲間たちに/微笑みを分けてあげよう!」
いかなる時も、惜しみない励ましを送る師の心。
「私の方から人に感謝を伝えることが、少なくなってたのね」
そして思い立った。お世話になった方に手紙を書こう、と。
夫・登さん㊧と。多難だった歩みは「もう笑い話よ」と小峰さん。一緒に過ごせる日々に感謝がにじむ
夫・登さん㊧と。多難だった歩みは「もう笑い話よ」と小峰さん。一緒に過ごせる日々に感謝がにじむ
戸田市に住んで半世紀。教え子、なじみの店、同志……気が付けば、50年分の思いをつづった便せんは、250枚にもなった。
やりとりのあった書道の教え子に、ピアノ教室で講師をしている女性がいた。「ちょっとした手習いのつもり」で、教えを請うた。
弾いてみたい曲の希望を尋ねられると、即座に「今日も元気で」を選んだ。
〽うれしい時も
かなしい時も
かわす言葉は
先生 先生
われらの先生
工場が苦境を脱しても、夫の病など試練は続いた。そのたびに、師と対話するように口ずさんできた歌。慣れない指運びで、一音一音、感謝を込めるように練習を重ねた。
小峰さんがピアノを習い出した頃は、コロナ禍で同志の気分も沈みがち。そこで女性部の友が、会合で演奏を披露してほしいと。
覚えたての曲を、皆が拍手で喜んでくれた。「で、味をしめちゃったのよ(笑)」
「人間革命の歌」「エリーゼのために」……気合が入り、2曲、3曲とレパートリーを増やしていった。
昨年、駅のストリートピアノの存在を知る。恐る恐る、小峰さんも弾いてみた。「スゴいですね!」。一期一会の出会いが、うれしかった。
晴れの日も、雨の日も通いつめた。学会歌を奏でれば、「何の曲ですか?」と対話が始まり、「エーデルワイス」や「荒城の月」を弾けば、知っている人が歌い出し、即席のコンサートになった。
「法華経を信ずる人は、さいわいを万里の外よりあつむべし」(新2037・全1492)
笑う門には福来たる。
「もう、毎日がエピソード!」
小峰さんの笑顔あるところ、新たな出会いの輪が広がっている。
戸田市に住んで半世紀。教え子、なじみの店、同志……気が付けば、50年分の思いをつづった便せんは、250枚にもなった。
やりとりのあった書道の教え子に、ピアノ教室で講師をしている女性がいた。「ちょっとした手習いのつもり」で、教えを請うた。
弾いてみたい曲の希望を尋ねられると、即座に「今日も元気で」を選んだ。
〽うれしい時も
かなしい時も
かわす言葉は
先生 先生
われらの先生
工場が苦境を脱しても、夫の病など試練は続いた。そのたびに、師と対話するように口ずさんできた歌。慣れない指運びで、一音一音、感謝を込めるように練習を重ねた。
小峰さんがピアノを習い出した頃は、コロナ禍で同志の気分も沈みがち。そこで女性部の友が、会合で演奏を披露してほしいと。
覚えたての曲を、皆が拍手で喜んでくれた。「で、味をしめちゃったのよ(笑)」
「人間革命の歌」「エリーゼのために」……気合が入り、2曲、3曲とレパートリーを増やしていった。
昨年、駅のストリートピアノの存在を知る。恐る恐る、小峰さんも弾いてみた。「スゴいですね!」。一期一会の出会いが、うれしかった。
晴れの日も、雨の日も通いつめた。学会歌を奏でれば、「何の曲ですか?」と対話が始まり、「エーデルワイス」や「荒城の月」を弾けば、知っている人が歌い出し、即席のコンサートになった。
「法華経を信ずる人は、さいわいを万里の外よりあつむべし」(新2037・全1492)
笑う門には福来たる。
「もう、毎日がエピソード!」
小峰さんの笑顔あるところ、新たな出会いの輪が広がっている。
小峰さん、笑顔満開。「出会いが楽しい!」。人と触れ合う喜びに満ちている
小峰さん、笑顔満開。「出会いが楽しい!」。人と触れ合う喜びに満ちている