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〈教育〉 夏休み、子どもとキッチンに立ってみませんか 2025年7月24日

体験はすてきなギフト
こどもキッチン主宰 石井由紀子さん

 子どもと一緒にキッチンに立つことは、食育の良い機会です。親の心構えや、料理道具の選び方、気を付けたいポイントについて、親子料理教室こどもキッチン主宰の石井由紀子さんに聞きました。
 
 
 

◆成長の機会

 「お手伝いする!」と言って子どもがキッチンに来ると、面倒に感じてしまうこともあるでしょう。しかし、子どもの「何でもやってみたい時期」はずっと続くものではありません。子どもが意欲を見せた時こそ、一緒に料理をする絶好のチャンスです。
 料理を通して得られるものは多岐にわたります。まず、親子のコミュニケーションが豊かになります。「これ、どうするの?」「こうやって切るんだよ」など、会話が自然と生まれ、親子の絆がより強まります。
 まだ手先を器用に動かせない年齢の子にとっては、「ちぎる」「混ぜる」「たたく」「注ぐ」といった動作そのものが、身体能力を育むトレーニングになります。
 また、主体性や段取り力も養われます。未就学児の頃から料理に親しんでいれば、小学3~4年生で、冷蔵庫の中を見て「この食材があれば〇〇が作れる」と、自分でレシピを考えて作れるようになる子もいます。
 子どもは本能的に「自分で何でもできるようになりたい」という気持ちを持っています。それをかなえる環境がキッチンにあります。
 わが家も、子どもが小さい時から一緒に料理をしてきました。先日、家族に「今日は忙しいから、ご飯は各自でお願いします」と連絡したら、大学生の娘が夜ご飯を用意してくれました。子どもが自炊できれば、いつか親元を離れる時にも安心です。
 
 
 

◆ゆるい構え

 親は「ゆるい構え」でいることが大事だと思います。「やりたいなら、やってもらおうかな」「やらないなら、そういう日もあるか」くらいの気楽さがポイントです。
 例えば、親が準備しても、子どもの気持ちが変わって「やらない」と言い出すこともあります。そんな時は、「もし、やりたくなったら教えてね」と伝え、あっさり引き下がるのがコツです。「やる=正解、やらない=不正解」なのではありません。「やる」と、子ども本人が自分で決めることは安全のために重要ですし、「やる」と決めてやると、できるようになるのも早いものです。さらに「環境を用意したけれども、やる・やらないはあなた次第」という関わり方は、子どもの自己決定力や主体性を育みます。
 また、料理は「調理」だけではありません。「料理」と聞くと、多くの人が包丁で切ったり、炒めたりする「調理」をイメージしがちですが、実際には、献立を考えるところから始まり、買い物、調理、盛り付け、配膳、皿洗い、食器拭きなど、一連のプロセスがあります。
 忙しくて余裕がない親御さんも、視野を広げて考えれば、箸を並べる、お皿を運ぶなど、調理以外の部分で子どもにお願いできそうなことが見つかるかもしれません。
 
 
 

◆火気のルールを

 子どもをキッチンに入れる時は、まず「火気の扱い」のルールを決めましょう。
 未就学児なら「火を付けるのは大人の仕事。子どもは触らない」、小学生なら「火を付けてもいいけど、大人と一緒の時だけ」など、年齢に応じて決めてください。
 包丁を持つタイミングは、子どもが自分の指先や体を自由に動かせる身体能力、どこを触ったら危ないかが分かる理解力がついてからです。刃物の扱い方を紹介しますので、参考にしてください。子どもの包丁を選ぶポイントは次の3点です。
 
 ① 切れ味が良い(切れ味が悪いと余計な力が入ってしまい、かえって危険)
 ② 刃渡り10~12センチ(子どもの手になじみ、扱いやすいサイズ)
 ③ 形が大人と同じ(三徳包丁など)
 
 泡立て器を持って上手に混ぜられていれば、包丁も使えると思います。
 まだ早いかなと思う場合は、のりをちぎる、卵を混ぜるなど、刃物を使わずにできる料理から始めましょう。
 一緒に料理を作り、「おいしいね」といって食卓を囲む。そんな料理の体験は子どもへのすてきなギフトになります。一緒に過ごす時間が増える夏休み、お子さんとキッチンに立ってみませんか。
 
 
 

《刃物の扱い方》

 練習には「キュウリ」がオススメ。縦半分にカットし、まな板に切断面がつくように置くと転がらない。
 

●包丁

 まず親が①~④を言葉で説明し、⑤⑥の動作をだまってゆっくりと子どもに見せる。その後、子どもがチャレンジする。

 ① 包丁の切れるところは絶対に指で触らない(刃を指して)
 ② 持つところはココ(持ち手を持って見せる)
 ③ 包丁の刃とキュウリをくっつけて
 ④ 左手はキュウリが動かないように持つ
 ⑤ ゆっくり切る(キュウリは手前から向こうへ刃を滑らせるように切る)
 ⑥ 右端から左へ切っていき、持つところがなくなってきたら、おしまい

<ポイント>
・まな板の下にぬれ布巾や滑り止めマットを敷いて固定する。
 
・子どもが切り始めたら、刃が指にかぶるなどの危ないことがない限り、声をかけない。褒め言葉でも、子どもの気が散って危険。
 
・慣れてきたら、丸ごとキュウリ(縦半分に切らない)にもチャレンジ! 硬めの野菜(ニンジンやカボチャなど)は、あらかじめ薄くスライスしたものを切ることからスタートするとよいでしょう。
 
 

 記者が子どもと包丁を使ってみました!

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●ピーラー

包丁と同様、切れ味がいいものを選ぶ。刃に勢いがつくため、手に当たると傷が深くなりがち。親が①②を言葉で説明し、③④の動作をゆっくりと子どもに見せる。その後、子どもがチャレンジする。

 ① ピーラーの刃は絶対に指で触らない(刃を指して)
 ② 持つところはココ(持ち手を持って見せる)
 ③ まな板の上に野菜を置き、左手で持つ
 ④ 右手にピーラーを持ち、刃を食材の中央にあて、右に引いて皮をむく。左手で少しずつ回しながら皮をむき、一周したら、野菜の左右を逆にして、もう片側の皮をむく

 ※左利きの場合は左右を逆に
 
 
 

《おすすめメニュー》

<初級>
・おいしくご飯を炊く
・あさりのみそ汁
・カリカリ油揚げとたたきキュウリのあえ物★
・おにぎらず★

<中級>
・カレーライス
・ケチャップオムライス
・卵焼き
・野菜のみそ汁

<上級>
・ハンバーグ
・ロールキャベツ
・マーボー豆腐
・唐揚げ
・お弁当 

 ★のレシピは下記に紹介しています。
 
 
 

◆カリカリ油揚げとたたきキュウリのあえ物

 表面をカリッとさせた油揚げとしょうゆ味が染み込んだキュウリ。まったく違う二つの食感を味わえる。包丁や火を扱いますが、調理時間は短めで初心者向け。
 

材料(4人分)

 キュウリ……2本
 しょうゆ……小さじ2
 油揚げ……1枚
 米酢……小さじ1
 ごま油……小さじ1
 
 

作り方

 ❶ キュウリはヘタを取り、すりこぎ(すり鉢と使う棒)などでたたき、少し割れたら、包丁で食べやすい大きさに切る。(包丁を使わない場合は、手でちぎってもよい)
 ❷ ボウルに❶のキュウリとしょうゆを入れ、全体をよく混ぜて10分置いてなじませる。
 ❸ 油揚げを短冊切りする。フライパンに入れ、弱火でじっくりと表面がカリッとするまで焼く。両面を焼く。
 ❹ ❷に酢とごま油を加えてあわせたら、❸の油揚げも加え全体を混ぜる。
 
 

◆鮭と枝豆のおにぎらず

 のり、ご飯、具、ご飯……と食材を重ねて包むプロセスに、工作のような楽しさがあるおにぎらず。サンドイッチのように両手で持ってパクッといただきます。おにぎりでおなじみの鮭マヨもおにぎらずの形になると、まったく別のお料理のように感じるから不思議です。鮭をツナにしたり、青しその千切りをプラスしてみたり……具のアレンジで新しいおいしさを発見するのも楽しいです。

材料(4個分)

 塩鮭(薄塩)……1切れ(100g)
 梅干し……1/2個(または、練り梅……小さじ1/2)
 マヨネーズ……大さじ1
 ご飯……300g
 焼きのり(全形)……2枚
 枝豆……100g(さや付き・ゆがいた状態)(冷凍枝豆も可)
 
 

作り方

 ❶ 鮭はグリルで焼く。粗熱が取れたら皮と骨を取り除いて器に入れる。さらに梅干しの種を取った実部分とマヨネーズを加える。鮭と梅干しを細かくほぐすようにスプーンで混ぜる。
 ❷ 炊いたご飯はボウルに入れて4等分にする。
 ❸ 大きめに切ったラップに焼きのりを置く。ご飯の1/4量をのりの中央に置く。

 ❹ ❸のご飯の上に1の鮭を半量のせ、枝豆も半量のせ、その上にご飯1/4量をのせる。
 ❺ のりを四方から折り畳み、ラップで全体をくるむ。2個作る。
 ❻ ラップごと半分に切る。
 
 

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