「男性だから」「女性だから」――物事を決める時、そんな風に考えていませんか?
「男性だから」「女性だから」――物事を決める時、そんな風に考えていませんか?
2026年4月24日
- 〈SDGs×SEIKYO〉 NPO法人「Gender Action Platform」理事 大崎麻子さん
- 〈SDGs×SEIKYO〉 NPO法人「Gender Action Platform」理事 大崎麻子さん
「男性だから」「女性だから」――物事を決める時、そんな風に考えたことはありませんか? 実は、そうした無意識の規範が、あなたや周囲の人々の中に眠る「可能性」の芽を摘み取っているかもしれません。NPO法人「Gender Action Platform」理事で、「国連女性の地位委員会」日本代表の大崎麻子さんに、SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」をテーマに話を聞きました。(取材=田川さくら、樹下智)
「男性だから」「女性だから」――物事を決める時、そんな風に考えたことはありませんか? 実は、そうした無意識の規範が、あなたや周囲の人々の中に眠る「可能性」の芽を摘み取っているかもしれません。NPO法人「Gender Action Platform」理事で、「国連女性の地位委員会」日本代表の大崎麻子さんに、SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」をテーマに話を聞きました。(取材=田川さくら、樹下智)
――ジェンダーの専門家として知られる大崎さんですが、元々は全く違うキャリアを目指していたそうですね。
私は大学卒業と同時に結婚し、23歳の時にアメリカへ移住しました。新聞記者を志し、メディア専攻で現地の大学院にも合格。しかし、授業開始の1カ月前、妊娠が分かったのです。
つわりがひどく、泣く泣く大学院の事務局へ行きました。「妊娠したので、入学を辞退しようと思います……」。すると担当者の返事は「どうして?」。「あなたみたいな人は他にもいるし、勉強も子育ても両立すればいいじゃない!」と。
私自身、自主性を重んじる家庭で育ち、「女性だから」と何かを制限されたことはありません。それでも当時は、妊娠・出産すれば、女性は全てを投げ出さなければいけないと思っていました。無意識の偏見に、はたと気づいた瞬間でした。
とはいっても、メディア科目では実習が多く、つわりを思うと、到底、やり遂げられそうにありません。不安を伝えると、大学院側は驚くほど柔軟で、専攻を人権・人道の分野に変えることになりました。
大学院修了後は、1997年からUNDP(国連開発計画)で働くことに。途上国のジェンダー課題や女性のエンパワーメント(自分の人生を自分で選び取れるようにするための支援と環境づくり)に携わり、子どもを連れていろんな国へ出張しました。
――ジェンダーの専門家として知られる大崎さんですが、元々は全く違うキャリアを目指していたそうですね。
私は大学卒業と同時に結婚し、23歳の時にアメリカへ移住しました。新聞記者を志し、メディア専攻で現地の大学院にも合格。しかし、授業開始の1カ月前、妊娠が分かったのです。
つわりがひどく、泣く泣く大学院の事務局へ行きました。「妊娠したので、入学を辞退しようと思います……」。すると担当者の返事は「どうして?」。「あなたみたいな人は他にもいるし、勉強も子育ても両立すればいいじゃない!」と。
私自身、自主性を重んじる家庭で育ち、「女性だから」と何かを制限されたことはありません。それでも当時は、妊娠・出産すれば、女性は全てを投げ出さなければいけないと思っていました。無意識の偏見に、はたと気づいた瞬間でした。
とはいっても、メディア科目では実習が多く、つわりを思うと、到底、やり遂げられそうにありません。不安を伝えると、大学院側は驚くほど柔軟で、専攻を人権・人道の分野に変えることになりました。
大学院修了後は、1997年からUNDP(国連開発計画)で働くことに。途上国のジェンダー課題や女性のエンパワーメント(自分の人生を自分で選び取れるようにするための支援と環境づくり)に携わり、子どもを連れていろんな国へ出張しました。
UNDP職員時代、大崎さんは何度も子連れ出張を経験。働くママを応援するのが職場の風土で、仕事と子育てを両立する女性が多かった(本人提供)
UNDP職員時代、大崎さんは何度も子連れ出張を経験。働くママを応援するのが職場の風土で、仕事と子育てを両立する女性が多かった(本人提供)
――途上国では、何度も女性差別を目の当たりにしたのだとか……。
カンボジアに行った時のことです。そこには私と同じように、わが子を愛する「お母さん」がたくさんいました。しかし、男性とは違って、彼女たちは教育が受けられず、経済力が乏しかった。シングルマザーの中には、掘っ立て小屋で売春をし、子どもを養っている人もいました。
子どもが病気になっても、病院にさえ連れて行けない。彼女たちにできるのは、ただ無事を祈ることだけ。そんな姿を目にし、女性のエンパワーメント、ジェンダー平等の推進に生きようと心に火が付きました。
実は、こうした途上国の女性を支援すべく、日本は長年、多額の資金を出資してきました。しかしUNDP退職後、日本に帰国して驚いたんです。援助国とは思えないほど、至る所にジェンダー格差があったからです。
――途上国では、何度も女性差別を目の当たりにしたのだとか……。
カンボジアに行った時のことです。そこには私と同じように、わが子を愛する「お母さん」がたくさんいました。しかし、男性とは違って、彼女たちは教育が受けられず、経済力が乏しかった。シングルマザーの中には、掘っ立て小屋で売春をし、子どもを養っている人もいました。
子どもが病気になっても、病院にさえ連れて行けない。彼女たちにできるのは、ただ無事を祈ることだけ。そんな姿を目にし、女性のエンパワーメント、ジェンダー平等の推進に生きようと心に火が付きました。
実は、こうした途上国の女性を支援すべく、日本は長年、多額の資金を出資してきました。しかしUNDP退職後、日本に帰国して驚いたんです。援助国とは思えないほど、至る所にジェンダー格差があったからです。
ジェンダー格差を目の当たりにした、カンボジア出張。内戦の傷跡が深く、劣悪な衛生環境の中で暮らす人々を支援した(中央が大崎さん、写真は本人提供)
ジェンダー格差を目の当たりにした、カンボジア出張。内戦の傷跡が深く、劣悪な衛生環境の中で暮らす人々を支援した(中央が大崎さん、写真は本人提供)
見えてきた“構造”
見えてきた“構造”
――その一つが、2011年に起きた東日本大震災の被災地での光景ですね。
全てが壊された環境の中で、浮き彫りになったのはジェンダー格差でした。
例えば労働でいうと、男性が中心となって担う、がれき処理は有償なのに、女性中心で行う炊き出しは無償……。女性の役割を“家庭内での無料奉仕”とする無意識の規範が隠れていました。
こうした格差の影響を最も受けたのがシングルマザーです。実はシングルマザーが抱える課題には、その社会のジェンダー問題が集約されています。
彼女たちの中には、配偶者からの暴力が原因で離婚した人もいます。女性が弱い立場にあること自体も問題ですが、避難所では、離婚後も追ってくる元配偶者から女性を守る配慮が欠けていた。身を隠すため、半壊した家に子どもと住み続けざるを得ない人もいました。
本来、心身ともにダメージを受けている彼女たちは、速やかに生活保護につながるべき状況にあります。しかし、沿岸部の小さな町では、役場に行くだけで受給の事実が周囲に知られてしまう。「好きで離婚したのに」などと、やゆされるのを恐れ、制度を利用しない人もいました。
その上、女性の賃金は男性より低く、複数の仕事を掛け持ちせざるを得ない。母子共に、厳しい生活を強いられ、追いつめられてしまうのです。それには、途上国で見てきた景色と重なる部分がありました。
――昨年、世界経済フォーラムが発表した、世界各国の男女格差を数値で表す「ジェンダーギャップ指数」でも、日本は148カ国中118位と低迷しています。近年、国内のさまざまな社会課題にジェンダー不平等が関係していることがデータで分かってきました。
これまでジェンダー問題というと、個人の体験に基づいて、“情”に訴える形で語られることが多くありました。もちろん個人の体験は大切です。その上で、一人を守る政策を作るとなると、問題の構造を把握しなければならず、データの収集・分析が欠かせません。
例えば、近頃、問題視されている地方の過疎化には、若年女性の流出が深く関係しています。では、なぜ若い女性は地方を離れてしまうのか。その要因の一つがジェンダー不平等と考えられます。
兵庫県豊岡市は、人口減少対策として、若者にとって魅力的な町をつくろうと努力してきました。
――その一つが、2011年に起きた東日本大震災の被災地での光景ですね。
全てが壊された環境の中で、浮き彫りになったのはジェンダー格差でした。
例えば労働でいうと、男性が中心となって担う、がれき処理は有償なのに、女性中心で行う炊き出しは無償……。女性の役割を“家庭内での無料奉仕”とする無意識の規範が隠れていました。
こうした格差の影響を最も受けたのがシングルマザーです。実はシングルマザーが抱える課題には、その社会のジェンダー問題が集約されています。
彼女たちの中には、配偶者からの暴力が原因で離婚した人もいます。女性が弱い立場にあること自体も問題ですが、避難所では、離婚後も追ってくる元配偶者から女性を守る配慮が欠けていた。身を隠すため、半壊した家に子どもと住み続けざるを得ない人もいました。
本来、心身ともにダメージを受けている彼女たちは、速やかに生活保護につながるべき状況にあります。しかし、沿岸部の小さな町では、役場に行くだけで受給の事実が周囲に知られてしまう。「好きで離婚したのに」などと、やゆされるのを恐れ、制度を利用しない人もいました。
その上、女性の賃金は男性より低く、複数の仕事を掛け持ちせざるを得ない。母子共に、厳しい生活を強いられ、追いつめられてしまうのです。それには、途上国で見てきた景色と重なる部分がありました。
――昨年、世界経済フォーラムが発表した、世界各国の男女格差を数値で表す「ジェンダーギャップ指数」でも、日本は148カ国中118位と低迷しています。近年、国内のさまざまな社会課題にジェンダー不平等が関係していることがデータで分かってきました。
これまでジェンダー問題というと、個人の体験に基づいて、“情”に訴える形で語られることが多くありました。もちろん個人の体験は大切です。その上で、一人を守る政策を作るとなると、問題の構造を把握しなければならず、データの収集・分析が欠かせません。
例えば、近頃、問題視されている地方の過疎化には、若年女性の流出が深く関係しています。では、なぜ若い女性は地方を離れてしまうのか。その要因の一つがジェンダー不平等と考えられます。
兵庫県豊岡市は、人口減少対策として、若者にとって魅力的な町をつくろうと努力してきました。
「小さな世界都市」を目指し、持続可能な地域づくりに取り組む兵庫県豊岡市には、国内外からの視察が絶えない
「小さな世界都市」を目指し、持続可能な地域づくりに取り組む兵庫県豊岡市には、国内外からの視察が絶えない
そうした中、市は10代で町を出ていった若者が20代でどのくらい戻ってきたかを把握する独自の指標「若者回復率」を算出。結果は、男性の回復率は上昇したものの、女性は下がり続けていたのです。女性の回復率は男性の半分ほど。男性の回復率が景気に左右される一方、女性の回復率は長年にわたって低いことも分かりました。
そこで、若い女性にヒアリング調査を行ったところ、見えてきた課題がジェンダー不平等でした。性別役割分担を前提とする職場や地域社会への違和感や息苦しさ――。こうした公正さの欠如は後に、男女の雇用形態や平均給与収入額等のデータから裏付けられました。
当時、豊岡市長だった男性は、この結果を真摯に受け止め、ワークショップ等の開催を決定。まずは企業を中心に男女格差の解消に努めました。
具体的には、性別に関係なく、誰もが働きやすく、働きがいを感じられる事業所を増やそうと、「豊岡市ワークイノベーション表彰~あんしんカンパニー~」制度を導入。これは、有給休暇や育児休業の取得状況、人事評価制度の明文化など、多岐にわたって事業所を審査し、男女双方の従業員の満足度も含め、高い水準に達していれば、表彰するというものです。
表彰を受けた事業所は、企業説明会の場などで指定のロゴマークが使用でき、「働きやすい企業」というブランドを確立することができます。
私も2019年から豊岡市のジェンダー平等推進アドバイザーを務めていますが、企業における人材配置や働き方に変化が表れ、地域のコミュニティーでも意識変革が見られ始めています。
そうした中、市は10代で町を出ていった若者が20代でどのくらい戻ってきたかを把握する独自の指標「若者回復率」を算出。結果は、男性の回復率は上昇したものの、女性は下がり続けていたのです。女性の回復率は男性の半分ほど。男性の回復率が景気に左右される一方、女性の回復率は長年にわたって低いことも分かりました。
そこで、若い女性にヒアリング調査を行ったところ、見えてきた課題がジェンダー不平等でした。性別役割分担を前提とする職場や地域社会への違和感や息苦しさ――。こうした公正さの欠如は後に、男女の雇用形態や平均給与収入額等のデータから裏付けられました。
当時、豊岡市長だった男性は、この結果を真摯に受け止め、ワークショップ等の開催を決定。まずは企業を中心に男女格差の解消に努めました。
具体的には、性別に関係なく、誰もが働きやすく、働きがいを感じられる事業所を増やそうと、「豊岡市ワークイノベーション表彰~あんしんカンパニー~」制度を導入。これは、有給休暇や育児休業の取得状況、人事評価制度の明文化など、多岐にわたって事業所を審査し、男女双方の従業員の満足度も含め、高い水準に達していれば、表彰するというものです。
表彰を受けた事業所は、企業説明会の場などで指定のロゴマークが使用でき、「働きやすい企業」というブランドを確立することができます。
私も2019年から豊岡市のジェンダー平等推進アドバイザーを務めていますが、企業における人材配置や働き方に変化が表れ、地域のコミュニティーでも意識変革が見られ始めています。
ジェンダー格差の解消へ行動宣言を行う、豊岡市ジェンダーギャップ解消戦略会議のメンバー(右端が大崎さん、写真は豊岡市提供)
ジェンダー格差の解消へ行動宣言を行う、豊岡市ジェンダーギャップ解消戦略会議のメンバー(右端が大崎さん、写真は豊岡市提供)
大崎さんの著作。共著の『豊岡メソッド』(日本経済新聞社)には、豊岡市のジェンダー格差解消への挑戦がつづられている
大崎さんの著作。共著の『豊岡メソッド』(日本経済新聞社)には、豊岡市のジェンダー格差解消への挑戦がつづられている
一人の人間の価値観
一人の人間の価値観
――SDGsの他の目標達成においても、ジェンダーの視点は欠かせません。
例えば、目標1「貧困をなくそう」は、どうでしょうか。貧困に陥りやすい層を見ると、その傾向はシングルマザーに顕著です。また、高齢者のくくりでは、生涯賃金が低く、低年金であることを背景に、男性よりも女性の貧困率の方が高くなっています。
性別役割分担を前提とする環境、そして特定の職種や業種に男女が偏る「職域分離」や、非正規雇用に女性が多く集中しているといった雇用構造――。こうした要因が積み重なり、結果として収入面での男女間のギャップが生まれています。労働市場でのジェンダー格差が、あらゆる世代の貧困問題の構造を形作っていることは明らかです。
近年では、「女性の管理職が多い」とうたう企業も増えています。女性の管理職が増えること自体は重要ですが、それだけでジェンダー格差が解消されるわけではありません。同じ企業の中で、誰がどのような職種や雇用形態に就いているのか、そしてその結果として生じる男女間の賃金差異をどれだけ縮められるか。ここに本当の意味での格差是正があります。
また、目標16「平和と公正をすべての人に」にもジェンダーが絡んでいます。
先月、私は米ニューヨークで行われた、第70回「国連女性の地位委員会」に参加しました。
同委員会は、国連憲章に掲げられた男女平等を実現すべく、国連加盟国や市民社会団体などが集まり、法的枠組みの制定や進捗状況を確認する場です。今回、議論されたことは「すべての女性と少女のための司法へのアクセスの確保と強化」でした。
世界ではこれまで、女性の権利を守るべく、数々の法整備が進められてきました。しかし、その実効性には依然、課題が残ります。
例えば、日本では23年に不同意性交等罪が施行されましたが、その運用に当たっては、司法の現場におけるジェンダーに関する認識や、無意識の偏見が判断に影響を及ぼさないかという点も問われています。
具体的には、「明確に拒否していない場合は同意があったのではないか」「一度、関係があれば拒否は想定しにくいのではないか」といった性暴力に関する固定的な見方や、被害者の言動に着目して責任を過度に問うてしまう偏見が、判断に入り込む可能性はないのか、という点が指摘されています。これは議論の一部ですが、法をより実態に即したものにすべく、委員会では投票を経て、合意結論が採択されました。
また議論の上で大事な点は、「少女」も含まれているかどうかです。特に若年女性は暴力に対し脆弱で、彼女たちのエンパワーメントはSDGsでも重要視されています。
――SDGsの他の目標達成においても、ジェンダーの視点は欠かせません。
例えば、目標1「貧困をなくそう」は、どうでしょうか。貧困に陥りやすい層を見ると、その傾向はシングルマザーに顕著です。また、高齢者のくくりでは、生涯賃金が低く、低年金であることを背景に、男性よりも女性の貧困率の方が高くなっています。
性別役割分担を前提とする環境、そして特定の職種や業種に男女が偏る「職域分離」や、非正規雇用に女性が多く集中しているといった雇用構造――。こうした要因が積み重なり、結果として収入面での男女間のギャップが生まれています。労働市場でのジェンダー格差が、あらゆる世代の貧困問題の構造を形作っていることは明らかです。
近年では、「女性の管理職が多い」とうたう企業も増えています。女性の管理職が増えること自体は重要ですが、それだけでジェンダー格差が解消されるわけではありません。同じ企業の中で、誰がどのような職種や雇用形態に就いているのか、そしてその結果として生じる男女間の賃金差異をどれだけ縮められるか。ここに本当の意味での格差是正があります。
また、目標16「平和と公正をすべての人に」にもジェンダーが絡んでいます。
先月、私は米ニューヨークで行われた、第70回「国連女性の地位委員会」に参加しました。
同委員会は、国連憲章に掲げられた男女平等を実現すべく、国連加盟国や市民社会団体などが集まり、法的枠組みの制定や進捗状況を確認する場です。今回、議論されたことは「すべての女性と少女のための司法へのアクセスの確保と強化」でした。
世界ではこれまで、女性の権利を守るべく、数々の法整備が進められてきました。しかし、その実効性には依然、課題が残ります。
例えば、日本では23年に不同意性交等罪が施行されましたが、その運用に当たっては、司法の現場におけるジェンダーに関する認識や、無意識の偏見が判断に影響を及ぼさないかという点も問われています。
具体的には、「明確に拒否していない場合は同意があったのではないか」「一度、関係があれば拒否は想定しにくいのではないか」といった性暴力に関する固定的な見方や、被害者の言動に着目して責任を過度に問うてしまう偏見が、判断に入り込む可能性はないのか、という点が指摘されています。これは議論の一部ですが、法をより実態に即したものにすべく、委員会では投票を経て、合意結論が採択されました。
また議論の上で大事な点は、「少女」も含まれているかどうかです。特に若年女性は暴力に対し脆弱で、彼女たちのエンパワーメントはSDGsでも重要視されています。
第70回「国連女性の地位委員会」の議論の席上、日本代表として発言する大崎さん(先月、ニューヨークで) ©UN Women
第70回「国連女性の地位委員会」の議論の席上、日本代表として発言する大崎さん(先月、ニューヨークで) ©UN Women
――同委員会には、SGI(創価学会インタナショナル)も市民社会団体として参加しました。現在、SGIは仏法の生命尊厳の理念に基づき、ジェンダー平等の推進に貢献すべく、多彩な取り組みを展開しています。
私は、社会課題の解決において、FBO(信仰を基盤とする団体)が果たす役割は大きいと思います。
環境を整備するためには、データを分析し、問題の構造に即した政策作りが不可欠です。
その上で、社会は人と人との関係の中で成り立ち、一人一人の価値観や意識が、日々の選択や行動を通じて社会に影響を及ぼしています。そうした「価値観」に働きかけることができるのが、FBOの大きな強みだと考えています。
人間の尊厳を基盤に、より良い生き方を示していく。そして性別にかかわらず、一人一人が持つ可能性を信じ、それを最大限に発揮できる社会を目指していくことは、人権の尊重そのものであり、ジェンダー平等とも深く結びついています。
また、FBOは世代や地域、国境を超えて、人と人とをつなぐ力を持っています。そのネットワークを通じて、共通の価値観や連帯が育まれることは、誰一人取り残さない社会の実現に向けて大きな力になると思います。
――同委員会には、SGI(創価学会インタナショナル)も市民社会団体として参加しました。現在、SGIは仏法の生命尊厳の理念に基づき、ジェンダー平等の推進に貢献すべく、多彩な取り組みを展開しています。
私は、社会課題の解決において、FBO(信仰を基盤とする団体)が果たす役割は大きいと思います。
環境を整備するためには、データを分析し、問題の構造に即した政策作りが不可欠です。
その上で、社会は人と人との関係の中で成り立ち、一人一人の価値観や意識が、日々の選択や行動を通じて社会に影響を及ぼしています。そうした「価値観」に働きかけることができるのが、FBOの大きな強みだと考えています。
人間の尊厳を基盤に、より良い生き方を示していく。そして性別にかかわらず、一人一人が持つ可能性を信じ、それを最大限に発揮できる社会を目指していくことは、人権の尊重そのものであり、ジェンダー平等とも深く結びついています。
また、FBOは世代や地域、国境を超えて、人と人とをつなぐ力を持っています。そのネットワークを通じて、共通の価値観や連帯が育まれることは、誰一人取り残さない社会の実現に向けて大きな力になると思います。
先月11日、米ニューヨークでSGIが主催した、「国連女性の地位委員会」の並行行事
先月11日、米ニューヨークでSGIが主催した、「国連女性の地位委員会」の並行行事
――一人一人の価値観も重要だということですね。
そうした意味では、世の中には無意識の偏見が多くあり、それらが意思決定を左右することがあります。 ジェンダーでいうと、「男は〇〇」「女は〇〇」といった無意識の規範が格差を生み、その先の課題をつくり出してきました。だからこそ、一人一人がジェンダー平等の視点を持って、物事を見ることが大事です。
女性が「女性はこうあるべきだ」という規範意識を打ち破ることも不可欠です。一方、男性中心社会では、権限・決定権・影響力を持つ男性が、さまざまな場面で「ジェンダー不平等は人権問題である」との意識で、変革者になっていくことが求められます。
今、ジェンダー不平等を自分の言葉で語り、ジェンダー平等のために奔走する男性リーダーが増えてきています。男性がジェンダーを語る時代が到来した――私はそう感じています。
――一人一人の価値観も重要だということですね。
そうした意味では、世の中には無意識の偏見が多くあり、それらが意思決定を左右することがあります。 ジェンダーでいうと、「男は〇〇」「女は〇〇」といった無意識の規範が格差を生み、その先の課題をつくり出してきました。だからこそ、一人一人がジェンダー平等の視点を持って、物事を見ることが大事です。
女性が「女性はこうあるべきだ」という規範意識を打ち破ることも不可欠です。一方、男性中心社会では、権限・決定権・影響力を持つ男性が、さまざまな場面で「ジェンダー不平等は人権問題である」との意識で、変革者になっていくことが求められます。
今、ジェンダー不平等を自分の言葉で語り、ジェンダー平等のために奔走する男性リーダーが増えてきています。男性がジェンダーを語る時代が到来した――私はそう感じています。
おおさき・あさこ 神奈川県出身。上智大学卒業後、コロンビア大学国際公共政策大学院修了。UNDP勤務時代はジェンダー平等、女性のエンパワーメントを担当し、現在はジェンダー専門家として活躍。「国連女性の地位委員会」日本代表のほか、NPO法人「Gender Action Platform」理事、早稲田大学教育学部の非常勤講師などを務める。
おおさき・あさこ 神奈川県出身。上智大学卒業後、コロンビア大学国際公共政策大学院修了。UNDP勤務時代はジェンダー平等、女性のエンパワーメントを担当し、現在はジェンダー専門家として活躍。「国連女性の地位委員会」日本代表のほか、NPO法人「Gender Action Platform」理事、早稲田大学教育学部の非常勤講師などを務める。
●ご感想をお寄せください
https://www.seikyoonline.com/intro/form/kansou-input-sdgs.html
●聖教電子版の「SDGs」特集ページが、以下のリンクから閲覧できます。
https://www.seikyoonline.com/summarize/sdgs_seikyo.html
●海外識者のインタビューの英語版が「創価学会グローバルサイト」に掲載されています。
https://www.sokaglobal.org/resources/expert-perspectives.html
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https://www.seikyoonline.com/intro/form/kansou-input-sdgs.html
●聖教電子版の「SDGs」特集ページが、以下のリンクから閲覧できます。
https://www.seikyoonline.com/summarize/sdgs_seikyo.html
●海外識者のインタビューの英語版が「創価学会グローバルサイト」に掲載されています。
https://www.sokaglobal.org/resources/expert-perspectives.html