• ルビ
  • シェア
  • メール
  • CLOSE

小説「新・人間革命」に学ぶ 第22巻 解説編 池田主任副会長の紙上講座 2020年8月26日

  • 連載〈世界広布の大道〉
イラスト・間瀬健治
イラスト・間瀬健治

 今回の「世界広布の大道 小説『新・人間革命』に学ぶ」は第22巻の「解説編」。池田博正主任副会長の紙上講座とともに、同巻につづられた珠玉の名言を紹介する。

紙上講座 池田主任副会長
04:52
ポイント
①“ヒロシマ”の心
②師弟の生命の共鳴
③学会の社会的役割

 広島の被爆から75年となった今月6日、聖教新聞(10面)に、平和のためのヒロシマ通訳者グループ・小倉桂子代表のインタビューが掲載されました。
  
 8歳で被爆した小倉さんが、原爆の時に感じた不安・恐怖を、その後、2度経験されたというのが印象的でした。一つは2011年3月の福島原発事故、もう一つは今回のコロナ禍です。
  
 小倉さんは、平和のために闘う「ヒロシマの心」は、核兵器廃絶の精神だけでなく、「私たちの生存を脅かす、あらゆる『敵』と闘う強い心」であるとし、新しい一歩を踏み出すことを訴えます。
  
 私たちが、小説『新・人間革命』を学ぶ意義の一つも、75年前の戦争の史実を風化させずに、“平和の心”を継承し、新しい時代を開くことにあります。
  
 さて、第22巻は、終戦・被爆から30年となる1975年(昭和50年)が舞台です。21世紀を「『平和の世紀』『人間の世紀』『勝利の世紀』『栄光の世紀』、そして『戦争なき世紀』『生命の世紀』」(7ページ)とするために、山本伸一は米ハワイや広島などで、激励行を重ねていきました。
  
 とりわけ、広島での本部総会に向け、伸一は果敢な平和行動を展開しました。1年半の間で、3度の訪中、2度の訪ソを実現し、平和・文化・教育の「友好の橋」を架けたのです。さらに同年1月26日には、SGI(創価学会インタナショナル)が結成されました。
  
 11月、広島を訪問した伸一は、現地の青年部に真情を語ります。「私は、平和への闘争なくして、広島を訪ねることはできないと思っています。それが戸田先生に対する弟子の誓いなんです」(342ページ)
  
 こう語る背景には、広島指導を目前に倒れた第2代会長・戸田先生の、壮絶な闘争がありました。
  
 57年(同32年)9月8日、戸田先生は、歴史的な「原水爆禁止宣言」を発表。同年11月、広島平和記念館(当時)で行われる大会に出席し、平和への新たな潮流を起こそうとされました。
  
 しかし、体の衰弱は激しく、広島への出発の朝、倒れてしまいます。その恩師の闘争を知る伸一にとって、平和への戦いなくして、広島の地を踏むことはできなかったのです。
  
 「潮流」の章に、「『ヒロシマの心』とは『平和の心』であり、それは『創価の心』だ。だから、私たちには、世界平和への波を起こしていく使命がある」(135ページ)と記されています。広島に原爆が投下された8月6日を、池田先生が小説『新・人間革命』の起稿・脱稿の日とされたのも、恩師の平和への熱願を継承するとの弟子の誓いであり、その誓いを若い世代に託し、未来に伝え残すためではないでしょうか。
  
 世界の識者が池田先生を称賛するのは、“平和の行動”の先駆者だからです。「平和のために、何をするのか――その具体的な行動こそが、肝要」(345ページ)です。平和の道は、どこか遠くにあるわけではありません。自身の地域・職場で、「友情を結び合っていくなかに、激動する世界に平和の火を点ずる道がある」(42ページ)のです。

広島の原爆ドーム(1985年10月、池田先生撮影)。長編詩「平和のドーム 凱旋の歌声」で、先生は詠んだ。「広島を/忘れるな!/ヒロシマを/忘れるな!」「平和を願う人間の心/民衆の心はひとつだ/それは『ヒロシマの心』だ」
広島の原爆ドーム(1985年10月、池田先生撮影)。長編詩「平和のドーム 凱旋の歌声」で、先生は詠んだ。「広島を/忘れるな!/ヒロシマを/忘れるな!」「平和を願う人間の心/民衆の心はひとつだ/それは『ヒロシマの心』だ」
「会長に聞く」の意義

 今月は、池田先生が戸田先生と運命的な出会いを結んでから73年。池田先生は、恩師を宣揚し続けられました。
  
 弟子が師匠を宣揚するのは、「運動の原点を明らかにすること」(24ページ)です。「師の教え、生き方のなかに、自分たちの運動の目的が示されている」(同)からです。いかなる時も、師匠という原点に立ち返った時、進むべき正しい道が明確になっていきます。
  
 伸一は、文豪・井上靖氏に、恩師への思いを吐露します。「私の心の中には、いつも戸田城聖という人格がありました。それは生きつづけ、時に黙して見守りながら、時に無言の声を発するのです。生命と生命の共鳴というのでしょうか」(52ページ)
  
 それに対し、氏は、師弟の絆が“会う”“会わない”を超えた「運命的なもの」(53ページ)であると讃嘆しました。
  
 法華経には「在在の諸仏の土に 常に師と俱に生ず」――つまり、仏法の師弟は三世永遠の絆で結ばれていると説かれます。師弟は「一体」なのです。大切なのは、弟子が心の中に師をいだき、師と共に戦おうとする求道心です。
  
 戸田先生とお会いしたことがない青年たちが、“戸田先生について教えてもらいたい”と伸一に要望した時、「戸田先生の指導は、ほとんど本に収録されているし、私もこれまで、先生のことは、みんなに話してきた」「今度は、みんなで先生の指導について思索し、君たちにとって“戸田先生とは”また“学会の師弟とは何か”を考えていくんだよ」(25ページ)と、大いに語り合うことを望んだのです。
  
 池田先生の第3代会長就任60周年の本年、いやまして、池田門下が師に学び、師を語る時です。現在、「青年部が原田会長に聞く」が聖教新聞で連載され、後継の青年が主体的に師匠について学ぶ一助にもなっています。積極的にひもときながら、創価の魂を継承していきたいと思います。

「世界青年部総会」へ

 「命宝」の章では、「激動する社会のなかで、時代を正常な軌道へと引き戻していく力、生命のバイタリティーを、民衆一人ひとりの心田に植え付けていく」(361ページ)ことが、宗教の根本的な使命であると強調されています。
  
 感染症や異常気象等、不安が覆う中で、社会を“正常な軌道”へと導いていく役割が創価学会にはあるのです。
  
 目の前の課題から逃げたくなることもあるでしょう。しかし、「社会のかかえる大テーマを、自らの課題ととらえ、仏法者の立場から、解決のための挑戦と努力を開始していくところに、日蓮仏法の精神がある」(160ページ)とある通り、困難に挑み続けていくところに、希望の未来が開かれます。
  
 青年部は、10・2「世界平和の日」60周年の佳節を「世界最大の青年の連帯」で荘厳しようと、「世界青年部総会」をオンラインで行います。コロナ禍の中、一人一人がさまざまな状況を抱えながらも、友情を広げています。
  
 「波濤」の章では、「社会が創価学会の真価をわかるまでには、二百年かかるだろう。学会は歴史上、かつてない団体だから、誰も、その本当のすばらしさがわからないのだ」(272ページ)との戸田先生の言葉が紹介されています。歴史的な師弟誓願の会座「世界青年部総会」は、学会創立100周年、さらには創立200周年に向かう世界広布の新たな歴史を開く第一歩となると確信します。
  
 後継の青年に励ましを送りながら、わが地域に大いなる青年の連帯を築いてまいろうではありませんか。

名言集
●「自律」と「自立」

 師弟とは、形式ではない。常に心に師があってこそ、本当の師弟である。心に師がいてこそ、人間としての「自律」があり、また、真の「自立」があるのだ。(「新世紀」の章、13ページ)

●原点に返る

 行き詰まったら原点に返ることだ。唱題から出発するのだ。妙法は宇宙の根源の法なるがゆえに、妙法への祈りこそ、一切を動かす原動力となるのだ。(「潮流」の章、119ページ)

●“良き市民”に

 SGIの精神とは、一人ひとりが、その国や地域の“良き市民”となることだ。“良心”となることだ。社会の繁栄と平和と、人びとの幸福を築く原動力となることだ。(「潮流」の章、174ページ)

●人材を見つける

 人材を見つけようとすることは、人の長所を見抜く力を磨くことだ。それには、自身の慢心を打ち破り、万人から学ぼうとする、謙虚な心がなければならない。まさに、人間革命の戦いであるといってよい。(「波濤」の章、284ページ)

●“精神”の戦い

 創価学会の社会的役割、使命は、暴力や権力、金力などの外的拘束力をもって人間の尊厳を冒し続ける“力”に対する、内なる生命の深みより発する“精神”の戦いである。(「命宝」の章、361ページ)

平和記念公園の慰霊碑に献花する池田先生(1975年11月、広島で)
平和記念公園の慰霊碑に献花する池田先生(1975年11月、広島で)

動画

SDGs✕SEIKYO

SDGs✕SEIKYO

連載まとめ

連載まとめ

Seikyo Gift

Seikyo Gift

聖教ブックストア

聖教ブックストア

デジタル特集

DIGITAL FEATURE ARTICLES デジタル特集

YOUTH

劇画

劇画
  • HUMAN REVOLUTION 人間革命検索
  • CLIP クリップ
  • VOICE SERVICE 音声
  • HOW TO USE 聖教電子版の使い方
PAGE TOP