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〈子どもと学ぶ仏教説話――ミライの冒険〉 砂ばくの中のお城 2024年11月14日

 創作童話「子どもと学ぶ仏教説話――ミライの冒険」では、主人公のミライが、仏教説話の世界を巡る冒険に出かけます。座談会の未来部コーナーなどでご活用ください!(イラスト 逸見チエコ)

“勇気の旅”が最高の宝に

 太陽がジリジリと照りつける砂ばくの世界が、今回のお話の舞台です。
 ミライは、たくさんの荷物とともに、遠くから歩いてくる旅人たちを見つけました。
 「お~い! こんなに暑い砂ばくで大変ですね~」

 ゼェゼェハァハァと、疲れはてた旅人たちが、ミライの近くまでたどり着くと、口々に言いました。
 「どこまで行っても、砂ばかり……。食べものも飲みものも、あと少ししかない」
 「砂ばくの奥深くにあるという、めずらしいお宝を探す旅の途中なんだ」
 「国で待つ、みんなのためにも、絶対に手に入れないといけない」

 ミライは、みんなの力になりたいと思いました。
 「なんとかしてあげたいな。みんなが休めるお城があればいいのに!」
 ミライが強く願うと、なんと、少し先に大きなお城が現れたのです。

 「みんな! あそこに、りっぱなお城があったよ!」
 「やった! これでひと休みできる」
 「お宝もあるかもしれない」
 旅人たちは大喜びで、お城の中へ。
 ゆっくり休んで、みんな元気になりました。

 けれど、めずらしいお宝は、お城の中には、ありませんでした。
 「大丈夫。もうひと踏ん張りすれば、きっと見つけられるはず。ミライも一緒にお宝を探すよ!」
 ミライの言葉に旅人たちは、力をふるい起こし、もう一度、砂ばくの旅へと出発しました。
 そして、お宝をついに見つけることができたのです。
 旅人たちが、お宝を持ち帰ると、国の人々は大喜び。

 ところが、人々に一番、喜ばれたのは、お宝ではなく、あきらめずにお宝を探し続けた旅人たち自身のお話だったのです。
 ミライは、うれしそうに言いました。
 「旅そのものが、最高のお宝になったんだね」
 この旅人たちの物語は、時がたっても、いつまでも国の人々を勇気づけていきました。
 (つづく。前回は10月10日付に掲載)

今回のお話の解説

 今回のお話は、法華経に説かれる「化城宝処の譬え」を基にしています。この譬えでは、目的地までの道の険しさから、宝を探す人々が、道半ばで疲れ果て、引き返そうとします。そこでリーダーは、化城(幻のお城)を出現させて皆を休ませ、元気にします。その後、リーダーは城を消して、“本当の目的地(宝処)は、もう、すぐそこだ”と導いていくのです。
 池田先生は、この譬えについて「目標に向かって、懸命に挑戦する、ひたぶるに戦う。歯をくいしばって道を開いていく――振り返ってみれば、その時は苦しいようでも、じつはいちばん充実した、人生の黄金の時なのです。三世のドラマの名場面なのです」と語っています。
 目的の“宝”も大切ですが、全力で目的地へ前進する“勇気の旅”もまた、最高の宝となるのです。

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