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手記 南アフリカを訪れて マスミ・オダリ ケニア創価学会理事長、SGI理事 2026年8月23日

自他の人間性が輝く未来を共に
アフリカ大陸最南端の地を広布の舞台とする「西ケープ地区」のコースタルグループの座談会(6月23日)

 6カ国のメンバーが集い、南アフリカ・ヨハネスブルクで行われた南部アフリカ総会(6月28日)。SGIアフリカ訪問団の通訳の担当として出席した、ケニア創価学会のマスミ・オダリ理事長(SGI理事)の手記を掲載する。

 6月、南アフリカのケープタウンとヨハネスブルクで現地メンバーと交流し、会合に参加する機会をいただきました。日本からケニアへ移住して40年になりますが、ケープタウンを訪れるのは初めてでした。
 創価大学の学生時代、文学の授業でアパルトヘイト(人種隔離)について学び、人間がなぜ他者に対してこれほど非人間的になれるのかと深く考えたことがあります。その南アフリカを実際に訪れ、自分の目で現実を見たいとの思いがありました。
 ケニアの首都ナイロビからケープタウンまで直線距離で約4000キロ。直行便で約6時間です。同じアフリカ大陸でありながら、その自然環境も歴史も社会も大きく異なります。到着したのは冬の早朝で、赤道直下のケニアの気候に慣れた私には、その寒さが特に印象的でした。
 現地で最初に感じたのは、南アがたどってきた歴史の重みでした。1994年に全人種による普通選挙が実現し、ネルソン・マンデラ大統領が誕生してから32年がたちます。しかし、制度としてのアパルトヘイトは撤廃されたものの、その影響は今も社会の深い部分に残っています。車窓から見える風景は、高級住宅街から平屋の住宅群、さらにはインフラ整備の行き届いていない居住区へと大きく変化していきます。
 ケニアにも経済格差はあります。しかし南アでは経済格差に加えて、人種差別によって形成された歴史的格差が今なお影を落としていることを実感しました。その違いは私に強い印象を残しました。
 そうした社会的背景を持ちながらも、SGIの会合には全く異なる世界が広がっていました。谷川SGI理事長と共に参加したアフリカ大陸最南端のコースタルグループの座談会(6月23日、ケープタウン)では、白人、インド系、中国系、黒人、かつて「カラード」と呼ばれた人々など、多様な背景を持つメンバーが一堂に会し、和やかに語り合い、励まし合っていました。そこには人種や民族を超えた友情と連帯がありました。
 会合では、信仰体験の発表や質問会も行われました。社会不安や差別を背景に自死が多い現状に苦しむ人々について「仏法者として、どのように向き合えばよいのか」という問いを巡って、真剣に語られる場面もありました。南ア特有の社会課題と向き合って信仰に励むメンバーの真剣な姿を感じる機会となりました。
 また、各種の懇談会や家庭訪問の中では、御書と池田先生のご指導に基づいて、一人一人に懇切丁寧な励ましが行われていました。どの会場でも、メンバーが希望をもって前進していく姿に接し、仏法哲理の深さと池田先生の指針の普遍性を改めて実感しました。
 今回の訪問を通して私が最も強く心を打たれたのは、人種や肌の色を超えて、人々が共に題目を唱え、互いの悩みや希望を分かち合いながら、対等な立場で励まし合っている姿でした。多くのメンバーが家族のような温かな絆で結ばれ、その中に私は「池田先生の世界」を見た思いがしました。
 ヨハネスブルクのソウェトでは、若いメンバーたちが「誰もが仏性を持ち、自らの人生を切り開いていけることを伝えたい」と力強く語っていました。彼らは自分の幸せだけでなく、他者を励まし、多くの人々が真の幸福を勝ち取れるよう祈り行動していました。
 その姿に脈打っていたのが「ウブントゥ」の精神でした。アフリカ大陸では地域ごとに異なる名称で呼ばれていますが、その精神は多くのアフリカの人々に共通しています。例えば、ケニアを含む東アフリカで広く話されるスワヒリ語では、人間性を「utu」と表現します。
 ウブントゥとは、アフリカのバントゥー諸語に由来する哲学で「私はあなたがいるから私である(I am because you are)」という意味を持っています。人類という大きな共同体の一員として自分を捉え、他者の人間性を認め尊重することで、自らの人間性も輝いていくという考え方です。
 ネルソン・マンデラ氏も生涯にわたり、この精神を大切にしてきました。池田先生も、マンデラ氏がウブントゥの精神を重んじていた事実に言及されています。
 さらに池田先生は、2007年6月のケニア作家協会の研究会に寄せたメッセージの中で、「アフリカには、人間と人間、人間と自然、人間と宇宙、さらには人間と永遠を結んでいく結合の力があります。現代のグローバリゼーションを真の人類家族の一体感へと深め、そして地球社会に温かな『人間の顔』をもたらしていく源泉は、このアフリカの智慧にこそ求められる」とつづられています。
 私は今回、南アのメンバーの行動の中にウブントゥの精神が力強く息づいていることを実感しました。互いを尊重し、励まし合い、苦難を共に乗り越えながら、人間としての尊厳を輝かせていく。
 その姿に、人類の未来への大きな希望を見いだしました。
 民族も文化も言語も異なるアフリカの人々を結び付けているのは人間を信じ、尊重する精神です。その精神は、まさに学会精神と深く響き合っています。
 今回の訪問を通して「21世紀はアフリカの世紀」と語られた池田先生の確信の意義を改めて感じました。ウブントゥの精神に根差した人間の連帯こそが、人類を分断と対立から共生と平和へ導く大きな力になると確信します。アフリカにいる私たち池田門下がこの精神を体現し、人類の宿命転換を成し遂げる主体者である自覚をもって希望の前進をしていきます。
 池田先生がこよなく愛されたアフリカの地から、人類の希望の連帯を広げゆく先頭に立つ決意です。

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